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5、残された二人~陽菜の想いと隼人の想い 【陽菜視点】

小学校の前では先ほどの騒動でけっこうな人が集まっていた。

自転車で去る二人を、何が起きたんだ…という表情で皆が見ている。

残された男子高校生、新垣は怒り治まらないままギャラリーの中を歩いて行った。

騒ぎを聞きつけた先生たちは、近くにいた生徒に事の真相を確認しているがいまいち状況が飲み込めない。が、今は騒動は収まったようだから生徒たちに帰るよう促している。


金井と隼人は最初から二人の争いを見ていた。

普段は誰に対しても冷めたような接し方しかしない優也が見ず知らずの高校生にあんな大声で張り合う姿を初めて見た。

隼人は姉の態度からやっぱり優也とは何かあると確信した。

同じく金井も優也の態度から彼の好きな人があの女子高生だと確信をした。

自転車で去る二人はただの幼馴染にはどうしても見えない。小学生が見ても二人はそれ以上の関係だとわかる。


「隼人…あの女のひとって隼人のお姉さんだよね?」

二人が去った方向をぼーっと見つめながら金井が聞く。

朝とか何度か家の前で会ったこともあるから金井が愛美のことを知ってても不思議じゃない。

「そうだよ」

「優也とどういう関係なんだろう? 優也は好きだって言ってたけど」

そう聞かれてもそれはわからない。だけどあの状況を見たら明らかに怪しい関係にしか見えないけどね。

「優也がそう言ってた?」

「うん。別に隼人のお姉さんが悪いとかじゃないけど、高校生なんておばさんじゃん。どこがいいのか全然わかんない」

口を尖らせながら不機嫌そうに言う。

「……そんなに優也がいいわけ? 好きな人がいるのに?」

隼人の表情は今まで見たことがない真剣なもので金井は一瞬驚いた。


隼人とは五年生のときに初めて同じクラスになった。

それまでも優也の隣に彼はいたから存在は知ってたけど話したのは同じクラスになってから。優也の友達なだけあって他のクラスの男子とは少し違う雰囲気だなとは思ったけど、話してみるとゲーム好きで他の男子と変わらないということがわかった。でも優也一筋の自分はそれだけでただの友達なんだけどね。

普段はふざけたりすることもあったりでどっちかっていうと明るくていつも笑ってるイメージだけど……こんな真剣な表情は二年間で初めて見た。


「隼人?」

優也たちが見えなくなり、隼人のほうを振り向く。

「……何でもない。帰ろう」

気付けばいつも一緒に帰るメンバーは先に歩いていた。

隼人は何かごまかしながらもいつもの笑顔で言う。

これはこれで気になる……。

その後も隼人の様子を何度か見てみたけど、とくに変わりはなかった。

言いたいことあれば言えばいいのに……。

「ねえ、隼人のお姉さんと優也ってやっぱりつき合ってるのかな?」

もしかしたら隼人なら本当のことを知っているかもしれないという期待を抱きながら聞いてみた。

「さあ? おれもそんな気はするけど、姉ちゃんも優也も何も言わないからわかんないんだよね」

かすかに抱いた期待はあっさりと撃沈。

「優也はどうしてあの人が好きなんだろう? だってさ高校生が普通小学生なんて相手にするわけないじゃん。どんなに頑張ったって無理だよ」

「……そうかな? おれはそう思わないけど。女子と男子じゃ違うのかな? 姉ちゃんも小学生だからあり得ないみたいなこと言ってたし。でもおれも優也と同じ立場なら高校生だろうが大学生だろうが関係ないけど」

「えー、五歳以上離れた人なんてあり得ないよ。だってさ、一年生の男子を好きになるかって聞かれたら絶対ならないし」

五歳以上年上の男の人ならあり得るだろうけど…。

「金井、その例えはおれもあり得ないから」

「うーん、女子高生の考えてることってわからないんだね。あたしなら高校生になって小学生男子を好きになれないけどな。あたしから見たら優也は少し大人な感じがするけど、高校生から見たら子供じゃない?」

「おれもそう思うけど…優也ってちょっとおれらと違うし」

「そっかあ……あたしに望みはもうないのかなあ」

あたしがあの人と同じような状況でも優也は見て見ぬふりしそうだし。

助けてはくれないだろうな。

しかも自転車に二人乗りなんて羨ましすぎる。

「優也ってかなり頑固というか決意固そうだし、諦めて他に探せば?」

何よ、そのどーでもいいみたいな発言。三年も片思いしてて今さら他を探せっていうのも無理だよ。

「簡単に言わないでよ。三年も片思いしてるんだよ」

「……簡単に言ってるわけじゃないよ。金井のことが好きだって人多いじゃん」

「優也じゃなきゃ嫌だよ」

他の男子なんて考えたこともない。何度振られても諦められないよ。

「ふーん。振られついでに言うけど、おれも金井のこと好きだよ」

「え?」

隼人はそれだけ言って、自分の家に入って行った。

あたしはしばらくの間、その場を動けなかった。

「振られついでって……まだ何も言ってないじゃん」

優也のことでショックを受けてたのに不思議と少しだけ和らいだ気がした。

今まで何人かの男子に告られたことはあるけど、隼人からの告白はほんの少し嬉しい気がした。

変なの。何で嬉しいとか思うんだろう。


ついに隼人も想いを告げました。

今後二人がどうなったかも書きたいと思います。

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