まだ別々の学校です
まだ若葉ちゃん出てきません
部活っていうと某小学生が最高なやつしか思い浮かばないのでバスケにしがちですが、バスケ知らない人なんであまりキツく突っ込まないでください
放課後の体育館。
今日はバレー部とバスケ部が使用しているので、真ん中にネットが掛かっている。
「あ、あのボール返してください」
バスケ部側で気の弱そうなベリショの女子が体格の良い男子バスケ部員に頼んでいる。
男子部員はユニフォームを着ているが、女子は体操服にチーム分け用のゼッケン付きのタンクトップっぽいやつを重ね着しているだけだ。もともと女子バスケ部はエンジョイ系で、まともな練習を始めたの自体今年度に入ってからだ。
「返せ? 別にお前のボールじゃねーだろ?」
小学生の理屈だ。
「えっと、そうですけど、あの」
威嚇する様に強めにドリブルしている。
「欲しかったら取ってみろよ」
「そんじゃ失礼します」
ベリショ女子の後ろから来たボーイッシュで割と身長のあるショートカットの女子がスッと入ってきて、目にも止まらないスピードでボールを奪っていく。
「なっ?!」
慌てて振り返るとこれ見よがしにボールを弄んでいる。
「このっ」
男子部員がボールに飛びつくのをあしらいながら、相手から見えない方の手でベリショ女子に指示を出して、すかさずパス。
パスを出すと同時にダッシュで移動して、即パスを要求する。
女子がもう1人参加して、逆にいじめているような状態になり、苛立った男子部員が最初にボールを奪った女子に肘鉄を入れようとするが、ドリブルしていたボールの軌道を微妙にずらして、男子部員の踏み込みで浮いている方の足に叩きつける。
ボールをぶつけられた足が反対の足に引っ掛かり転倒。
タイミングを合わせた様に女子バスケ部の部長が声をかける。
「遊んでないで集合して〜」
「いやー、今日も充実した練習だったねぇ」
女子バスケ部の部長がパンイチで汗を拭いている。
「部長、いくら更衣室だからって、もうちょっと恥じらいを持ってもらえます」
「部長じゃなくてキャプテンと呼んで」
「キャプテンって、どちらかと言ったらにのまえさんの方じゃないか?」
にのまえゆたか。先ほど男子バスケ部員を翻弄していたボーイッシュな子だ。
今は一番端のロッカーでいそいそと着替えをしている。
「えっと、にのまえさんは、どちらかと言うとコーチ?」
「だから、せめてその乳を仕舞え」
「えー、良いじゃん女の子しか居ないんだしさ」
豪快にタオルで脇の下とか下乳の汗を拭いている。
「ウチ、同性愛者居ますよ」
こっそり更衣室を出ようとしていた ゆたか がびくっとなって止まった。
迷ったがあとで面倒になるのも嫌なので、意を決してカミングアウトする。
「私はレズと言うより、性同一性障害に近いかも」
振り向いてみんなの方を向きつつも、目はそらしている。
ちなみに、同性愛者は恋愛対象が同性の人、レズはその女性版なので恋愛対象が女性の女性だ。
性同一性障害は、自分の性別に違和感を感じている人だ。
「え?それって、恋愛対象とか性欲の対象が女性って事?」
部長がなんかもじもじしているが、顔はうれしそうだ。
ゆたかは目をそらしているので気がついてないが。
「…まあ、そうです」
「早く言ってよ〜。そう言うのありの人だったの?」
「は?」
「にのまえさんなら立候補しちゃうよ」
「あ、私も」「わたしもわたしも」「えー、あんたらも狙ってたの?」
「うえーっ?」
「ぶっちゃけそこいらの男子なんかより、ぜんぜん良いよねー」
「うん、付き合いたい」
ほぼ全員ゆたかに詰め寄り、更衣室が騒然となる。
「ちょっとまって」
両手を前に出して制止する。
「その、好きな人居るんで」
なんかネタがおっさん臭い(書いてるのがおっさんだから…