詩に意味はない
2008年に書いた詩です
詩に意味はない
何も伝えたいことはない
ただそこに言葉を存在させたかっただけ
彼はそう言った
女は人間じゃない
女は生命だ
宇宙と繋がる 月によって
彼はそう言った
それなら詩は
宇宙と繋がる女
男という言葉を超えて
どんなに男が愛を囁いても
女の沈黙にはかなわない
詩は言葉を超えないと
彼は言ったが
詩は言葉を超えると
私は思う
言葉には意味があるが
詩には意味がない
という点において
それなら
女は男を超えている
男はつまらない意味を
言葉をつかって
まくしたてるだけ
何も伝えたいことなどないのに
何も意味なんてないのに
この宇宙には
この生命には
ただそこにあるだけなんだよ
この言葉だって
愛だとか 想いだとか
そんなつまらない意味から
解放してほしい
その沈黙という暗闇から
君を救い出すのではなく
私を連れて行ってほしい
言葉ではなく 手をとって
2008.11.15
詩人 谷川俊太郎さんに会って思ったこと