70.厘の呪い~乗り換え改札~
「ハァー・・・」
改札通過後。
先ほどの厘と未佳の行動によって疲れ果てた手神は、しばし落胆の溜息を吐きながら駅構内を移動していた。
そんな手神の様子に、ずっと傍にいた長谷川は同情しながら苦笑いを浮かべる。
「しっかし手神さん、ホンマに災難でしたね。無くした特急券見つかったのに、まさか既に改札を通ってた小歩路さんがソレ持ってただなんて・・・」
「ま、まあ・・・。僕の立場からだと何とも言えないけど・・・」
「もーう・・・。さっき小歩路さんのことをあんな風に笑ったりするから、こんな目に遭うんだよ? 手神さん」
そう自分の真ん前を歩いている未佳に言われ、手神はふっと顎に手を当てて考え込んだ。
確かに今回手神が起こしたミスは、特急券を車内の座席付近に落としてしまうという、初歩的なミス。
下手をすれば最近の子供ですら起こさないようなミスだろう。
そんな失敗を、こんな40という歳にもなって。
しかも普段からよく乗っているはずの新幹線で起こしてしまったということは、やはり厘をからかったことが原因なのではないだろうか。
もちろん、そんなものは手神本人が感覚的に思うことであって、実際に『厘をからかったから罰が当たった』という証拠は何処にもない。
しかしそうだと自分では分かっていても、何故かそのせいのように思えてしまって仕方がないのだ。
特に今さっき自分が起こしたミスが、何処か先ほど厘がやってしまったミスと似ていただけに。
「・・・・・・そう言われてみたらそうかもしれない・・・」
「え゛っ?」
「ほーらね。やっぱり小歩路さんをからかったから、こんな悪い“呪い”に掛かっちゃったのよ」
その唐突に出てきた『呪い』という言葉に、厘はギョッとしながら未佳の方に首を向ける。
「そんな、みかっぺ『呪い』って・・・。ウチは幽霊や悪霊ちゃうよ?」
「でも似たようなものじゃない。手神さんがあんな失敗やっちゃったんだし・・・。これぞ! “小歩路厘の呪い!!”」
「・・・・・・なんか地味に名前だけ恐なったね」
「そ、そう? 私そのまんま言っただけなんだけど・・・」
「でも仮に小歩路さんの呪いだったとしても、僕はもう一回やっちゃったんだから問題ないな。うん」
しかしもしこれが厘の呪いであるとするならば、まだ呪い自体は完全には終わっていない。
まだここに、呪いの効果らしい効果が起こっていない人物が一人いる。
「ほな次は・・・、必然的にさとっちやね・・・」
「え゛っ・・・?」
「うん。そういえばさとっち。確かさっき小歩路さんのこと一番からかってたよね? フラグも立ったまんまだし、もしかしたら手神さん以上に悪い目に遭うカモ?」
そう口にする未佳は言っている言葉とは裏腹に薄笑いを浮かべて、右手をやや口元に近い右頬に当てながら長谷川に忠告した。
そしてそんな未佳の姿に、未佳の隣を歩いていた厘もまた薄笑いを浮かべて、自分の真後ろを歩いている長谷川を横目で見つめる。
しかしその目は、未佳にからかわれた長谷川を微笑ましく見ているような優しい感じの目ではなく、何処か冷たく凍り付いたかのような目だった。
その厘の視線と未佳のからかい内容に、長谷川は一瞬『ゾッ・・・』としながら苦笑する。
「ハ、ハハハ・・・。んな坂井さ~ん。そうやって僕を脅かさないでくださいよ~。しかも小歩路さんまで、怖いなー・・・。ハハハ・・・」
「ウチは今のみかっぺの話聞いて可能性があること言うだけやよ」
「同じく・・・」
「・・・・・・・・・」
どうやらこの厘の呪いは、しばし長谷川の身体に付きまとったままになりそうだ。
そして迎えの車との約束場所でもある出口改札の辺りにまでやってきたところで、再び栗野のあらぬ絶叫が木霊した。
ただしそれは一緒に行動していたメンバーやスタッフ達に対してではなく、突然掛かってきた栗野の携帯電話の相手に対してである。
「どっ・・・、どういうことですか?! それ・・・! ・・・・・・はい・・・。はい、あの・・・。ちょっと待ってください。ここ電波が・・・・・・」
〔ねぇ・・・。なんかまたマズイことになったんじゃない?〕
「う、うん・・・。最初に電話に出た時の話し方から言って、たぶん例の迎えの車のことだとは思うんだけど・・・」
「ん? ・・・坂井さん、今なんか言った?」
「! う、ううん・・・! な、何にも言ってないよ?? ・・・それよりー・・・、なんか嫌な予感しない?」
「うん。する・・・」
「めっちゃする・・・」
「ちょっと展開覚悟しといた方がいいかもな。コレ・・・」
「はい、えっ・・・? それはつまり『動けない』ってことですか?? ・・・はい・・・、はい・・・。・・・・・・はい、そうです。まだ改札からは・・・、はい。・・・じゃあ電車でですね? はい・・・。い、いいえ! とんでもないです! こちらこそお忙しい中・・・、はい。はい、分かりました。では・・・」
ピッ!
