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72.寝顔撮影

自動改札通過後、時刻は既に2時を回っていた。

本来の予定通りであれば、遅くてもホテルには到着している予定だったこの時間に、未佳達はようやく、駅の出口に止まっていたホテルの迎え車に乗り込んだ。


出口前に停まっていた迎え車は、水色の車体に青の横じまが入っている、小さなバス。

さらにそのバスの両サイドには、今回宿泊する予定のホテルの名前が書かれていた。


ちなみにこのバスの座席定員人数は、二人掛け5列の列が両サイドに一つずつ。

つまり計20人だ。


「じゃあ先頭の未佳さんから順番に、適当にお好きな席に座っちゃってください。このバスは私達専用なので」

「あっ・・・、はーい」

「スタッフの皆さんも早めに乗り込んでくださーい。かなり時間が押してますのでー!」

「「「「! はーい」」」」


その後メンバーの後ろにいたスタッフ5名、そして最後まで残っていた日向や栗野も座席に座り、ようやく発進する準備が整った。


ちなみに皆の座席場所はというと、未佳とリオはバスの左側3列目の2席。

その二つ後ろの最後尾でもある5列目に厘。

さらにその斜め前の右4列目、窓側の座席に手神。

そしてその2つ前の右2列目の窓側に、長谷川が座っていると言った感じだ。


またマネージャーの栗野と日向の二人は、メンバーに対してのスケジュール説明がしやすい点。

そして女性メンバーでもある未佳や厘の異常にすぐに駆け付けられるという点から、未佳達と同じ左側の1列目に着席していた。


「皆さーん、準備はいいですね~?」

「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」

「じゃあ・・・、今日はホテルまでよろしくお願いします」

「「「〔「お願いします」〕」」」


皆が一斉にそう言って頭を下げると、バスの運転手でもあるおじさんは何とも言えない優しげな笑みを浮かべて、同じく未佳達に頭を下げた。


「はい。分かりました。なるべく安全運転で急いではみますが、たぶんー・・・。到着には15分ほど掛かるかと・・・」

「あっ、大丈夫です。スケジュール調整は一応しておりますので・・・。むしろ、それくらいでしたら早い方です」

「あっ、そうですか? じゃあ・・・、ホテルの方にお連れしますね?」

「はい」


やがて皆を乗せたバスがゆっくりと発進し、未佳は一時的に豊洲駅に別れを告げると、リオから取り返したウォークマンのイヤホンを耳に入れ、電源を入れた。


その後、一般のバスよりはスローペースながらも、確実に街を走り抜けるバスの窓側に、ふっとリオは目を移す。

走るバスの車窓から見える景色は、まるで流れるように次から次へと違う景色を映し出していく。

そのどれもが、リオが今まで見たことのない街並みだった。


もちろん、多少は関西の街並みと似ている部分もある。

しかし何故かここで見る景色は、大阪の景色と完全に『同じ』とは言えないのだ。


それが目に映る人々の姿からなのか。

はたまた建物の形からなのか。

その辺りの細かなことは分からないが。


するとその後。

隣の窓側の席に座っていた未佳は、ふっとリオが何かを見つめていることに気付き、その方角に向かって視線を移す。


リオが見つめる先にあるのは、未佳の座席側でもあるバスの車窓。

『そういえばこの前の移動途中にも見てたっけ』と、未佳はついこの間の大阪イベントのことを思い起こす。


(もしかしてリオ・・・。小さい子みたいに窓の外とか見るの好きなのかも・・・・・・)


