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プロローグ~国王とは~
俺は王にとって、国王とは遠い存在でしかなかった。
でも、今の俺にはその言葉自体が俺を指し示し物になる。
今日から俺は、国王となる。
「…本当によろしいのですね」
俺の横に、光を思わせる黄蘗色の髪の女性がいる。彼女は美しい姫でもあり、俺の姉でもある。
準備を終わらせ、彼女と共に階段を上がりながら言う。
「あぁ、俺はその為に生まれて来たからな」
国王は俺を表すが、俺にとって不安の対象にもなる。
だが国王になる前、様々な地方へ足を運び、多くの種族に会い…そして、幾たびの戦いを乗り越えて来た。
『この国の王は、お前しかいない』
戦いを共にして来た仲間達がそう答えてくれた。
俺は…。
「俺は誓う。
もう二度と、この国の民を…この世界の人々を、消させやしない。
全てを、この生涯にかけて、護ってみせるッ!」
声は世界に轟いていた。