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私は平凡周りは非凡   作者: 雪香
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嵐の帰宅

大変お待たせしました!

いつもご感想に励まされます。

昼食後、それぞれでダラダラと過ごす有川家。


ふう。慎二の家事力で楽だなあ。

得意科目を教え合う双子をのんびり見ながら、ソファに横になる由香里。その時、家の前で停車する車のエンジン音が響く。


「……ん?」


自然と姉弟で顔を見合わせると、スッと隆一が立ち上がる。セールスや勧誘は、大体一目で相手が弱腰になる隆一が出る事が多いのだ。因みに、回覧板や新聞の集金は由香里か三弥だったりする。


何だろう?と思いながら隆一を待っていると、バタバタと廊下を歩く音が聴こえた。


「「たっだいまー!」」


二十代に見えそうな美男美女のカップルと、その後ろには疲れきった様子の長男が続く。早速帰宅後恒例の、構い倒しに合ってしまったらしい。


…うわ。

帰って来た!


ノット・ウェルカムな姉弟を尻目に、大量のお土産をテーブルに並べ始める。


「これはね~今ロンドンで流行りなんだけど!隆くんに似合うと思うの~」

「あ、これなんだが……で、……だけど、ぜひしーくんに~」


三弥…寝ちゃダメよ。

頃合いを見計らい、なんとか由香里は入り込んだ。


「…で?今回はどの位居られるの?」


捲し立てていた二人は、やっと口を閉ざし眩しい程の笑顔を浮かべる。


「「一週間!!」」


どう?嬉しい?と言わんばかりの両親とは対照的に、あくまでこども達の反応は冷ややかだった。


「…ふーん。」


やっと出た慎二の返事に、由香里も苦笑してしまう。

…まあ、仕方ないなあ。行事や参観に来ないくせに、休みが取れたら急に帰って来るもんね。

冷たい姉弟の態度に、父はめげずにグイグイと迫る。


「いやあ、それにしても皆背が伸びたなあ?どうだ?四毅なんか、彼女でも出来たんじゃないか?」


頃合いを見て逃げた隆一は置いて、ターゲットになったのは末っ子である。


「そーねぇ!しーくんはカッコいいものね!」


さも楽しげにそれに便乗するのは母。


「うっせえな!いねーよ別に。」


それに対し苛立ちを浮かべる四毅は、関わるなとばかりに吐き捨てる。すると、ニヤけ顔の父の瞳に涙がキラリと見えた。


「…ぐすっ。どうしよう?!ママ、四毅くん反抗期だよ?!」


わ。うるさい。そーいえば、二年前は隆一が同じ目にあったっけ。

一人頷く由香里は、関わりたくないので三弥とゲームを始める。その隣では慎二がヘッドフォンを付け、勉強中を装う。


「…由香里ちゃーん!」


うっわお?!やっぱり来たか。

予想通りの行動にうんざりしつつ、平静を保ち顔を向ける。


「何~?」

「うう…しーくんは、反抗期になったよ。助けて~」


本当にこの人達は親なのか、と由香里は頭を抱える。

心を落ち着けようとこほんと咳払いを1つ。


「しーき。こっちにおいで?」

「…うん。」


手招きする由香里に、四毅は従順に傍に寄っていく。ポンポンと頭を撫でれば全く拒まず受け入れる弟。


「ほら、反抗期じゃないでしょ?」


両親に言えば、更にうなだれ膝をつく父と、慰めながらも強く拳を握り母は口を開く。


「…一週間で、汚名返上よ!パパ!」

「いやいや。諦めなよ?父さん母さん。」

「…っだって。このままだと客人扱いじゃない?!」


落ち込む母だが、由香里の脳裏には幼少時自分に後追いする双子が浮かんでいた。

…まあ、この子らが姉ばなれする良い機会か。

ふと考え込んでいると、インターホンの音が響く。

ああ、もう!この忙しいの時に!

行こうとする慎二を制し、素早く玄関に向かう由香里。


「はい、何のご用ですか?」


玄関の扉を開け、そう言いながら相手を観察すれば清潔感のある服装の中学生ぐらいの少年がいた。首を傾げた由香里に、少年は緊張気味に頭を下げる。


「…突然すみません。あの、上谷 次郎といいますが有川 慎二さんはいらっしゃいますか?」







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