だがこの小さいリオの座高を考えると、少々今いる位置から景色を見るのには無理がある。

そう感じた未佳は音楽を止め、右耳のイヤホンを外してそっとリオに声を掛けた。


「・・・・・・ねぇ」

〔・・・ん?〕

「何なら席代わる?」

〔えっ・・・?〕

「そこじゃよく見えないでしょ? 私通路(そっち)側でもいいから」

〔・・・うん〕


リオはその未佳の提案に少しだけ驚いていたようだったが、その後は少さく未佳に対して頷き返し、二人はお互いの座席を交換。

こうしてリオが窓側、未佳が通路側の席に身を落ち着かせる形となった。


やがて席替えが済むと、リオは落ち着くや否や窓枠に手を掛け、頻りに外の景色を覗き込む。

その姿は本当に人間の子供のようだ。

そんなリオの姿にクスリと小さく笑いながら、未佳は一時的に止めていたウォークマンの電源を入れるため『HOLD』スイッチに指を掛ける。

その時だ。


「・・・あれ? 未佳さんこっち側に移ったんですか?」

「へっ・・・?」


ふっとその声のした前の方に首を向けてみれば、そこにはたまたま後ろを振り返ったような様子の栗野が、こちらの方をじ~っと見つめていた。

この様子からすると、どうやら自分の列にいる未佳や厘の様子を確認しようとしていたらしい。


一応リオとの会話が見られていたわけではないようだが、いきなり前方から声を掛けられたということもあり、未佳はその声に何ともキョトンとしたような返事を返してしまった。

するとその未佳の返事を聞いて、栗野が面白おかしそうに『フッ』と吹き返す。


「未佳さん、返事が・・・」

「・・・えっ? あっ、ゴメン! 唐突だったから・・・。ハハハ・・・」

「でもなんで通路側に? そっち壁もなくて落ち着きにくいでしょ?」

「ま、まあ・・・。でもいいの。何となく今はこっち側」

「あぁ・・・、そう・・・」

「うん・・・。じゃあ私、到着するまで仮眠取ってるから、栗野さん起こさないでね?」


それだけ言って座席の右側に丸くなる未佳に、栗野は小首を傾げながら再び前を向き直った。

するとそんな栗野の様子に気が付いた日向が、読んでいたファッション雑誌を顔から離し、隣に座っている栗野の方に視線を移す。


「・・・? どうかしたんですか? 栗野さん」

「・・・えっ? あっ、いえ・・・。なんでも・・・。ちょっと未佳さんが位置変えたのが気になっただけ・・・」

「・・・・・・何か窓に見たくないモノでも写ってたんじゃないですか?」

「あっ・・・。そういうこと??」

「しかし皆さん・・・、本当にすみませんね。バスが東京駅まで迎えに行けず、で・・・」


ふっと1列目に座っていた栗野達に向かって詫びを入れる運転手に、栗野と日向はお互いに首を横に振った。


「「いえいえいえいえ!!」」

「とんでもないですよ! そんな・・・」

「工事が原因の渋滞だったのなら、それは仕方のないことですし・・・」

「でも・・・。たかが電車の一つや二つの乗り換えだったというのに、結構大変じゃありませんでした?」

「「・・・・・・・・・・・・」」


ここで思わず無言になるということは、聞かれている内容がその通りであるという証拠。

その二人の反応に、運転は前方を見つめたまま笑う。


「ハッハッハッ! いやね。私の地元がここだったものなので、若い頃はよくあの電車に乗ってたんですよ。今じゃほとんど乗りませんけど・・・」

「えっ? 『乗ってた』って・・・、JRにですか?」

「ええ。だからいつも満員電車に乗り込んで揺られてるような状態で・・・。もっとも半年間もそんな通勤生活をしていると、多少は慣れてきますがね?」

「「へぇー・・・」」


『でも私はきっと慣れないわ・・・』と、栗野が静かに胸中で思ったのは、もはや言うまでもない。


「・・・えっ? ということは・・・、前はここのバスの運転をしていたわけじゃないんですか?」

「えっ? ええ。前は東京の方の公共バスを・・・。でも歳を重ねるうちに、仕事先とかの移動がしんどくなってきたり、色々とね・・・。それでこっちに転職したわけですよ。何せそれでも、バスの運転が好きだったものですから」

