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12月25日クリスマス企画 ジングルベル

「じんぐるべーる、じんぐるべーる、じんぐるべーのべー」


皆様、こんばんは。

本日、風の二月二十五日の放送はわたくしユーリがお送り致します。

よろしくお付き合い下さい(キリッ


…と、まぁ冗談はこれ位にして、やってきましたこの日!

十二月二十五日と言えば? そう、クリスマス!!


仕事が終わって、皆でお風呂に入ってからサンタクロースに着替えております。

カラフさんにイベントモードで伝えたら、快く作ってくれたんだー。うひひ。


因みに、食堂には農作部隊の兄さんに頼んで頂いた小さな小さな卓上サイズの木に飾りつけをした物を飾ってみた。

服飾担当部門の部屋の端っこでにお邪魔して布の切れ端を貰って針と糸を借り、ちまちまと飾りを作ってみたりしてたら途中から小物担当の方々が加わった。皆イベント好きみたい。

終いには装飾担当部門の皆で靴下とか、リースとか、四角い箱を紙で作って布で綺麗に包装した物とか、星とか凄く豪華なのが出来てみたり。

お蔭でツリーが最終的には八本に増殖。農作部隊の人達が木をこんな風に飾るのは斬新だと褒めてくれた。他の部隊の人達にも食堂がちょっと華やかになったと概ね好評。クリスマス後のツリーの嫁入り先も既に決まっている。これは余談。


今回はお城を歩き回ったりしないよ!

単純にオルディマさんが焼いてくれたケーキ(おねだりしたら本当に焼いてくれた)を、ツリーで飾った食堂で調理部隊の皆と食べるんだ。

後はサンタさんとして日頃お世話になってる人達にお手製のプレゼントを渡しに行きます。

…クリスマスにお歳暮を取り入れた形に近いのかしらん。


「ユーリちゃん、準備出来たから食べようか」

「はぁーい!」


オルディマさんの呼びかけに、準備してた白いプレゼント袋を担いでテーブルへと歩いて行った。




準備されていた王道のショートケーキとブッシュ・ド・ノエルを目で楽しんだ所で切り分けてもらい、舌でも楽しむ。ケーキの隣には、ノンシュガー・ストレートの紅茶。


オッジさんに「あーん」を要求して、さり気無くショートケーキの主役イチゴを強奪してみたり。


三馬鹿トリオの兄さん達は、「あーん」をしたいがイチゴは食べたいと本気で苦悩してた。意外に可愛いな。悩み過ぎてディルナンさん達にぶっ叩かれるのは相変わらずのクオリティーだけど。


そんな兄さん達の横で、アルフ少年は残ってるケーキのお皿を抱えて物凄い勢いで食べてた。最近よくお腹が減るんだって。まぁ、見るからに成長期だもんね。甘い物も好きみたいだし。

見かねてラダストールさんとディオガさんがそれぞれショートケーキとブッシュ・ド・ノエルをアルフ少年に譲ってた。そしたら何と、アルフ少年までイチゴを「あーん」してくれた。万歳。

そんなアルフ少年に三馬鹿トリオの兄さん達が本気の殺気を飛ばして、ラダストールさんとディオガさんに拳骨を落とされていた。




ケーキを食べ終わり、皿を厨房に運んで片付けた所で、一人ごそごそとプレゼント袋を漁ってテーブルに準備したプレゼントを出していく。


貯めていた給料おこづかいで、二回前のお休みの日に一番お城に近い集落の雑貨屋さんで包装用の丈夫でカラフルな紙を三種類とキレイな便箋、お絵描き用の色鉛筆を、食料品店では目的の食材五点をゲットしてきました。


食材はお風呂の前にケーキを作るオルディマさんの横でちまちま加工し、亜空間にて保存してます。後は仕上げの加熱だけ。


雑貨の方は、一回前の休みの日に部屋に籠って加工。

包装紙は正方形に切り分けて、折紙してから箱を組立ててみた。小学生の頃は良くこんなの作ったりしたよなーと懐かしく思い出してみたり。

そんな箱の中には感謝のお手紙と一枚の手作りチケットが入ってる。

その名もズバリ、『ゆっくり済ます・・・・・、おかしこうかん券』




………………親父ギャグでゴメンなさい!(脱兎の如く逃走)







