2014年10月16日の活動報告より 秋のキノコにときめいて
秋です。
秋と言えば、山の食材が特に美味しい季節ですね。じゅる。
と言う訳で、本日のお休みはアルフ少年とキノコ狩りに来ております。
沢山取って、キノコ三昧じゃー!
…なんて思っておりました。
ちょっと収穫に夢中になっている間に、アルフ少年とはぐれてしまいました。
迷子です。ピンチです。
微妙に黄昏つつ、ドングリを見付けたので「どんぐりころころ」を歌っておりました。
そこまではまぁ、良いんだけど。
今、私の頭の中には別の曲が流れ出しております。
あるーひー、森の中ー、くまさんにー、出会ったー♪
熊 MEETS GIRL♪(違う?)
気付かれてる。
めっちゃ見られてる。
超涎出てる。
「うぎゃー、にーに!」
これはもう逃げるしかないでしょう!
半泣き状態で、ダッシュ。取り敢えず逃げるが勝ちですよ。
一応結界張って、攻撃だけは防ぐ様にしてますけど。
アルフ少年、どこー⁉︎
「ユーリ!」
幸いな事に、逃げて三十秒と掛からずアルフ少年と合流。
思わず抱き着く。
「どこに行ってたんだ。あれだけ動き回るなって言っておいただろう!」
「にーに、くまさんでたー!」
「は? クマサン⁇」
怒られたが、それに負けずに半泣きで叫ぶとアルフ少年が目を丸くする。それに少し遅れて私の後ろを見て、アルフ少年の表情が引き締まる。
「ベガールか。…ちょうど良い。アレも狩ってくか」
言うが早いか、アルフ少年が腰の牛刀を抜き放ち、熊に向かっていく。
えええぇぇぇっ⁉︎
まさかの対応に呆気に取られている間に、アルフ少年が熊を瞬殺していた。
…調理部隊、皆狩りが上手って本当なんだね。
熊さん、私を食べるつもりがまさかの逆展開になっちゃったね。南無。
そのまま更に手際良く血抜きをして熊を解体し、亜空間にお肉にしてしまうアルフ少年がとても頼もしいです。
「よし、んじゃ色々獲れたし帰るぞ」
「あい…」
お肉を亜空間にしまい、今日一番の笑みを見せたアルフ少年に、頷くしか出来なかった。
収穫したあれこれを使って、調理部隊の特別製夕飯である熊鍋をアルフ少年と仕立てて行く。
途中で三馬鹿トリオの兄さん達が怪しげな白いキノコ(何処で採って来たの?)を持って来たので、アルフ少年が三人分を別鍋で仕上げてた。
結論。色々あったけど、やっぱり山の恵みは最高です。
調理部隊の皆様、私を怒りつつもナイス囮ってのはどうなの?
この人達、変な所でアバウトだよなー。
…それにしても、熊鍋うまぁー✧*。٩(ˊᗜˋ*)و✧*。
***************
翌朝
「「「ぎゃー⁉︎」」」
朝一から三馬鹿トリオの兄さん達の悲鳴が響き渡った。
何事かと皆で様子を見に行くと、三人それぞれの頭の上に毒々しい赤・紫・黒のそれは立派な(なんとも言い難い形の)キノコが。
これにはオルディマさんにアルフ少年と共に三馬鹿トリオの兄さん達から隔離される。
「にーに…」
「やっぱり、ヤバイキノコだったか…」
思わず二人で顔を見合わせて呟く。
「うわっ、胞子が大量に飛んでやがる!」
「こいつらの部屋、封鎖しろ」
「医療部隊を呼んでくる」
「オレ達は先に厨房に入るぞ」
そうこうしている間にも、大人達がテキパキと対応していく。
先に厨房に向かうディオガさんとオッジさんに続いて私達も厨房へと歩き出した。
「三馬鹿先輩と鍋分けてた理由を隊長と副隊長に昨日の内にツッコまれたから、こんな事もあろうと例のキノコの事を現物付きで報告しておいたんだ。流石は三馬鹿先輩。嫌な予想を裏切らない」
アルフ少年、君も案外苦労してるんだね。あんなでも先輩だもんね。
それにしても、あんな姿になるのは絶対に嫌だ。
あのキノコは絶対に食べない様に注意しようっと。
【医療部隊での診察風景】
いきなり開いた医務室の扉に、当直担当の医療部隊の担当達が急患かと気を引き締めた。
「タケリダケ…」
「見事な生えっぷりですね」
「文献よりもご立派で…ぷっ」
しかし、シュナス・オルディマ・ラダストールに首根っこを掴まれて連行された三馬鹿を見た瞬間、揃いも揃って呆れ、感心し、噴出す。
「タケリダケってのか、こいつは」
「おはようございます、ディルナン隊長」
「こんな朝っぱらから碌でも無いの連れて来てスマンな、グレイン、フォル」
笑い声に釣られて、奥に控えていた医療部隊の隊員達まで出て来て爆笑が更に広がっていく。
そんな中、三馬鹿を押し込めて最後に医務室に入ったディルナンが顔見知りに声を掛けると、二人が目礼する。
「昨日、この馬鹿三人が自分達で採って来た訳のわからんキノコを鍋に入れる様に下のに言ったらしくてな。何かヤバいと思った下のはコイツ等の分だけ分けて作ったから、オレ達は何とも無い。きちんと現物付きで報告も来てるから持って来た。
それとは別に、この通り胞子を飛ばしまくっててオレ達は浴びてるんだ。この場合はどうすればいいのか聞きに来た」
「胞子を浴びる分には何ともありませんが、口から取り込まれると同じ状態になりますよ。入浴と着替えをオススメします。それと、念の為に調理部隊に抗生剤を処方しましょう」
ディルナンが端的に来た目的を話すと、グレインがすぐに切り返す。
「分かった。朝食準備があるから、薬は後でもいいか?」
「準備が出来次第、お届けに上がります。こちらの三人はお預かりになりますが…」
「連れてって、北の魔王城全体にタケリダケを広げろってか?」
「清掃部隊をすぐに手配致しましょう」
「頼む」
話をさっさと済ませた所で、ディルナンを筆頭に連行して来た面々も医務室の扉へと向かう。
「あぁ、それとディルナン隊長」
「何だ?」
「このタケリダケ達、医療部隊で頂いても? 何せこんなキノコですので、滅多に手を出す者はいないもので。資料が少ないんですよ」
「好きにしてくれ。何なら三馬鹿も朝食時間帯くらいまでなら好きにして構わんぞ」
グレインの申し出に、ディルナンが頷いてさっさと医務室を出た。
その足で四人揃って風呂場へと向かう。
「厨房覗きがてら、洗浄マットを通ってるとは言え他の四人にも改めて洗浄魔術使う様に言った方が良いな」
「無駄な時間食った」
「今日はメニュー変更だ。時間短縮で作れるモンにする」
「恐らくじいさんがその辺考えてるかと思いますよ」
そんな会話を交わす四人の後方からは、三人分の悲鳴と爆笑が響いていた。