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かわいいコックさん企画部屋  作者: 霜水無


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23/66

6月6日 コックさんの日企画 踊るシュワ・パンナ

水の二月(六月)。

季節の名前の通り、梅雨みたいにジメジメはしていないけど雨が多いです。今日も案の定雨。


ここ一週間、ずっと雨の所為か食堂のパンの命とも言うべきシュワ・パンナが元気が無い。その所為かパンが何となくポソポソしてる気がする。

現に今も外で風に当ててあげても何となくしょんぼりしているし。

本当は晴れるのが一番なんだけど、ちょっと気分転換を一緒にしてみたいと思います。




「ちゃーんちゃーかちゃーんちゃーん」


ちょっとアホみたいだけど、日本ではお馴染みのラジオ体操。

音楽を口ずさみながら、シュワちゃん達の前で体操中。因みにこれ、間が空いたりしてるけど三日目。

今日も天気は雨。


体(手だけ?)でも動かせば気分転換になるかなーと思って。


実際、少しずつ覚えたシュワちゃん達が一緒に体操を始めている。

器用な子は、何とリズムまで取っている。そんな子は目がキラキラしている所を見ると楽しいみたい。

これがまた実に可愛い光景だったりする。


「…ユーリ? 何してるんだ」


一通り体操を終えると、厨房からアルフ少年が顔を出した。

これは、アルフ少年にも見て貰うしかない!


「にーに、見て見てー」

「うん?」


シュワちゃん達の乗ったバットをアルフ少年の前に持って行って、もう一度最初のあたりの音楽を口ずさむと、シュワちゃん達が揃って体操を始める。少しズレてるのもまた可愛い。


「え」

「シュワちゃん達しゅごいでしょー?」


目を丸くするアルフ少年を超ドヤ顔で見上げる。


「すげぇなー」

「たいそうしたらね、シュワちゃん達ちょっこっと元気になったの」

「アルフにユーリちゃん、どうかしたのかい?」

「あ、オルしゃん、見て見てー」


感心するアルフ少年にニコニコ笑っていると、オルディマさんもひょっこり顔を覗かせたので早速自慢します。


「これはまた………」

「お前等はこのクソ忙しい朝に何をしてやがる」

「ふくたいちょ、見て見てー」


更にはシュナスさんも加われば、観客が増えた事でシュワちゃん達もやる気倍増です。

中々にキレのある良い動きを見せてくれてる。


「ユーリ、何を仕込んでんだ…」

「でも副隊長、シュワ・パンナがいつもの水の季節よりも元気ですよ」

「そう言えば、ここ二、三日発酵水の状態が良いってディオガが言ってたかもしれない」

「ぁあ?」

「シュワちゃん達おりこうさんー」

「取り敢えず後だ後。さっさと準備!」

「はいっ」

「あいっ」


裏口辺りでわいのわいのしていたら、最後にはシュナスさんがキレた。

アルフ少年と一緒にきちんと返事してシュワちゃん達を連れて行く。


「明日もいっしょに体操しよーね」


シュワちゃんを一匹ずつ撫でながら声を掛け、発酵水を作る様に瓶に収まって貰う。

よく見ると、瓶の中で皆で顔を合わせながらまだラジオ体操の練習をしていた。

…和む。







実はこのシュワ・パンナ達、後に寝ている時以外はいつもラジオ体操している姿が確認される様になる。

更にはいつの間にか私と一緒にラジオ体操している所を三馬鹿トリオのサムさんにイラストにされており、気付けば『踊るシュワ・パンナ』として会報に紹介されて注目を集める事になる。


そんなシュワ・パンナの分裂体達は大人気で引き取り先が抽選になるが、それはまだ先のお話---

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