「「ははは」」


そんな運転手との会話をしばらく楽しんでいた、そんな時だ。

ふっと運転席の上部に取り付けられているサイドミラーを見た運転手は、そこから微かに写り込んだ観客達の姿に、再び笑みを浮かべて口を開く。


「ありゃ? なんだか皆さん・・・、コレの前の満員電車でかなりお疲れになったみたいですね」

「「えっ?」」

「だって、乗られている方の半分以上が寝てますよ? 今ここで見てみたら・・・」


そう言われて再度二人が後ろの方に視線を向けてみれば、自分達の後ろ座席に座っているホテル移動組全11人の内、計5人もの人間が、揺れるバスの中で熟睡していた。

さらにその5人の中に入っている長谷川と手神に至っては、もはや『熟睡』というより『爆睡』のような状態である。


「ホーント。揃いも揃ってみ~んな寝てるわ・・・」

「長谷川さんと手神さんなんて、行きの新幹線の中であんなに寝てたのに・・・」

「ははは。やっぱり主役の方達は、皆さん大変お疲れのようですね。メンバーの方々みんな寝てらっしゃるんでしょ?」

「えぇ・・・。・・・ん?」


しかしよくよく寝ているメンバーやスタッフ達を確認してみると、一人だけ。

たった一人だけ、栗野達が『寝ている』と思い込んでいた人物がいた。


それは、栗野達が座っている右側の座席の最後部座席。

窓側の席で静かに下を向いていた、CARNELIANメンバーの一人。


「・・・いいえ。まだ一人だけ起きてます・・・」

「「えっ?」」

「厘さ~ん!」

「・・・・・・・・・えっ・・・?」


ふっと突然前の方から名前を呼ばれた厘は、行動的にはかなりゆっくりとした動きではありつつも、しばし下に向けていた顔を正面の方に向けた。


その厘の手元には、先ほど新幹線の中で読んでいたものとはまた別の文庫本が1冊。

そして厘の右中指と薬指の間には、よく勉強部分として用いられる黄色いマーカーが、実に安定した形で挟まれていた。

おそらくいつものように、読んでいる途中で気になった箇所にマーカーでも引いていたのだろう。


しかしそんな読書ばかりをしている厘のことが、栗野は少々心配だった。

というのも厘はこの日、空いた時間に読書や川柳ゲームしかしていないのである。


「厘さん、また本読んでるんですか?」

「うん。・・・イケナイ?」

「別に『イケナイ』っていうわけじゃないですけど・・・。でも一度も仮眠せずに読書し続けてるのは感心しないですよ? 厘さん、朝の新幹線乗り込んでから今まで、1回も寝てないでしょ?」


別に『読書』というものを否定するつもりはないし、悪いものだと思ってはいない。

むしろ『読書』は必要なものでもあるし、ずっと続ける価値があるものだと思う。


しかし大事な仮眠や睡眠時間を割いてまで読書をするのは、まったく別の話だ。

ましてや今日は朝早くから移動やらミーティングやらがあったというのに、途中で一度も仮眠をせずに読書をしているのは、身体的にも生活リズム的にもよくはない。


特にずっと文章を読み追い掛けている目にはかなりの負担だ。

一応、厘はメンバーの中では一番視力がいい人間ではあるのだが、だからと言ってこの無理のあり過ぎる読書をしていいということにはならない。


「今回は朝も早かったんだし、何より読書は目が疲れやすいんですから・・・。移動時間的には15分くらいしかないですけど、ちょっとは仮眠を取ってください。この後ホテルでも色々と忙しくなるんですから・・・」

