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私は平凡周りは非凡   作者: 雪香
14/34

緊迫的危機?

うわー。


周囲を囲む柄の悪そうな少年達に、由香利は背に嫌な汗を掻く。


…まあ、目付きの鋭さは四毅の方が買ってるけどね。

現実逃避で場にそぐわない事を考えていると、不良達が何やら由香利と慎二に視線を向けて来た。


「…お前ら金城(こいつ)の仲間か?」


いやいやいや!


「どう見ても違うと思うけど?たまたま通ったんだよ。…行っても良いかな?」


ごく自然にサラリと言う口調の慎二に、不良達も何かを感じたのか、自分を睨み付ける金城と慎二を見比べる。それから頷き合うと口を開いた。


「…確かに関係無いようだな。なら、さっさと消えろ。」


少し輪をずらし空いた場所に、直ぐに慎二は由香利の腕を引いて足早に立ち去る。刺激しない様にあくまで平静を装い、近くの角まで向かうと目配せして息を吐く。


あー…ビックリした~。

でも良かった、見られたからには…みたいな事にならなくて。

あくまであの金城って子が標的だったのかな?

てか…四毅め。


乱れた息を整えながら、隣で壁に寄り掛かる慎二に向く。


「…どうする?帰ろっか?」


由香利の言葉に慎二も苦笑を浮かべ、静かに頷く。


「うん。そうだね…」


その時、元の場所から喧騒が届いた。そっと様子を伺うと、金城に襲い掛かる同年代の少年達。


「うわ。凄っ…。」


基本的に穏やかな性質上で、お坊ちゃんの集まる学校に通う慎二は眉をしかめる。こういった現場を見る機会は早々無いだろう。


「そーね。とゆーか、警察来るんじゃない?……あっ!」


由香利の方は、住宅街で起こる騒ぎにハラハラしていると、劣勢に陥り殴られる金城に声を上げた。


ちょ、大丈夫なの?

殴られる少年に、末の弟が重なり眉を寄せるが、自分が行っても慎二を行かせても末路は見えている。由香利が悩んでいると、その場に複数の人影が集まって行く。


「…アンタ達人ん家の前で何やってんだい!」

「こらガキ共警察呼ぶぞ!」


おお、おじさんオバサン軍団が。

凄い剣幕の近所のオバサン達に、不良達も舌打ちをし慌てて逃げて行ったのである。その場には、なぐられた痛みのせいか動けない金城が残された。


「…ん?一人残ってるね。」

「…どうする。お巡りさんに来て貰って…。」


金城を囲み話し出すオバサン達に、金城の表情が歪む。それを見て、自然に由香利の足が動く。


「あの、すみません!」

「え?姉さん?」


戸惑う慎二を放り、少年に近付くと、普段から良くしてくれているオバサンが気づいた。


「…あら由香利ちゃん、どうしたんだい?」

「こんにちは。あの、その子なんですが…。」


チラリと視線を向けると、強い瞳で睨んでくる金城。


「何だい、知ってる子なのかい?」

「…まあ。えっと、弟の知り合…友だちみたいなので。」


由香利の言葉に不思議そうな表情になるも、何か思い付き大きく頷く。


「ああ、四毅君の友だちだね?確かにあの子の友だちらしいっちゃ、そう見えるねぇ。まあ、あの子は根は良い子だからね。」


自分で納得したのか、他の近所の人に上手く言いくるめ、特に反論無くそれぞれさっさと帰って行った。それを見送り、少し距離を取ったままゆっくり金城と目を合わせる。


「…えっと、立てる?」






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