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私は平凡周りは非凡   作者: 雪香
33/34

真剣勝負は保護者同伴


ええと。うん……


「あねさん?」

「「「はい!」」」


凄くキラキラとした目を向けられています。見知らぬ中学生に。

あねさんって、姉じゃなくて姉御の姐さんだよね。


「…ええと?君達は一体…?話しが見えないのだけど。」


赤青緑の3人は、お互いに顔を見合わせたと思うと、同時に大きく頷き合う。初めに口を開いたのは赤髪くんである。ちなみに少し吊り目だったりする。


「…はい!実は土曜日に姐さんが、あの金城綺羅と対峙している所を見かけまして…。」


次に、タレ目の緑髪くんが続けた。


「…狂犬と恐れられる金城綺羅の手当てを進んで行おうとするのに、僕たちは痺れました!」


ですので、と大きい眼鏡の青髪くんが拳を掲げる。


「是非とも僕たちの姐さんになって貰い、金城綺羅への対応策を教えて貰いたいと!」


ふんふん。

特に何も言わずに聞いていた由香利なのだが、あまりの突っ込みの多さに睡魔に身を委ねたくなってしまっていた。


もう帰りたい。期待に満ちた彼らの瞳を無視できず、というか弟と同年代だろう事があり…返事を絞り出す。


「姐さんは…止めて。」


「え!では、何て?」

「あ、姉御とか?」

「お姉さま?」


どれも嫌です。

嫌そうに眉をしかめれば彼らも分かってくれた様で、うーんと首を捻る。 由香利の方は何でも良いのでさっさと決めて欲しかった。


「じゃあ、私の名前は有川 由香利だから、名前で呼ぶ?」


とりあえずの妥協案だったのだが、それに納得してくれた様で元気良く「分かりました!」と返されたのだった。これで良いだろうと、丁度来た電車に飛び乗り、座席に座り一息吐く。


「…へえ~、ゆかりさんって 電車通学なんですね!」

「流石高校生です。」


なんで居るんだこいつ等。え?嫌がらせ?

疲れ気味に頭を抑えて何で着いてくるのかと尋ねると、これから始まるある事を見に行きたいらしいのだ。

ある事?


「え?!ご存知ですよね?あの世紀の大決戦を!」


頬を紅潮させて力強く言う青髪くんに悪いが、全く検討がつかない。そう言うと、見るからに肩を落とされショボくれる三人。


だから、一体なんの事?

まだ理解出来ていない由香利に痺れを切らした緑髪が、一度「コホン」と咳払いをする。


「…つまり」

「つまり?」

「金狼シキと紫鷹キラとの大決戦じゃないですか!」


……………。はい?


「…ナニソレ?」


あまりに意味不明の単語が耳に流れてきて、問い返すのが精一杯だ。どうしよう…その名前私に関係無いよね?


一抹の不安で三人を見返すと、赤髪くんが何処か誇らしそうに胸を張った。


「知らないんですか?紫鷹キラと言えば金城綺羅、金狼シキと言えば有川四毅といって、ここらでは二大トップですよ。」


なんの?とは怖くて聞けなかったが、楽しそうに話す彼らは妙に怖い。確かに三人は、普通の生徒では無い雰囲気である。


いわゆる不良?的な?四毅…こんな子達と付き合ってるの?いや、見た目で判断しないけども。世紀の大決戦…。そういえば、あの金城って子『約束の場所で待つ』とか四毅に言ってた様な。月曜日だから、今日だよね。何処のゲームセンターだろう?チラリと緑髪くんを見てみる。


「…その決戦の場所、知ってる?」


由香利の思わず出た疑問に、三人の目が輝いたのは知らない振りをして置こう。


「はい!次の駅です!」


…やっぱり言わなきゃ良かったかも。


『間も無く~○○駅~』


車掌のアナウンスに重たい腰を上げて、なるべく時間をかけて電車を降りる。


「うおー!やべえ、あの有川じゃねえか!

「有川さん!やっちゃってくださーい!」

「金城~!負けんなー!」


少し歩くと、歓楽街の様な道に入っていく。目当てのゲームセンターの前には、何やら人混みが目に入った。


はーい、有川さん…此処にいますよ。

遠い目でその喧騒を眺めていれば、青、赤、緑髪が突然目の前で叫び出す。


「「「金城綺羅やられちまえー!!」」」

「…ああ?!誰だ!ぶち殺す!!!」


すると、人混みから誰かが飛び出して来る。勿論、三人…もう信号と呼ぼうか?いや、黄色はいないけど。三人は何故か由香利の後ろに隠れた。


「ゆかりさん、やっちゃって下さい!」

「…ちょ、ふざけんな!」


まるで相手をい殺さんばかりの金城に、三人はぶるぶると震えるのみである。


「…あ?お前は有川四毅の…」


由香利の姿に金城の目が見開かれた時、また新たな声が加わるのだった。


「あ?由香利じゃねえか。」

「昴…?」

「あ!兄貴!」


金城が昴を目にし、指を差して声を上げる。

え?昴がこの子の兄?!










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