「ハァ~・・・・・・皆さん・・・。急遽予定変更です」
「「「「〔やっぱり・・・〕」」」」
その栗野の一言で、メンバー4人は一斉にジト目になりながら中を仰ぐ。
正直あの電話の様子からあらかたの想像は付いていたのだが、一応長谷川は栗野に予定変更の詳細を尋ねた。
「今の電話の内容、例のホテルの迎えの車でしょ? 『急遽変更』って、一体何があったんすか?」
「・・・迎えに来られなくなったんです。ちょうどホテルからこちらに向かう道路が渋滞になって・・・。ですのでこれから急遽、私達は電車と地下鉄でホテルに向かうことになりましたっ」
「また渋滞ぃ~?! そんな関東にまでやってきて勘弁してよぉ~!」
「まさかまた交通事故なんっ!?」
「あっ、いえ。今回は事故とかじゃなくて、なんか道路の工事が原因だとか・・・」
栗野の話によれば、どうもホテルから東京駅へ向かう途中の道で大きな道路工事が行われているらしく、その工事が原因で、車の交通に少々乱れが生じているのだという。
そのためホテル側は、迎えの車が出せるギリギリの時間まで、インターネットからの渋滞に関する情報をチェックしていた。
しかしいつまで経っても現状が変わる兆しがなかったことと、仮に未佳達を乗せたとしても、車よりも電車での移動の方が早めに着く状況だったため、止む無く迎えの車をキャンセルさせたのだという。
その栗野からの情報を聞いた手神は、半分納得半分失笑しながら口を開いた。
「確かに・・・。東京の道路は色んなのが走るし、それにそこそこ大きいからなぁ~・・・。その何処かが工事とかやったりすると、よくこうなるんだよ・・・」
「あっ・・・。つまりは『お決まり』ってことっすか?」
「ん? まあね・・・。それにほら。今はこの東京駅もそうだけど、東京スカイツリーとかも建設中だろ? だから観光客とか観光バスとかの足が通りやすくするために、色々と拡張工事みたいなのをやってるんじゃないか?」
「まあ・・・。そのおかげで僕らの足は完全に止まってますけどね?」
「そんな分かり切ってることを言うなよ。長谷川くん・・・。まさか・・・、これが例の“小歩路さんの呪い”?」
確かにタイミング的には、これが長谷川に掛けられた呪いのように考えられなくもない。
というのも迎え車がなくなったということは、必然的に長谷川は『ギター』という名の荷物を手に持ったまま、電車に乗らなければならないということになる。
しかも東京駅から豊洲に向かう場合は、最低でも1回は電車を乗り換えなければならないのだ。
さらに最悪な現状として、これから通常電車と地下鉄で移動する人数は、現時点で11人。
この大人数で移動するだけでもかなり目立つというのに、その中の一人がギターを手に持っていたらどうだ。
どう考えても『自分はCARNELIAN・eyesのギタリストです!』と主張しているようなものである。
しかし当の長谷川本人は、まったくもってそのペナルティーに媚びる様子はなく。
むしろそればかりか、この呪いの刑の内容を『軽すぎる』と言って笑い出した。
「えっ? これが例の呪いで起こった僕への罰?? ・・・ハッハッハッ!! なんや、めっちゃ軽いやないですか! この内容・・・! ハハハッ!」
「は、長谷川くん・・・? 大丈夫?」
「ハッハッハッ!!」
〔未佳さん・・・。長谷川さんが壊れた・・・〕
(リオ、見ちゃダメ・・・。絶対にアレは見ちゃダメ・・・)
「は、長谷川くん・・・。あんまり甘く見てると危険なんじゃー・・・」
「だって何が苦なんっすか? ただ単に自分のギターを持ち運ぶだけでしょ??」
「それはそうだけど・・・。あらぬ落とし穴があるって可能性も・・・」
「ナイナイ♪ んなまっさか~。ナイナイ♪♪」
「とにかく! これから通常電車と地下鉄で豊洲に向かいますから・・・。とりあえず乗り換え改札に向かいましょう」
