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Mathematician Observation  作者: 空色 歌音
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Question5


Question5


 見渡す限り一面の焼け野原。

 二人の青少年が黒こげた地面を歩いていく。


「キャロル君。危なくないの?」

『ここはほとんどが炭になってるので、踏んだりしてもすぐに粉々になります』


 コミュニケーションが苦手なキャロルは野外では筆談が難しいため、携帯端末からチャットで会話を送ってくる。

 今日の仕事は事故現場の捜索だ。


ー数時間前ー


「よっ、ガロア君。

おはよーさん」

「おはようございます」

「今日はパスカルが出張なので、仕事の説明はオレが伝えておきまーす!」


 出社直後にオイラーが仕事に関する書類の入った封筒を持ってやってきた。封筒の留め具である紐を持ってブンブン振り回している。大事な書類なのにそんな事をして怒られないのだろうか?


「んーと、今日の依頼はね…焼け跡に行ってください」

「焼け跡?」

「そうそう。

 一年前にとある名家のお屋敷が全焼したらしいんだ。そこの遺留品を回収してきてほしいとの話だ」

「わかりました」

「あと、そこの屋敷息子さんと同い年の召使い以外は全員焼死体で発見されてる」

「しょ、焼死体!?」


 ガロアは性別のわからなくなった人の形をした黒い焼き死体を想像して身震いをした。


「まぁ、死体は回収されてるからダイジョーブイ☆

 それに今回は遺留品探しにキャロルが一緒だから」


 長身なオイラーに隠れていて気づかなかったが、後ろから他の男子よりもやや小柄なキャロルがペコリとお辞儀した。

 コミュ障で臆病者のキャロルが一緒にいると、もっと不安になる。


「それでは行ってらっしゃーい!」


 ガロアとキャロルは無理矢理屋敷を追い出された。


「……」

「……」

「とりあえずいこっか。って痛ッ」


 ガロアの頭上に書類が落下した。それを拾い、上を見ると、オイラーが両手を合わせてテヘペロをしていた。


「書類渡すの忘れてた。メンゴメンゴ許してちょ?」

(コイツ半殺しにしてやろうか)


 始めて先輩に殺意を覚えた瞬間だった。


 それから事故現場を捜索して数時間、キャロルは次から次へと焼け残った遺留品を探し当てている。


『おにーさん。金庫がありました!』

「ホントだ。耐熱性のようだね。開けれそう?」

『重量もそこまでないですし、マー君がこういうの得意ですので持って帰りましょう。マー君すごいんですよ?屋敷中の鍵を壊すくらいです』

「それ大丈夫なの?」

『その日はシスターにどこかに連れていかれて、戻ってきたあとは、一週間ほどボクの異能空間に引きこもってました』


 メルセンヌに何をさせられたんだろうか?余計不安になる。


 カサッ


 ガロアは足下で何かを踏んだのを感じた。拾い上げると1枚の写真だった。セピア色の世界に3人の人物がすました顔で写っている。恐らく家族写真だろう。


(あれ?)


 真ん中で小さな椅子に座る少年に違和感を感じた。年は12~13歳程。気弱で実直そうな垂れ目に自信のなさげな笑みを浮かべている。それでも顔のパーツは整った育ちの良い美少年だ。

 それのどこに違和感を感じるのかというと、目の前にいるキャロルとそっくりなのだ。彼の方が写真の中よりも年上だが、成長したのだと言えば何一つおかしな点はない。


「これってキャロル君…」


 キャロルは名前を呼ばれたのかと振り向いた。そして、ガロアの持っていた写真に興味を持ったのかそれを覗き込むようにして見た。


「この真ん中の子ってキャロル君?」

「…しら…ない…で…す」


 珍しく発した声は震えている。あまりにもそっくりだったため驚いたのだろう。


「知らないかぁ…。にしても、ここは前どんな方が住んでたんだろう?」



「そんなに気になるなら教えてやろうか?」


 突然別の声がした。目の前には見知らぬ人物がいた。

 やる気の削がれた鋭い目つき。無愛想な表情。裾が擦れてボロボロのパーカー。目に焼き付くような赤髪。

 キャロルはガロアの背中に隠れ、ガロア自身も相手は『敵』だと直感した。


「おいおい、せっかく親切に教えてやろうと思ったのに、その態度はないだろ。ったくめんどくせー。これだから反抗期のガキは嫌いなんですよー」

「お前は一体…」


 お?っと相手は反応した後、口角をあげてニヤリと笑う。


「『ジャスティ・ジェノサイド』からの使いだよ

 お待たせしました。毎度おなじみ紹介コーナーです。今回のキャラ紹介は前回見送りにされたキャロル君です。


【キャラプロフィール】

名前:フレデリック•キャロル

年齢:16歳

誕生日:1/27

身長:162cm

血液型:AB

代償:『Wonder Land』


【数学者エピソード】

 話を読んでいる方は大方予想はついていると思います。『不思議の国のアリス』の作者であり、数学者の『ルイス•キャロル』です。

 しかしながら、この名前はペンネームで本名はチャールズ・ラトウィッジ・ドジソンと言います。

 彼は大変几帳面な方で、何をするにも日程表を作ったそうです。その几帳面さがあってか、生涯で書いた手紙は10万通…!「壊れて動かない時計と一日に一分遅れる時計とではどっちが最高の時計か? それは壊れて動かない時計である。一日に一分遅れる時計は二年に一度しか正確な時を刻まないが、壊れた時計は一日に二度、正確に時を刻む」という彼の性格がよくわかる名言?も残しています。

 また、彼はかなりの少女趣味で出かけた先では少女を次々とナンパし、交際した少女は100人にのぼります。中でも『不思議の国のアリス』の主人公•アリスのモデルになった少女は彼のお気に入りで、彼女が4歳の頃から目を付けていたらしいです。

 もしかして:ロリコン?

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