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2013年11月15日の活動報告より  ポッキーの日追加小話

その一:離脱したその時(アルファイス視点)




何でこうなるんだ!


心の中で叫びつつ、向かうのは隊長の部屋。

オレとユーリが「ポッキー」なるお菓子を作る間、隊長の部屋で他の面々は酒盛りをするって話だったのに。


まさかの三馬鹿先輩達の乱入だ。


乱入だけならともかく、マズイ方向に向かってるのは間違い無い。

オレだって子供の頃は母さんの手伝いという名の元に、パン生地でアホな工作したさ。

だけど、何もユーリに態々そんな事教える必要無いから!


仮にも先輩達だし、オレじゃ止められない。


頼むから変な事覚えてくれるなと祈りつつ、隊長の部屋に駆け込む。


「…どうした」

「隊長、直ぐ来て下さい! ユーリが三馬鹿先輩達におかしな事教え込まれちまうっス」

「何だと?」

「あの人達、乱入してきて生地でチ◯コ型作ってるんスよ!!」


状況を説明すると、部屋で酒盛りをしていた他の面々までが直ぐに立ち上がった。

…かなり強い酒ばっか並んでるけど、誰も酔っ払ってる感じは無い。


「アイツ等、トイレから戻らねぇと思ったら….!」

「余計な事ばっかしやがって!」

「よく知らせに来たね、アルフ。一緒に行こう」


オルディマさんが言う間にも、他の面々は食堂へと走り出していた。

それに続きつつ、この後のフォローをどうしようかと考える。


「三馬鹿も懲りないなぁ。ここらできっちり締め上げるか」


いつもと大して表情は変わらないけど、オルディマさんのその笑顔が酷く怖い。


…よし、オルディマさんを見習ってどうにか有耶無耶にしてみよう。







その二:三馬鹿トリオのその後(バース視点)




「随分立派な教えをしでかしてくれたじゃねぇか。ぁあ?」

「「「ス、スイマセン…((((;゜Д゜lll))))))) 」」」

「スマンで済むなら、警備隊なんかいらねぇんだよ!」


食堂から連行されたのは、食堂に声が聞こえない医療部隊に程近い小会議室。


久々に隊長の本気の怒声が響き渡った。


ディルナン隊長は基本、そこまで怒鳴り付ける人ではない。寧ろそれはシュナス副隊長だ。だというのに、今回の副隊長は扉の側で黙って立っているだけだ。


「育児書によると、あの位の子供ってとんでもない所で覚えた変な事喋るのが普通らしいんだけど。ユーリちゃんの立場が微妙なだけに、隊長がどれだけユーリちゃんに聞かせる言葉に気を付けてたか分かってないよね?」


オルディマが笑顔で正論で刺してくる。


独身男(ディル)が必死こいて育児書読みつつ、ヴィンセントの野郎に助言貰ってまで積み上げてたモンを何だと思ってやがる!」

「ジジイ、やかましい」


オッジじいさんの言葉に、ディルナン隊長のツッコミが入った。


…隊長、陰でそんな努力をっ!(泣)


「子供が自発的にやるならともかく、態々教えるこっちゃないだろう」

「大の大人が率先してやる事じゃないな」


ラダストールとディオガも心底呆れた顔で告げる。…地味に耳に痛い。


「ユーリが他所で…書類部隊やら医療部隊でチ◯コなんて叫んだら、調理部隊(ウチ)は終いだ」


そんな中、ディルナン隊長が呟いた言葉に、部屋を沈黙が支配した。


「ーーー…その三人組はそんな事をあの子に教えたのかい?」

「ーーーそれはそれは…、仕置きが必要ですね」


だがその沈黙を打ち破ったのは、まさしく話題に出た医療部隊のヴィンセント隊長と書類部隊のエリエス隊長。


まさかの登場に、こちらに向けられた殺気にも似た怒気に、サムとカインと硬直するしかない。


「珍しくディルナンの怒声が聞こえたと思ったら、それは怒りたくもなるだろう」

「本当に。ユーリの次回の検診の時間調整に来ただけでしたが、このままでは帰れませんね」


二人をアッサリ通したらしい副隊長は、どこまでも涼しい顔をしている。


「隊長、オレ等はサッサと終わらせて、後は任せれば良くねぇか?」

「あ?」

「アルフ一人にフォローさせるにゃ辛いだろ」


副隊長〜!


あぁ、オレ達、詰んだわ……。







その三:食堂に戻ってきた面々を出迎えたのは…(ディルナン視点)




三馬鹿の仕置きを終え、明日仕事が出来る程度にと条件を付けてヴィンセントとエリエスに引き渡して来た。

ヤツ等がどうなろうと後は知らん。


「あ、おかえりなさいっス」


出迎えの言葉を告げるアルフ。

その腕に凭れる様にしてユーリが寝こけていた。


そんな二人の前には作ったらしい、パスタを太くした様な形状の四種の焼菓子。


「ユーリが待ちくたびれて寝ちゃいました」

「寝かせなかったのか?」

「隊長達に一緒に食べて欲しかったみたいっスよ」


苦笑して告げるアルフに、優しい空気が流れる。

ユーリの発する少し間抜けな寝息に、さっきまでの苛立ちが消されるから不思議だ。


「それは悪い事をしたな」

「もう風呂に入ってるし、このまま今日はオレの部屋で寝かせるんで、良かったらツマミに少し持ってって下さい。感想聞かせてやれば喜びますよ、きっと」

「分かった」


明日には今日のアホ騒ぎを忘れててくれ。


眠るユーリに願いつつ、そっと髪を撫でた。







その四:ポッキーとプリッツモドキのその後





やって来ました、五の付く日。

アルフ少年とお菓子屋さんに突撃します。


だって、いつでもポッキーとプリッツモドキが直ぐに食べられる様になったら最高だもの。


「てんちょーさん、こんにちはー」

「こんにちは」

「いらっしゃいませ、お待ちしておりしたよ」


いつも通りの笑顔で出迎えてくれる店長さんにまずは挨拶。


「あにょねー」

「はい、何でしょう」

「にーにと新しいお菓子つくったのー。お菓子屋さんでつくれましゅか?」


そして本題に入りつつ、作ったポッキーとプリッツモドキを店長さんに渡す。


「これはこれは…」

「レシピはコレっス」


アルフ少年からはレシピの書かれた紙が店長さんに渡される。


「他ならぬユーリちゃんのお願いですから、しっかり検討してみましょう」

「わーい!」




その三ヶ月後、ポッキーとプリッツモドキは無事に販売に漕ぎ着けてみたり。

食べ易さも手伝って、人気の商品となるのはもう少し後の話。


尚、その報酬として一ヶ月に一度、ポッキーとプリッツモドキを貰える事になりました。やったね!

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