第3話
なんやかんやでお父様とお母様もお忙しい人たちなのに私の目が覚めるまでは家から出れないとか行って1週間も外に出ずに家で仕事してたらしくて、目が覚めたのを聞いたそれぞれの秘書たちがやってきて仕事に連れ出されてしまった。
そして私を診てくれたハレス家専属医師のダン先生。彼も私を診てあと1日は絶対安静を言い渡し、出ていった。出て行く時に苦いお薬も忘れずに置いていった。
そして、お父様、お母様、ダン先生が出ていき、リリーにも出て行ってもらって一人になって考える。
あれ、私の周り、顔整いすぎじゃない?
ベッドの横にあるサイドテーブルの上には家族で集まっている状況を切り取ったかのような写真のようなものがお母様特製の道具の上で浮いている。…写真ってなんだろ。
お兄様も弟2人もみな、それぞれ髪や目の色は違えどお父様譲りお母様譲りの整った顔をしている。そして私も。あ、鏡を見るまでもなく自分の顔を確認することができてしまった。ちなみに髪や目の色が違うのは、自分の魔力が関係するらしく、遺伝とかはしにくいらしい。
あれ、私の周り、ハイスペックすぎじゃない?
お父様は伯爵家の当主で、領地経営をしながら宰相補佐をしてて、お母様は光魔法の大国1の使い手。お兄様は13歳ながらにお父様のお仕事のお手伝いをすでに始めている。ダン先生もエルフの混血かつ医療特化型とはいえこの世界で珍しい光魔法の使い手だし、リリーはなぜか隠密系もこなすマルチなメイドさんだ。
そして私、神様からのチート能力得ちゃって、この世界では4種類までしか扱えた人がいないと言われている魔法を全種一応才能があって、亜人と少数のヒューマンしか使えない精霊魔法の才能まである。その上称号の器関係。ハイスペックだ。
あれ、私ってもしかして、悪役令嬢じゃない?
なぜか出てきた単語、悪役令嬢。悪役令嬢と聞いて思う浮かぶのは、乙女ゲームに出てくるハイスペックで身分が高くて王子の婚約者で、そして、やってきた可憐なヒロインに心奪われた王子を奪い返すために嫌がらせをしてそれがバレて断罪される令嬢。乙女ゲームにはイケメン攻略対象たちがいて、彼らもヒロインに心を奪われるが、ヒロインが王子を選んだ場合は王子の婚約者としてヒロインをいじめる悪役令嬢だが、王子以外を選んだ場合も、なぜかヒロインとの恋を邪魔しに出てくるのだ。悪役令嬢さんハードスケジュール、まさに社畜。…乙女ゲームも攻略対象も社畜もなぜか出てくる単語。あら不思議。
私の容姿はヒロインのように可憐ではなくむしろ美人さん系だし、ハイスペックだし(女神様チート)、身分も伯爵にしては宰相補佐で王族の覚えもある家。
ああ、どうしよう。私の人生、悪役令嬢として断罪されて終わるのかしら。