えー、ゴホン。気を取り直しまして。


再び食堂に揃ってきた調理部隊の面々に「めりーくりすます」と言いつつお歳暮代わりのプレゼントを一つづつ渡していく。

全員が折紙の箱に目を丸くしてる。


「あけてくだしゃい」

『…開ける?』

「あい。かいたいできます」


こっちで折紙を見た事無いから、珍しいんだろうな。

何も言わずに開ける様にお願いしてみると、全員が箱をまじまじと観察し始めた。


「…ここ、かな?」


誰よりも早く、オルディマさんが一つ外す。でも残念。一つだけじゃその箱は開けられない。

でも、取っ掛かりが分かれば後は簡単だね。


「凄いな。これ、ユーリちゃんが作ったのかい?」

「あい。がんばりましたー」


何せ、さり気無くお世話になってる人は多い。人数分組み立てるのは結構な時間が掛かりました。

だってちゃんとした箱を一個ずつ買ってたらお金掛かるし。

ディルナンさんと同室なので、隠す場所の関係上コンパクトさも重要です。


オルディマさんの解体した箱を見て、他の面々も続く。

あ、シュナスさんが微妙に潰した。


手紙とは別に中の券を見て、オッジさんがこっちを見る。


「…オルディマの横で作ってたヤツか」

「じーちゃ、見ちゃやーよって言ったのにー」


完全にバレバレです。まぁ皆様、私が作業するのをどこか落ち着かない様子でコッソリ伺ってたのは分かってたけど。

ぷぅっと頬を膨らませると、にゅっと伸びて来たディルナンさんの右手でアッサリ潰された。「ぶふっ」ってなったよ!?


「たいちょ!」

「スマンな、つい」


口では謝っているが、全く悪いと思って無いのが丸分かり。しかも、他の人達まで声を殺して笑ってるしっ。


「たいちょーなんか、キライー!」


恐らく赤面してるであろう顔を隠す様に、プレゼント袋を引っ掴むと食堂を飛び出した。







衣装協力の鍛冶部隊の服飾担当部門を筆頭にジョット隊長にもプレゼントを渡し、医療部隊と設備部隊に書類部隊も回り、帰りに出会った情報部隊のヴァス隊長にも渡してみた。

勿論、謎かけついでに何も言わずに開けて貰う様にお願いしてます。やたら不器用な人はいなかったが、渡した人達の中でエリエス隊長が一番不器用だった。意外な事実が判明したものだねー。


ヴァス隊長は基本無口だけど、会うと何故か高い高いをしてくれる。これが意外に楽しい。

更に、夜遅いからと部屋の前まで抱っこで送り届けてくれる。何て紳士。


ちょこっと覗いた食堂にはもう誰もいなかった。…あんな馬鹿みたいな飛び出し方しちゃった事を明日、ちゃんと謝らなきゃ。


ヴァス隊長と別れて部屋に入ると、何故か調理部隊の面々が勢揃いして待ってた。

そして、ディルナン隊長が微妙にくたびれてるのは何故だろう。


『メリークリスマス! プレゼントありがとう』


全員が手にしていたのは、空だがお酒のグラス。どうやら二次会らしい。


「ユーリ、さっきのお詫びに隊長が”取って置き”を開けてくれるらしいぞ」

「お酒!」

「今日は特別だ。飲め」


大人気無い事したのに、皆が優しい。そしてお酒解禁の一言に、現金ながらウハウハしてしまう。

シュナスさんが用意していた冷やしたシャンパンの口を景気良く開ける。


「取り敢えず、少しだけな」


そう言いつつ、シュナスさんから一センチだけ注がれたグラスを渡される。

まぁ、この体でお酒を飲むのは初めてだ。仕様が無い。

全員のグラスにシャンパンが注がれた所でオッジさんが乾杯の音頭を取ると、全員で乾杯をしてさっさと飲み始める。


手の中にあるグラスの中のキレイな琥珀色、底から小さな泡が生まれてくる飲み物を眺め、香りを嗅いでみる。

爽やかなブドウの香りに混じって、アルコールの匂いが鼻を擽った。

恐る恐る一口に含むと酸味と甘さ、それとアルコールが生む熱が舌に伝わる。

久々の美味しいアルコールにグラスを傾けると、あっという間にシャンパンは姿を消した。


それと同時に、私の意識もフェードアウトした。







翌朝、起きれずにディルナンさんに叩き起こされた挙句に襲い掛かって来た頭痛。見事な二日酔いの症状だった。

これには速攻でオルディマさんの付き添いで医務室に連れて行かれ、素晴らしい笑顔のヴィンセントさんに素敵すぎる美声で脅す様に子供の飲酒による弊害を語られ(下手な怪談よりもずっと怖かった)、恐ろしく苦い薬を一切拒否権が無い状態で飲まされる羽目になった(色々な理由で半泣き状態だったのに、ヴィンセントさんはとても楽しそうでさえあった。ドSだ)。


これには流石の私も挫けて心に誓った。

お医者さんモードのヴィンセントさんは怒らせると超怖いから良い患者になります。美味しかったけどお酒は成人してから。これ、絶対。




その日の夜、どうにかお仕事を終えてディルナンさんにぐったり抱きかかえられるまま部屋に戻ると、実はいくつものプレゼントが用意されていたのに漸く気が付いた。

沢山のプレゼントが入った箱が、ベッドの頭側に積まれていたのだ。

私サイズの小さな調理道具類に、とても素敵な文具と便箋のセット、新しい服や靴にカバン、応急処置セット、小物を入れておける可動式のチェストなどなど。凄いよ!



「”サンタクロース”が来たみたいだな」


なんてプレゼントを開いた私にディルナンさんが笑って言ってくれた。


どうやら、北の魔王城には存外過保護で隊服姿のままの素敵なサンタクロースが沢山いるらしい。

今度お礼に行かなきゃと思いつつ、取り敢えず目の前の”サンタクロース”ディルナンさんに飛びついてみた。

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