2013年10月31日の活動報告より ハロウィン小話
火の三月、月末。
やって来ました、ハロウィン!
今年は農作部隊が気合いを入れてかぼちゃを育ててくれたので、超巨大なジャックオーランタンが彼方此方にいます。
そんなかぼちゃの中身は数日前のお昼のかぼちゃのポタージュになりました。クリーミーで美味でした。
仕事終わりの時間を迎え、北の魔王城も俄かに活気付く。
お菓子を持った隊員の姿もチラホラ見た。
そんな中、私はコソコソと隠密行動中。
今年の私は一味違いますよ!
準備完了、所定の位置にスタンバイしております。
後はカモが引っ掛かるのを待つのみ。
ドキドキしながら外の様子を伺っていると、ディルナンさんを筆頭に調理部隊の面々と共にエリエスさんやヴィンセントさん、ジョットさんにカラフさん、更にはヤエトさんやジーンさんに加えてツェンさん、ヴァスさんがやって来るのが見えた。
此方に向かって来るのを確認しつつ、タイミングを測る。
丁度目の前を通り掛かった所で、いざ出陣!
「トリックアンドトリート!」
勢い良く、隠れていた巨大かぼちゃのジャックオーランタンの中から飛び出すと、三馬鹿トリオの兄さん達が「きゃっ」と悲鳴を上げて跳び上がった。
案外可愛いな、兄さん達。
他の面々も目を真ん丸にして驚いている。
ドッキリ大成功‼︎
因みに今の私、自費で購入したシーツで作ったオバケの仮装をしております。
「お菓子くれなきゃ、もっとイタズラするでしゅよ〜」
「随分可愛いらしいオバケねぇ」
オバケらしく動きつつ言うと、カラフさんが笑いつつお菓子を出してくれた。
美味しそうなフルーツケーキ!
目の前の餌に釣られ、必死にジャックオーランタンをよじ登る。
私のフルーツケーキが待っている!
よじよじとかぼちゃと格闘する事、暫し。
最後にはずり落ちる様な格好で着地する。
そのままカラフさんの元にぽてぽて走って行くと、何故か爆笑が起きた。
「…ククッ、随分と鈍臭いオバケがいたもんだ」
「可愛いオバケじゃないですか」
「これでこそユーリだ」
物凄い爆笑されてる。………何かモヤっとする。
でも何故か撫でくり回されて、お菓子が次々やって来る。
終いには普段よりも豪勢なお菓子の山に、どうでも良くなった。
ま、いっか!
「さ、ユーリちゃん、今度は服飾担当部門の衣装に着替えて練り歩きよ! 彼方此方で待ちわびてる人がいるんだからっ‼︎」
張り切るカラフさんとは対照的に、酷く落ち着いたアルフ少年にポンポンと肩を叩いて激励された。
と言うか、三馬鹿トリオの兄さん達以外の面々が生温い目で見てる。
………ちっとも良くないかもしれない。
結局、カラフさんに拉致される勢いで連れて行かれ、屍寸前になるまで見世物になりつつお菓子攻めに合い、漸く解放された。
オルディマさんが入れてくれたホットミルクがやけに染みた……。
イベントの改良を心に誓いつつ、さっさと夢の国に撃沈したハロウィンの夜。
【後日:「ユーリちゃんを見守り隊!」会議にて】
「隊長! ユーリちゃんのハロウィン特集号、増版分も完売です!!」
「会報の影響か、有料でもいいからユーリちゃんが着た様な衣装のデザインの基本を譲って欲しいと各集落の子供服屋は勿論、大人用の服屋からも依頼が殺到しています!」
「…流石はユーリちゃんだ」
「経済効果、どれだけだ?」
「これ、上手くすれば城の臨時予算分ぐらいの収入になるんじゃないか?」
「エリエス隊長とマルス副隊長に至急相談するとしよう」
本人の知らない所で別の意味で大事になっていたり。




