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私は平凡周りは非凡   作者: 雪香
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団らんです 前編


「たっだいま~。」


間延びした口調で、玄関の扉が開けられた。怪我で早退していた由香利は、ぼんやりとハンバーグを作っている。


…今日は金曜日だから、二日休みか。

あー、藤野さんにアドレス聞きたかったな…。


溜め息を吐いた由香利には、帰宅した弟の声は聞こえていない。


「…あっれ~?姉さん?兄さん、双子?誰か居る~?」

「……慎。」


騒がしく入って来た弟に気付き、やっと顔を上げた。慎二と言えば、由香利の姿を見つけると直ぐに目を輝かせて近付く。


「姉さん!今日は早いんだね?」


嬉しそうな弟に、由香利は一端思考を止めて顔を向ける。


「んーまあね。」


何となく額を見せないように、料理に精を出している風を装う。


…見つかったらうるさそう。


まとわりつく慎二に着替えを促し追い払うと、付け合わせを買ってきて欲しいと隆一に電話を掛けて置く。ある程度完成すると、着替えを終えた慎二がやって来た。セットした髪を下ろした弟に、思わず内心げんなりとしてしまう。


何でこんな格好良いんだろう…。

マジで私だけ親違うんじゃない?

…と思うが、私の容姿は祖母にそっくりらしい。


料理が終わりリビングのソファーに腰を掛けると、慎二が隣に座って来る。


「…金曜日に帰って来るの珍しいね?」


リモコンを手に取りテレビの電源をつけながらそう言うと、慎二は軽く頷き返す。


「うん。俺が早く帰りたいなーって言ったら、皆なんか頑張ってくれたんだぁ。」


…へー。何というか…


「なんか、生徒会の子って良い子みたいだね。」


特に深い意味無く言うと、慎二は曖昧に笑みを浮かべる。


「うん、良い…人達だよ。…それより、明日何処か行こうよ?」


自分にくっついて来る弟に、由香利は頭を捻る。最近は自分がインフルエンザだった為、確かに弟達との時間は取れていない。


…うーん。

そーだな、何処か行こうかな?


少し考えて首を傾げた時、忘れていた額に掛かる髪が揺れた。


「姉さん?…そのおでこの、どうしたの?」


心配そうに優しく額にそっと触れ、真剣な表情の慎二に由香利は口中で呻く。


…適当に誤魔化すか。

と思い口を開き掛けた時、玄関の扉が開き「プルル」と固定電話から音が鳴り響いた。


「ただいま。」


…あ、よし出るふりで…。


「…出るぞ?」


立ち上がりかけると、丁度帰って来た隆一が受話器を手にする。


…こんちくしょう!

隆のばっきゃろう!


ムスッと隆一の様子に目を向け、此方をじいっと見つめる慎二への対処に頭を悩ませる。


「…もしもし、有川ですが………………あ?

由香利…って、誰だてめぇは。」








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