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Op1

seane palyer:ハルフォニア・ミスティーク・カルメン


どうしてこんなことになったのか。

六王国の1つ、水の国の第一姫である私、ハルフォニア・ミスティーク・カルメンは現状に対して無駄とは知りつつも自問した。

ここは水の国の王城であるネロアミスティーク城の中層にある一室、通称「勇者召喚の間」。信頼できる直属の近衛騎士であり、幼馴染みでもある二人の騎士と儀式全般の取りまとめを行う祭司長の計三人を伴ってこの部屋にいるにも関わらず、今私は片方の騎士から羽交い締めにされ、もう片方の騎士から武器を突きつけられている。祭司長も私に向かって杖を構えている状態だ。

「申し訳ありません、姫。ケイトさんに従って頂けますか?」

私に剣を突きつける騎士、幼馴染みのマリエ・ロスコース・タランテラ。彼女は別に裏切ったわけではない。彼女の言葉によれば代理をしているに過ぎないのだ。洗脳に近い。

数分前に召喚されたばかりで、今は私達の事を気にも留めずに自身を召喚した召喚陣をしげしげと観察する男。今のマリエはこの男、九つの連なる内環、ケイト・スカーレットの代理なのだ。

この男がマリエに、そしてマリエが他の二人に何をしたのか私には全く解らなかった。男が私たちにしたことと言えば召喚されて早々マリエに一言代理を頼んだだけ。そしてその時はマリエ一人にしか影響がなかったが、代理のマリエの要求を飲めないと私が答えるや否や残りの二人がその影響下に置かれてしまった。

「姫様、これも姫様のためであります。なす術無くケイト・スカーレットに従うしかなかった。その大義名分があればこれから起こる事に責任を負わずに済むのです」

そう言うのは私を羽交い締めにするもう一人の騎士、アレイシア・バスツィエ・サクラテツ。私を慮っているのは声色で解るが、本来の彼女は騎士道に重んじる立派な騎士なのだ。洗脳してそう言わせているのか、それともそんな彼女がそう言わざるを得ないほどの事をその男は起こすのか。

恐らく助けを呼んでも無駄だろう。呼ばれて来た者が全て代理にされるのが目に見えている。

なら、どうすれば良いのか。必死に考えを巡らせる。が、答えはでない。

どうしてこんなことになったのか。

「さあ、姫。ケイトさんに従ってください」

私はとんでもないモノを召喚してしまったのかもしれない。

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