第1章~日常の正夢~
少し訂正しました
この後の内容に影響はありませんので、ご安心を‼︎
「………ハァ、やっと仕事終わった…」
青年はパソコンから目を離し、椅子に寄りかかる。
これが数年前の“笠井 柊”。俺だ。当時は笠ノ台大学在学の大学一年生。俺の家が経営する私立大学である。
俺の家“笠井家”は、【五井財閥】(ゴイザイバツ)の一つである。他は、“松井家”(マツイケ)、“細井家”(ホソイケ)、“四井家”(ヨツイケ)、そして“武井家”(タケイケ)である。
自分の家が経営する大学を利用しない手は無い。俺は大学と交渉し、課題を出し、テストで上位に入っていれば、毎日通う必要がないシステムを作った(が、テストの日は大学の方へ出向かなくてはいけない)。
別に、俺はサボりたくって作ったわけじゃ無い(大学行くのは面倒いけど…)。ゲームプロダクターの仕事で中々手が離せないのだ。
ふとカレンダーを見る。明日の所に青の丸が付いていた。
(明日、テストか…)
俺はため息を吐く。
上記した通り、テストの日は大学の方へ出向かなくてはいけない。…面倒だ、また明日仕事しなきゃいけないのに。
時計は夜の12:00を回っていた。俺はまた、ため息を吐く。
「とりあえず、さっさと寝よう」
俺は後ろにある青のベットに入る。
目を閉じると直ぐに眠気が襲って来た。
〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜
久しぶりに夢を見た。夢にしては随分とハッキリしていて、まるで現実に起きたみたいに感じられた。…またあの夢じゃなくて良かった。
初めに映し出されたのはのどかな田舎に満天の星空。そしてその夜空の下にある広場らしき所で宴に興じている人々だった。石畳が敷かれた広い空間にいくつものテーブルが置かれ沢山の人々がそこに集まると、酒を呑みながら互いに語り合っていた。
視点がゆっくりと降下し、人々の姿がはっきりと見えてきた。
一際顔を赤らめた若い男の農民が、隣の席の老人に話しかけていた。
「王さまぁ、何でなくなってしまったんたべ?オラ、悲しいんだべ」
「王様も人間、しょうがないことじゃが…。あの方は良い人だった。惜しい人を失ったのう…」
「機嫌を直しなさいな。
次の王様が良い方になると願いましょう、ね?」
彼らの向かいの側に座っていた商人らしき少し髪の薄い男が慰めていた。そんな事を話しながら、また男たちは酒を飲んだ。
空中に浮く西洋風の立派な城に視点が移る。
一瞬視界が暗くなり、再び明るくなると、城の中の大きな部屋の寝室が映る。その中には調度品以外は何も置かれていない、城内にしては質素な部屋だった。部屋の中央に大きなベットが1つあった。そこに横たわるのは、老人。とても痩せ細っていて、生気を感じられない。
先程見た男たちの話から察するに、この人が王様なのだろう。その証拠に枕元に豪華な王冠が置いてあった。彼の安らかな顔からは威厳を感じられた。同時に何故かは不明だが、俺には誰かに似た雰囲気が感じられた。
彼の直属の従者と思われるものが10人ほどおり、彼の横たわるベットの周りを取り囲んでいた。
そして、彼にどこか似ている青年と女性が2人、少し離れた場所にひっそりと佇んでいた。彼らは黄蘗色の髪と黄色の瞳をしている。
従者達は彼の死に涙を流していたが、2人は険しい表情を浮かべている。
二人のうちの青年の方が話し始める。
「アァ。
コりゃ大変になるナァ、全姉ェ。イヤ、次期女王陛下」
彼はため息を吐いた。
「早急に王を決めなければ、国の混乱を招きかねないですゼ?」
全と呼ばれた女性は、ゆっくりと首肯した。
「けど、まだ決めるには時期が早いのです。
それに私は女王になるつもりはありません」
彼女はキッパリと断った後、すぐに話を変える。
「ところで、珀妓。
貴方は行方不明になった王子のことを覚えていますか?」
「話にだけは聞いたことがありますヨ。確か、おば様の息子ですよネ?
…マサカ、奴を探し出して、王位を継承させるつもりですカ?
無理に等しいですゼ。何処にいるのかも、ましてや生きているかどうかもわからない奴ヲ…」
珀妓は頭を抱えた。そして彼は全を見た。
彼とは対照的に、彼女の表情は柔らかであった。
「…できるかどうかわかりませんが、あの方に頼んでみましょうか」
「アノ方って…ッ、まさか、あの巫女に言うのかッ⁈
ソレこそ無理ダ、貴女も知ってるはずでしょウッ‼︎」
「大丈夫よ」
珀妓を落ち着かせるためだろう、彼女は穏やかな笑みを浮かべた。
この後も会話を続けていたが、鮮明に覚えているのはここまでだ。
だが、彼らが何か大切な事を言っていたことだけは分かっていた。
第1章終わりましたね
あの夢に出てきた男女、
一体誰でしょうね〜(´ー`)
これから出てくるでしょうから、楽しみにしててください(^-^)