しかしそういつものようにテキパキと指示をしてみても、所詮は異方の地の駅。
しかもかなりの線が集中している東京駅だ。
普段関西で生活をしている人間が、関東の方の駅を把握し切れているはずがない。
現に『乗り換え改札』とは口にしていた栗野も、実際この辺りの駅に関してはまったくの無知だった。
「・・・とは言ったものの・・・。何処をどう行ったらいいのか・・・」
「えっ? 行き方さっきの電話で聞いてなかったんすか?」
「・・・『途中で地下鉄線に乗り換え』は聞いたんですけど、どの駅の何地下鉄なのかまでは・・・。それにさっきの電話、電波もかなり悪かったんで・・・」
「そういえば僕のスマホ、さっきから電波1本と圏外行ったり来たりしてるわ・・・」
「しかも東京駅って、新大阪駅よりも方面内容の看板が多過ぎて・・・、全っ然分かんない!」
「しかも矢印も、斜め下とかUターンして後ろ指してるのとかあるし・・・。この矢印なんて、指し示してるトコ壁やで?! 壁!!」
「それはたぶん・・・。改装工事する前の通路の方面示してたヤツじゃないっすか?」
「あなた達、ここから豊洲への行き方知らないの? 一応現場スタッフなんでしょ?」
そう僅かな望みを賭けてスタッフ5人と日向に訪ねてみた栗野だったが、6人はただただ首を横に振るばかりだった。
「ここら辺、全員生まれも育ちも大阪と神戸なんで・・・。ちょっと東京の方の経路はー・・・」
「ダメか・・・!」
「栗野さん。やっぱり分からないことは駅員さんに訊いた方がいいんじゃないですか?」
「そうね。このまま途方に暮れてるわけにもいかないし、間違って別の場所とかにでも行っちゃったらあとで大変だし・・・」
『こうなったら駅員さんに』と、栗野がしぶしぶみどりの窓口の方へと移動しようとした。
その時。
「豊洲に行くのなら、ここからJRの京浜東北線か・・・、あるいは山手線で有楽町に行ってー・・・。そこから地下鉄の有楽町線に乗り換えで行けますよ?」
「「「「えっ?」」」」
ふっと京浜東北線と山手線ホームの案内板を指差しながら、手神が栗野にそう伝えた。
というのも手神は昔、実際に豊洲に行ったわけではないが、この豊洲方面にまで家族と出向いたことがあったのだ。
そんな路線図も見ずに行き方を把握していた手神に、長谷川は思わず感心した。
「おぉ~っ! さっすが手神さーん! よく行き方分かりましたね!」
「『よく』って・・・。僕は一体何処出身だと思ってるのかなぁ~? 長谷川く~ん?」
「あっ・・・。そういえば“元”関東人でしたね」
コテッ
「今もだよ! 今もっ!! 勝手に関西人に移ったことにしないでくれ!」
「ハハハ! スンマセン」
しかし土地勘がまったく掴めない未佳達からしてみれば、この手神の情報はまさに天の助けに匹敵するようなものである。
その後時刻表などを見て吟味した結果、未佳達は山手線で有楽町まで向かい、そこから地下鉄有楽町線に乗り換えることになった。
「となるとー・・・。山手線の改札はあそこですね? じゃあ皆さん。さっきの乗車券、持ってますよね?」
「「「「はい」」」」
「・・・手神さん持ってますね??」
「えっ? あぁっ・・・、はい! 大丈夫・・・。あります、あります」
「はい。・・・・・・ここでも無くなってたら本当に困るので・・・」
「ハ、ハハハ・・・」
「じゃあ・・・、中に入るためには乗車券を精算しないといけないので、必要な方は精算してください。今回精算した分のお金は、いつもの給料日にプラスさせますんで・・・」
「あっ、何気に・・・?」
「ある意味超安いボーナスっすね・・・」
ふっと未佳と長谷川がその給料についてボヤいている一方、乗車券と財布を取り出していた厘は、その栗野の説明に『えっ?』と小首を傾げる。
