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甘い嘘

 ひとつひとつと時計の短針は歩みを進める。

 さっきまで口ずさんでいた歌も、もう過去のものなのかもしれない。

 飾り気のない笑顔だって、嘘だと言えば嘘になるものね。

 甘い蜜の味を知ってしまえば、それなしでは生きてなどいけなくなるものね。

 貴方だけじゃない、安心なさい。

 人間は誰も、そういう生き物なのだから。

 誰かのせいにするのが上手な、身勝手な生き物。

 無表情な、嘘の上書き。

 それさえできりゃもういいって気になってる。

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