2014年12月12日の活動報告より ちょっぴり違うけど作っちゃった
風の二月(十二月)十二日。
とある製菓会社が「ダースの日」に制定している事をご存知だろうか。
元々ダースとは、十二個を示す単位。
最近ではその名の如く十二粒入ったチョコレートが販売されているので、ダースと聞くとすっかりチョコレートが出てくるけど。
そんなこんなで、こんな時間ですがチョコレートが食べたい私です。
「ふーん、それでオレの出番って事か」
「あい!」
甘味と来たら、やっぱりアルフ少年でしょ。
勝手にアルフ少年と甘味同盟を組んでるよ!
「この長方形の入れ物に十二個一組で作るんだね」
そして、今回は超強力な助っ人がもう一人。
私が雑貨屋さんで仕入れて置いた入れ物を見つつ概要を確認するのは、何とオルディマさんです!
チョコ食べたいなーとアルフ少年と密談してたら、何だか楽しそうだから入れてと今回特別に参加してくれたり。
「あ、オレ、良いショコル持ってます」
「おや。…うん、確かに」
「あーん」
アルフ少年が亜空間から巨大なショコルの塊を取り出せば、その欠片を口に入れてオルディマさんが頷く。
このチャンス、当然見逃せない!
雛よろしくオルディマさんに向かって口を開けて待っていると、小さく笑って欠片を口に入れてくれる。
このままでも凄く風味が濃くて美味しいチョコだ。これを加工したら、絶対に美味しいチョコが出来るわ。
「うまー」
「これなら、特別何かを加え無くても美味いっスよね」
「そうだね。…オレが持ってて使えそうな材料は美味しいアマルドと酒かな?」
少し考えてオルディマさんが亜空間から取り出したのは、アーモンドと見るからに良さ気なお酒の瓶。飲兵衛なセレクトだ。
そんなオルディマさんが出してくれたアーモンドをアルフ少年とポリポリ食べてみたけど、凄く美味しい。
こうなったら、私もとっておきを出しちゃう!
「ボクはねー、乾燥果物」
農作部隊特製の、すんごく甘くて美味しいドライフルーツ。大粒の苺に厚みがあって甘味とほろ苦さが絶妙なオレンジ(オラジュ)、こちらも厚みがあってジューシーな桃の三種です。
ただし、数が揃ってるのはオレンジ(オラジュ)なので、今回はこちらのみで。
アルフ少年とオルディマさんが試食してしっかり頷く。
「あんまり種類を広げても大変だし、この四種類位でいいかな」
「そうっスね」
そんなこんなで、作製開始です。
ショコルのブロックを細かく刻み、生チョコに加工する為のガナッシュにする分とテンパリング分に分ける。
私は、シンプルとアーモンド(アマルド)担当。
とは言ってもシンプルは生チョコにすべくオルディマさんがガナッシュにした物を型で固めた後切り出した物にココアパウダーを付けるだけだから、特にやる事なし。
アーモンドも軽く炒って風味を増した物を一粒ずつの型の底に入れて、テンパリングしたチョコを流すだけなんだけど。
アルフ少年はテンパリングとオレンジ担当。
手際良く大量のチョコをテンパリングしてくれました。
それから他のチョコのサイズに合わせて小さな長方形に切ったドライオレンジにテンパリングしたチョコを八割位浸し、乾燥させて行く。オランジェットですよ。
一番大変なのはオルディマさんで、生チョコのガナッシュを作製してからお酒をチョコの中に封入するボンボンを作っている。
一度型にチョコを入れて、周りが固まったら余分なチョコを出してお酒をいれ、最後にチョコで蓋をして固めるんだけど…。
オルディマさんが作業してるとちっとも大変そうに見えないのは何でだろう?
アルフ少年とオルディマさん、どちらも見てて勉強になります。
そんなこんなで無事に四種類のチョコが出揃って参りました。
オルディマさんの計算通り、用意していた入れ物にピタリと四種類×三個な十二個が収まる。素敵。
あ、私はお酒禁止令がヴィンセントさんから出されているので三種類×四個ですよ。
お説教怖い。
因みに作製に関わった三人分は勿論、他に九個…これまた一ダース分出来ちゃいました。
後でお裾分けに行ってこよっと。
「片付けも終わった事だし、半端分が少しあるから頂こうか」
「あいっ」
「勿論っス!」
そんな事より、今は目の前のチョコですよ。
わーい、念願のチョコだー!
アルフ少年とオルディマさん監修なチョコが美味しくない訳が無く。
一個ずつ味わって食べてたら、途中でオルディマさんにストップがかけられた。
「うぅー」
「本当はつまみ食いもダメって言われてたんだよ? いっぱい食べるのはもっと大きくなってから。ね?」
「うううぅぅぅー」
「安心しろ、ユーリ。オレが食っとくから」
それ、一番安心出来ないっ。
目の前で本当に食べちゃってるしっっ!
涙目でアルフ少年を見つつ、早く大人になりたーい! と心中で叫んだ私は悪くない。
そんな私の横で、苦笑いしつつも私の禁食に付き合ってくれるオルディマさんの優しさが心に沁みる。
そんでもって、食べた振りして明日用にコッソリ取り置いてくれたアルフ少年の優しさもちょびっとだけ嬉しかった。