「『精算必要』って・・・、精算が必要ない人もいてるの??」
「あっ・・・。定期券にあらかたお金が入ってる人はいらないよ? そこから足りない分、改札で引き出されるから・・・。定期の金額が足りなければ、今あそこでチャージしちゃえばいいし・・・」
「小歩路さん、定期持ってる?」
「・・・・・・ううん。持ってない・・・」
「・・・じゃあ精算やな・・・」
「えっ・・・? みんな定期持ってるん?」
「うん。僕はもう随分前に・・・」
「僕もっすよ?」
「私はちょっと前の東京イベントの帰りにね」
「ふ~ん・・・」
その後精算が必要な厘、栗野、日向、スタッフ2名の計5人は精算機の方へ。
残りの定期組は、山手線改札の左端にある空きスペースに待機した。
そしてようやく精算も終わり、早速未佳達は山手線の改札へ。
ちなみに未佳が購入したという定期は、電車や駅中の自動販売機で使用できるSuicaである。
「はい、一発~♪」
「みかっぺ早っ!」
「やっぱり定期券は使い勝手がいいですよね」
同じく定期で改札を通り終えた手神が言った。
「うん。これなら切符買う手間もないし、時間も短縮できちゃうもんね♪ ホッントに便利♪♪」
しかしそんな便利なはずの定期券も、場合によってはあらぬ事態を引き起こしてしまう。
それは最後に一人だけ取り残されていた長谷川の身に、突如として起こった。
「ほら、さとっち。早く~!」
「はいはい。そんな一々言われんでも行・・・」
ピッ!
ピンポーン!!
ピンポーン!!
「えっ・・・?」
ズベッ・・・
「え゛っ・・・!? エラー?!」
「ちょっとぉ~! さとっち何エラーやってるのよ~!!」
なんと定期組であるはずの長谷川の定期が、何故か改札のセンサーに一切反応せず、エラーを起こしてしまったのである。
さらに長谷川が通ろうとした改札からは、こんな警告アナウンスが鳴り響いていた。
【定期券ヲ、タッチシテクダサイ。定期券ヲ、タッチシテクダサイ】
「・・・はっ? 定期券やったら今タッチしたぞ?!」
「おかしいね・・・」
「うん。私と手神さんの定期は何ともなかったのに・・・」
「あれ? ・・・今度は一体どうしたんですか?」
「あっ、栗野さん。なんか分かんないけど・・・。さとっちの定期券が反応しないで、エラー起こしちゃったの」
「今度は長谷川さんですかぁ~?!」
「接触が悪かったんじゃないか? 長谷川くん、もう一回やってみなよ」
「あっ、はい」
そう手神に言われたとおり再び当ててみたのだが、やはり改札の戸は閉まったままエラーを起こしている。
しかも鳴り響くアナウンスの内容は、相変わらず『定期券ヲ、タッチシテクダサイ』のみ。
「さとっち~! ソレ財布でしょ~?! まさか入ってないなんてことないわよねぇ~!?」
「それはないっすよ! 僕、新大阪駅までの行きで使ったんっすから! ・・・ちゃんと中に入ってるし」
ならば何がエラーの原因なのだろうか。
未佳は隣に立っていた手神に、このエラーの原因として考えられるものを挙げてみる。
「・・・もしかして新大阪駅から下りた記録がないのかな・・・? それともお金が足りない??」
「いや。それだったら『駅員さんに』とか・・・。もしくは『チャージしてください』とか言うはずだけど・・・」
「でもさとっち。新大阪に向かうまでは定期使こてたんやろ?」
「うん。そう本人は言ってるけど・・・・・・・・・あっ・・・!」
「!!」
その瞬間。
一つのエラー原因の可能性が、未佳と手神の脳裏を同時に過ぎた。
「まっ・・・、まさか長谷川くん・・・!」
「でもこうなったってことはきっとそうよ!! さとっちーっ!!」
「・・・ん?」
「あなたまさか、“ICOCA”でそこ入ろうとしてないでしょうねぇ~?!」
「えっ・・・? ・・・いや、ICOCAやけど・・・」
((やっぱり・・・!!))