「・・・・・・・・・・・・」


しかし注意された厘本人はというと、その栗野の忠告を右から左へ聞き返すだけ。

この忠告を聞く気など、彼女には更々なかった。


むしろそればかりか、厘的には貴重な読書時間を潰されたようにも感じて、やや冷めた視線を栗野に送った後、再び本の方に首を向ける。


「別にええ。本読んでる方が楽しいから・・・」

「! ・・・・・・も~う・・・」

「あ~ぁ~・・・。厘さんのご機嫌損なわせちゃった」

「ハハハ」

「人聞きの悪いこと言わないでよ。日向さん」

「だってあの目。遠巻きでもかなり『イラッ』ってきた感じの目に見えましたよ?」

「まあ厘さんのことだし、そんなにマズイ状態になるとは思ってないですけど・・・・・・それにしても爆睡してるわね! この周り・・・!!」


栗野はそう口を開きながら、おもむろに席を立ち上がって辺りを見渡す。

バスでの移動はたったの15分ほどだというのに、栗野の視界からよく見える位置にいた人間は全員熟睡、もしくは爆睡だった。


「みんな新幹線の中で寝てなかったのかしら・・・」

「でもあの後の満員電車はかなり堪えましたし、考えてみたら今2時ちょっと過ぎでしょ? ・・・なんだかんだで一番眠くなる時間帯じゃないですか?」

「・・・考えてみたらそうだわ・・・・・・。あっ! そうだ~♪」

「へっ?」


ふっと何かを思い付いたのか、栗野は突然両手の平を一度だけ『パンッ』と打ち合わせ、何やら自身のカバンの中を漁り始めた。

その栗野の行動に『一体何をしているのだろう?』と、日向はしきりに栗野の方を覗き込む。


すると栗野はカバンの中から、何やら長方形の灰色がかったものを取り出した。

しかもその長方形の中心には、何やら黒い円状のものが取り付けられている。


実はこれは、栗野がイベントやライヴの際などには必ず持参している、事務所の記録用コンパクトデジカメ。

ただしこのカメラで撮られたものの多くは、基本的会報誌のフォトコーナーとして使われるので、メンバーや一部の人間の間では『会報カメラ』という愛称で呼ばれている。


ちなみにこのカメラで記録用撮影などを行っているのは、もっぱら栗野一人だけ。

一応『活動の記録を収める』という肩書きがある以上、このカメラ撮影というものは列記とした仕事内容なのだ。


もっとも今は、まったく違う目的でこのカメラを使用しようとしているのだが。


「さてとっ♪」

「あれ? ・・・それ会報カメラですよね?」

「そうよ。会報カメラ」

「まだ本番でもないのに? 一体何の撮影を??」

「決まってるでしょ? メンバー皆さんの寝顔よ。寝顔」

「ねっ・・・『寝顔』!? うわぁ~・・・、なんだか楽しそうな仕事してますねぇ~」

「そう言いながら目はジト目ってどういうことよ?!」


そんな余計な会話も挟みつつ、栗野はバスが信号で止まっているタイミングを見計らい、そっと座席を離れる。


まず最初に向かったのは、左4列目の座席で爆睡していた手神の座席付近。

一応寝ている手神を起こさぬよう近付いてみたのだが、かなりのレベルにまで爆睡していたのか、起きる気配はまったくなかった。


その後栗野は最高の寝顔写真を撮るべく、手神の一つ前の座席へと移動。

だがその座席には、元々イベントの手順表を再確認していた男性スタッフがいたのだが、彼にはこの写真撮影のために、一時的に隣の通路側の席へ移ってもらった。


こうして手神のちょうど真ん前の席に辿り着いた栗野は、背中からではなく胸から伸し掛かるように座席へと座り込む。

そして背凭れの上部分に両手を乗せ、カメラを手神に向かって構えた。

あとはピントがあったその瞬間を狙って、シャッターを切るだけ。


手神はまるで窓にも垂れ掛かるかのように、窓に頭頂部をくっ付けたかのような体勢で寝ていた。

栗野はカメラのピントを合わせると、そのままの位置のものと顔のズーム、合わせて3枚ほどの写真を撮り、再び場所を変更する。


続いて栗野が狙ったターゲットは、手神の座席から2列前の席で爆睡している長谷川。

ただしこちらは、一つ前の座席にスタッフが二人とも座ってしまっており、さらにこの二人も完全に寝入ってしまっていたので、長谷川は隣の通路側の席から撮る形となった。


しかしこの位置で撮るとなると、少々こんな問題も発生する。


「栗野さ~ん。その位置でいい写真撮れるんですか~?」

「う~・・・ん・・・。微妙! 目標相手に近過ぎて、ピントと画が収まらない」

「・・・まあ、真隣りですからね」


それから奮闘し続けること約2分。

ようやく栗野は、椅子に座った状態でも上半身を引けばレンズに収まるということに気付き、ややキツイながらも長谷川に向かってカメラを構えた。

先ほどの窓に頭をくっ付けて寝ていた手神とは異なり、こちらは正面からやや背凭れに頭を反り返らせるように乗せて、口を大きく開けたまま爆睡している。


そんな長谷川の寝方に、栗野はやや額に玉汗を浮かべた。


(・・・・・・たま~に電車の中でこんな寝方してる人見掛けるけど・・・。まさか長谷川さんもその寝方だっただなんて・・・・・・。顎と首痛くならないのかしら)


