第5話
弟2人を十分に愛でた後、夕食の時間になったのでダイニングへ3人+メイドで向かう。
「おねえさま、もうだいじょーぶ?」
「大丈夫よ、2人が会いに来てくれたからとっても元気になったわ」
「うれし!」
「ぼくもうれしい!」
「ありがとう。リリー、今日はお父様とお母様、お兄様は帰ってこられるかしら?」
「先ほどそれぞれ皆様仕事場を出て帰路についたと伝言が届きました」
「そう。だったら3人を待ってから食事にしましようね」
「「はーい!」」
今日の夜ご飯は何かしらと3人で想像しながらダイニングで待ってると、お父様とお兄様が揃って帰宅し、お母様もあと少しで帰宅するとリリーが教えてくれた。そして、3人がダイニングへ集まり、1週間ぶりの家族6人の食事が始まった。
「あ、そういえばエレナ、エレナが昏睡状態だったとき王子がお生まれになったよ」
「そうね、王妃様のご懐妊からちょうど10か月ぐらいだったも…の…ぇ、おうじ、さま…?」
「どうしたんだい?王妃様大好きなお前はまだかまだかとこの時をずっと待っていただろう。姫様がよかったのかい?」
「いえ…そんなことは…ないんですが…、少しまだ体調が万全ではないみたいなので自室に帰らせてもらいますね」
「え、ねえさま?だいじょーぶ?」
「エレナ、無理はしないでちょうだい。早く部屋で休んでね。リリー、お願い」
「かしこまりました。」
せっかくの1週間ぶりの家族団らんで楽しくしていたところで家族には悪かったが、それよりも大事なことを聞いてしまったのだ。私としてはこちらを優先して将来のことを考えなければいけないため、とりあえず早く一人になって考えたい。
「ではエレナ様、何かありましたらベルでお知らせください」
「えぇ、わかったわ、ありがとう」
一人になって考える。王子様がお生まれになった。今まで王様と王妃様の間にはお子はなく、先日お生まれになった王子様が第一王子なわけで、そして、わたしとは6つも歳が離れている。そして確か、ここ最近は公爵家や伯爵家で次々とご懐妊ご出産があったため、第一王子と歳が同じ少女たちが多い。つまり、私なんかが第一王子様、しいてはこの先お生まれになる王子様たちの婚約者になる可能性はかーなーり低いわけであるから…
あれ、私って、実は悪役令嬢じゃないんじゃない?
そういえば、攻略対象と言われるポジションにつくようなイケメン重役予備軍たちを思い出してみる。
騎士団団長のご子息、16歳。魔術師団長のご子息、15歳。宰相補佐の伯爵家長男である私の兄、13歳。従兄弟の公爵家長男、15歳。宰相のご子息、1歳。そして先日お生まれになった第一王子0歳。さらに言えば、私の弟たちは3歳と1歳。
思いつく私の知るイケメンかつ、将来有望な人たち。歳が上の方たちは、もちろん私なんかが入る隙間もなく、みな婚約者や奥様がおり、仲も良好と聞きますし、14歳で結婚できるこの世界では妊娠出産も早いです。つまり、この方たち本人が王子をお支えになるのではなくこの方達がお子を授かり、そして第一王子の周りには優秀なご子息たちが揃うのも時間の問題というわけで…。ここにヒロインである可憐な少女なんてやってきてしまうかもしれないわけで…。
あれ、私って、生まれてくるタイミング間違えてしまいました?
第1章終わりって感じです。
タイトルの意味がおわかりになられたでしょうか?(笑)
第2章スタートは明日出来ればいいですが、もしかしたら間が開いてしまうかもしれません。
この令嬢が今後どうするのかを想像しつつ第6話を待っていただければ嬉しいです。