その返答を聞いて、二人はお互いに自身の額に手を当てながら項垂れた。
実は長谷川が言った『ICOCA』とは、主に関西方面や四国などで使用されている定期券で、関西方面に暮らしている人であれば大半の人間が携帯している。
定期券自体の用途はほぼ『Suica』などの定期と同じで、爽やかな水色とグレーの2色の色が特徴的な定期だ。
しかしこのICOCAという定期は、関西方面の人々には当たり前的な存在であっても、関東方面で暮らす人々にはあまり馴染みなく、また駅での使用も大半が不可。
そのため初めて関西方面から関東方面にやってきた人々の大半は、先ほどのエスカレーターの位置と同様に困惑するのである。
現に今、改札機の前でただただICOCAが使えないことに困惑している長谷川が、そのいい例だ。
「アホ!! こんな東京の駅でICOCAが使えるわけないでしょっ?!」
「長谷川くん! 関東は『ICOCA』が使えないんだよ!!」
「えっ? ・・・嘘ぉっ!?」
「ホント! 関東地方は『Suica』じゃないと通れないのーっ!!」
「それかもしくは、最近バスでも使えるようになった『PASMO』だぞ~っ!?」
「「えっ・・・?」」
ちなみにこれは余談だが、関東方面では当たり前でもある『Suica』や『PASMO』は、逆に関西方面で暮らす人々から認知されていないことが多い。
現にこの時、今日のためにMy Suicaカードを持参していた未佳は、もう一つの『PASMO』の存在をまったくもって知らなかった。
「えっ・・・? 手神さん『PASMO』って何??」
「あ、あれ? 坂井さん知らない?? ちょっと前に『バスにも使える定期』ってことで、よくCMにも流れてるんだけど・・・」
「知らなーい・・・」
「嘘っ!?」
「おーい! 結局僕どうしたらええんですか~?!」
「・・・って言うてるけどー・・・」
「とりあえずさっさと精算して入ってくんに決まってるでしょっ!!」
〔(恐っ・・・)〕
ちなみにその後、長谷川が『ここまでが小歩路さんの呪いだったんだ・・・』と、精算しながら思ったのは、言うまでもない話である。
『留守電 3』
(2005年 7月)
※さとっちの実家。
アナウンス
【『ピーッ』という発信音の後に・・・】
さとっちの母
(また智、留守電やわ・・・。そんなに音楽が忙しいんやろか・・・)
※さとっちの自宅。
さとっち
「あぁ~、疲れた~・・・。ただいま~って・・・・・・。おぉ~っと! 電話や・・・!(慌) もしもしー?」
さとっちの母
『あっ、智? お母さんやけど・・・。出掛けてたん?』
さとっち
「あぁ~・・・。今さっき仕事から帰ってきたところやったから・・・。どないした?」
さとっちの母
『実は今度の土曜日にな? お母さんの学生時代の友達から一泊旅行のお誘いもろたんやけど』
さとっち
「うんうん」
さとっちの母
『せやけどお母さんが泊まりになんか行ってしもたら、ちょっとお父さんが心配で・・・』
さとっち
「あぁ~・・・(同感)」
さとっちの母
『せやから・・・』
さとっち
「うん・・・」
さとっちの母
『・・・・・・・・・・・・・・・』
さとっち
「・・・・・・・・・・・・・・・」
さとっちの母
『・・・行ってしもても大丈夫やと思う?』
さとっち
「うん。それは別に大丈夫やとは思うけどな? オカン。・・・その普通に電話に出てるのに留守番電話並みの尺取るの止めてくれへんか?(苦笑)」
約20秒の間が空いてます(爆)