ついついそんなことも考えさせられつつ、栗野は、今度はズームを一切使わずに、そのままの距離と位置でシャッターを3回切った。


「・・・よしっ! あと残ってるのは~・・・」


栗野の最後の目標は、当然のことながら右の3列目で眠っている未佳である。

今度は未佳の前の席が空いていたので、栗野は『サササッ』と長谷川の座席から移動。

手神の時と同じショット位置と体勢で、未佳にピントを合わせる。


そしてカメラのシャッターボタンに指を掛けた、その時。

ふっとここであることが気になり、栗野は一旦レンズから目を離して、未だ眠っている未佳を肉眼で見つめた。


「ん・・・?」

「? ・・・どうかしたんですか? 栗野さん」

「えっ? あっ、ううん。別に大したことじゃないんだけど・・・。なんか未佳さん、変な寝方してるなぁ~って思って・・・」

「・・・?? 『変な』・・・『寝方』?」

「だってほら。なんでか分からないけど未佳さん・・・。窓側の背凭れの上部分に手を掛けて寝てるのよ? ちょっとおかしくない??」


そう栗野が説明したとおり、何故か未佳は、隣の座席の背凭れ部分に左手を乗せ、小さな寝息を立てていた。

さらにその未佳の仮眠体勢は無意識からなのか、何故か伸ばしている左手以外はなるべく通路側の座席の中に収めようと、体を小さ縮込ませている。


そんな未佳の寝方に、栗野は口元に手を当てながら、声を抑えてクスクスと笑った。


「な~んでこんなに小さくなってるのかしら・・・。フフフ・・・」

「確かに・・・」

「まあ、いいわ・・・。とりあえず写真だけ撮っておこ~っと・・・」



パシャッ!

・・・パシャッ!

パシャッ!



「はい♪ 寝顔撮影終了!」

「おぉ~っ!」


その後すぐさま撮ったばかりの写真を確認した栗野は、その小さな画面に映し出された未佳の画像映像を見て、再び口元に手を当てながらクスクスと笑い出す。


「・・・・フフフッ。でも変なの~。なんでざわざわこんな寝方~?」

「ですよね・・・。隣の座席もどうせ空席なんですから、隣に完全に寄り掛かってもいいのに・・・」

「むしろこういう寝方するんだったら、最初の時みたいにずっと窓側にすればいいのに・・・。なんでわざわざこっち側に来てるのかしら~・・・」

「ねぇ~?」


一方音楽を聞きながら眠ってしまっていた未佳は、無意識ながらも左手でそっと、こちらに寄り掛かるようにして寝ていたリオの右肩を掴んでいた。

ほんのちょっとした衝撃でも、リオが椅子から落ちないように・・・。


『予期せぬ・・・』

(2005年 7月)


※事務所 調理室。


さとっち

「なんか毎回思うんやけど、東京とかどっか地方でイベントとかライヴ終わった後・・・。この1回事務所に戻るシステム何とかへんかなぁ~(苦笑)」


みかっぺ

「仕方ないじゃな~い。一応コレ反省会も兼ねて集まってるんだから・・・」


さとっち

「やっと大阪に戻ってきたんやから帰りたいわ・・・(ボソッ) しかも今深夜12時過ぎやぞ?」


みかっぺ

「ハハハ・・・(苦笑) 実は私、自分へのご褒美でここの冷蔵庫に入れてたのがあるのよねぇ~♪」


さとっち

「うわっ、目敏っ! ほな僕は冷食の唐揚げでもつまみで食べよ・・・」


みかっぺ

「~♪ ・・・・・・・・・あれ?」


※ふっと冷蔵庫の中に入れていたお楽しみがないことに驚くみかっぺ。


みかっぺ

「ね、ねぇ・・・。私の明太子知らない? 昨日の朝に冷蔵庫の中に入れてたんだけど・・・」


さとっち

「知りませんけど? ってか・・・、僕今日ずっと坂井さんと東京にいたし・・・。入れたの昨日なんでしょ?」


みかっぺ

「うん・・・。あれぇ~?! 私確かに入れたのに・・・」


さとっち

「ん? ・・・ウ゛ワ゛ァッ!!(絶叫!)」


みかっぺ

「えっ? どっ・・・、どうしたの!?(驚)」


さとっち

「なんか電子レンジん中ビチャ~なってる~っ!!(悲鳴)」


みかっぺ

「・・・・・・はっ?(謎)」



あの二人・・・。

黙って帰ったな?(ーー゛)


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