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かわいいコックさん企画部屋  作者: 霜水無


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2015年2月3日の活動報告より まさかの採用決定!?

やって来ました、土の一月(二月)。

魔大陸の季節が一巡し、新年を迎えております。


そして、本日は三日。


魔大陸的新年兼節分に行われる成人男性の伝統的行事、豆まきがございます。


一昨年前の、鬼軍・福軍に分かれた北の魔王城十四部隊のフニ豆弾幕による対決は衝撃的すぎて記憶に新しいです。

私は怪我人用の救護テントにて医療部隊要員として待機と言う名の特別避難をしてたけど。

でも治療に来る人って、基本的に私の手に負えない怪我人ばかり。見てるだけしか出来ません。


そんな訳で、今年も調理部隊の炊出しテントにてチョッピリお豆クッキングをして待ってみようと思います。

レッツ☆クッキング!






まず、餅つき用の餅米を蒸すのに使われた蒸し器を温めておき、型に敷紙を敷いて置きます。


そして取り出しますは主役の餡子。砂糖に塩、小麦粉、片栗粉、水。そして甘く炊いたお豆。これら全て計量済みです。


纏めて振るっておいた粉類を餡子の入っているボールへ投入。

更にお水も投入し、泡立て器である程度滑らかになるまで混ぜる。


混ざったら半分まで型に入れて平らに均し、ここで甘く炊いたお豆を満遍なく散らす。

その上に残りの餡子達を流し込んで再度均したら、後は蒸し器に入れて蒸すだけです。


ここまで来たら、私が何を作っているかお分かりだろうか?


…ズバリ、答えは蒸羊羹です!




今でこそ羊羹と言ったら煉羊羹が主流だけども、江戸時代に寒天が出現するまでは羊羹と言えば蒸羊羹だった事をご存知だろうか?


そもそも羊羹とは、羊のお肉が入った羹(あつもの。温かいスープ)を精進料理として再現した食べ物。だから甘くなかった。


時代が巡って砂糖が少しずつ出現して進化し、砂糖羊羹なんて呼ばれたり。更に寒天出現で完全なる甘味の地位を確立した訳だけど。


スープが最後には甘味に変化しちゃったんだから、面白いよねぇ。




閑話休題


まぁ、私が単に羊羹が食べたくなった訳ですが、魔大陸にはゼラチンはあれど寒天が無かった訳で。


なので、揃えられる食材で作ろうと思ったら蒸羊羹になりました。


煉羊羹とは違った少しもっちりした食感と、さっぱりした甘さが美味しいです。


秋に収穫した栗は調理部隊の皆様と食べちゃったので、今回は栗蒸羊羹は断念。

代わりに節分なので、煮豆を入れた豆づくしな蒸羊羹にしてみたいと思います!


さ、蒸し上がりを待つ間に片付けなきゃ。







「甘い匂いがする」


今年も福軍として勝利を収めて戻って来た調理部隊の面々。

そんな中、アルフ少年が真っ先に蒸羊羹の匂いに反応する。


「ユーリちゃんが犯人だね。…今回は何を作ったのかな?」

「じゃーん!」

『………』


丁度良い頃合いだったのでオルディマさんの質問に蒸し器の蓋を開けて答えると、何故か返って来たのは沈黙。


「見た目黒い石鹸なのに、甘い匂いがする」


凄く微妙そうな表情で言うアルフ少年の言葉が、恐らく周りの心境なのだろう。


「節分だから、あんこで作ったお菓子なの」

「餡子なのか、コレ⁉︎」

「しょーよ」


疑いの眼差しのアルフ少年に証明すべく取り出そうとすると、ディルナンさんが取り出してくれた。

少し冷却してから敷紙ごと取り出し、端を薄く切って味見。


うむ、まごうことなく蒸羊羹。お豆が良い味出してる。


「花飛んでるぞ」

「ふむ、試す価値ありだな」


もっきゅもっきゅ食べてると、そんな声が聞こえてきた。


「食べるー?」

『貰う』


何だかんだ言いつつも断らないのね。


一センチ位の厚みに切って一人ずつに配ると、それぞれが一口。

どこか恐る恐るだ。失礼な。


だと言うのに、二口目からはペロリと平らげる。

それぞれが食べ終えるなり互いに頷きあった。


更に揃いも揃って私を見て、ニヤリと笑う。

…あれ、何だか悪寒が。


「…詳しい評価は後だ。そろそろ炊出し準備に動かねぇと」

「ユーリ、コレ、ちゃんと取っておけよ!」


ブルリと震えている間に、調理部隊の面々が一斉に動き出す。

更にはアルフ少年が念押しして行った。


…取り敢えず、この蒸羊羹しまっとこ。

何だか怖いもの。







そんな蒸羊羹。

何とこの後、献立会議を経て二階の食堂へと上げられてしまったり。


魔王様、実は生クリームやバターをたっぷり使った甘い物が余り得意では無いみたいでデザートを断られる事も珍しくないんだとか。かといってゼリーやババロア、ムースも特別好きでは無いそうで。最近は専ら果物ばかりだったらしい。

そこで何か新しいデザートは無いかと模索してたんだそうな。


そう言えば、前のバレンタインのチョコ入りいちご大福も食べて貰えたんだよな。

魔王様、案外和菓子なら食べられるんじゃないかな?


でもこんな事になるとは露程も思ってませんでした。はい。


ついでにロイス隊長によって合わせるお茶として抹茶と緑茶の中間なモノを用意されてしまった事をコッソリご報告しておきます。

お茶と蒸羊羹を食べる魔王様…シュール。

でも、珍しく手を伸ばしていたとのご報告をロイス隊長から頂きました。


ロイス隊長、私もそのお茶欲しいです…。

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