24.ピーマン盛りつけ大作戦
続いて未佳が取った行動は、なんと先ほど皿に盛ったナポリタンから、問題のピーマンだけを皿の端に寄せ始めたのだ。
まるで好き嫌いをする子供がやるかのような行動である。
もちろん、リオがそんな未佳の行動を黙って見逃すはずがない。
〔未佳さん! それダメだよ!!〕
「うるさい・・・」
〔今時小学生だってそんなことしないよ!!〕
「知ってる・・・」
〔しかもどうすんの?! そのピーマン!!〕
「まあ見ててよ・・・。よし、分け終わった」
〔・・・いや! ダメだよ!!〕
「ん? みかっぺなんか言うた?」
「・・・ううん! 聞き間違えじゃない?」
「そうか・・・なぁ・・・?」
そこでまたしても厘は小首を傾げつつ、再びサラダ類を口に頬張り始めた。
その様子を黙って見つめながら、未佳は作戦続行の機会を伺う。
やがて厘が一切こちらに意識を向けていないのを確認すると、未佳は自分の隣に置かれていたフォークをサッと盗み、自分の右ももと椅子のシートの間に挟み込んだ。
ようは隠したのだ。
それも長谷川が持ってきていたフォークを。
〔それ・・・! 長谷川さんのだよ!?〕
「いいの。これで準備OK・・・。あとは・・・」
〔いや! 『OK』っじゃなくて・・・!!〕
二人がそうこう言い合っていると、問題の長谷川がトレーを持ったまま、ついでに手神も一緒に連れて戻ってきた。
この光景に、未佳は『あちゃー』と、顔に手を当てる。
(ま・・・、マズイ・・・。誰もいなくならないと困るのに!!)
「あっ、二人ともお帰り」
「どうもー」
「あっ。ねぇ、長谷川くん。お手拭きとかって何処にあった?」
「お手拭き? お手拭きは入り口近くに・・・」
「あっ、そっちか。じゃあ取ってきまーす」
「はーい」
「あ~ぁ・・・。なかなかみんな集まらへんねぇ・・・」
(小歩路さん! 今なったら困るのよ!! 今なったらッ!!)
そんな未佳の想いが通じたのか、テーブルの上にトレーと皿を置いた長谷川は、小さな異変に気が付いた。
「・・・あれ? フォークは? ・・・僕が持ってきたフォーク知りません?」
「えっ? ウチ知らへんよ」
「じゃあ・・・」
そう呟きながらこちらを見つめる長谷川に、未佳は少しムッとする。
確かに勝手にフォークを盗み隠したのは未佳だが、自分の席にないだけで即座に疑いの目を向けられるのは、犯人側でもかなり癪だ。
「何よ・・・。私は自分で持ってきたからねぇ?!」
半分苛立ちながら、未佳は長谷川にそう言い返した。
すると長谷川は、一瞬未佳の怒鳴り声に圧倒されたのか、しばしその場に固まった後『取って来なかったのかなぁ~』と呟きながら、再びフォークを取りに席を離れた。
これで残る問題は、一人食事をしている厘だけ。
未佳の考えている作戦を実行するためには、テーブルに誰も人がいなくならなければならない。
つまり、あとは厘だけが席を離れてくれればいいのだ。
だが既に食事を始めていて、おまけに前もってドリンクやらデザートやらを持ってきている厘を、一旦テーブルから立たせるのはかなり困難だ。
素直に『一回席から離れて』などとは言えないし、かと言って作戦の一部始終を目撃されたら、おそらく黙ってなどいない。
『さてどうしよう』かと頭を抱え始めたその時、天からの救いの声が、未佳の耳にはっきりと飛び込んできた。
「厘さーん!」
そう厘の名前を呼んでいたのは、一番最後に料理を取りに行っていたあの栗野だ。
しかも何やら、サラダバーの近くでウロウロしている。
「へっ? 何ー?」
「サラダのドレッシング! 何処にありましたー?」
「・・・えっ? あぁー。それやったら」
(大チャーンス!!)
「レタスが入ってるやつの隣」
「あぁー!! あぁ、あの、小歩路さん! 直接行って教えた方がいいんじゃない!?」
「へっ?」
「く・・・、栗野さんちょっと方向音痴だし・・・! 結構サラダのドレッシングの場所! 分かりにくかったし・・・!!」
もはや未佳自身も意地だ。
こんな絶好のチャンスを逃したら、おそらくこの作戦を行える機会は二度とやってこない。
未佳の直感がそう告げていた。
そしてそんな未佳の積極的過ぎる姿勢にこちらも圧倒され、厘は数回頷いた後、席を離れた。
こうしてテーブルに残されたのは、一部のメンバーが持ってきた料理と、未佳ただ一人。
そう。
未佳はテーブルがこの状態になるのを待っていたのだ。
誰もテーブルからいなくなったその瞬間、未佳は先ほど分け終えたナポリタンのピーマンを、ある程度の量をスプーンの上に乗せ、それを長谷川のナポリタンの上に乗せ始めた。
それもスプーンを二往復させて・・・。
その光景には、さすがのリオも我が目を疑った。
〔未佳さん!! ・・・何やってんの?!〕
「見て分からない? ピーマン盛りつけ・・・」
〔『ピーマン盛りつけ』って、そんなことしちゃダメだよ!! それも長谷川さんのナポリタンに・・・!!〕
「いい作戦でしょ? 名付けて『ピーマン盛りつけ大作戦』!」
〔しかもネーミングセンス悪っ!〕
「悪かったわねぇ!!」
だがこの作戦には、一つ大きな問題が残る。
それは、未佳があとから盛りつけたピーマンが、異様に目立ってしまっていることだ。
長谷川がよそったパスタの量の関係もあり、明らかにピーマンの数が浮いてしまっているのである。
これでは『ナポリタンの刻みピーマンがけ』だ。
〔絶対にバレるよ・・・。これ・・・〕
「じゃあ・・・」
その対策として未佳が取った行動は、先ほどのスプーンと自分のフォークで、軽く長谷川のナポリタンを混ぜることだった。
確かにこうすることによって、先ほどのピーマンは目立たなくはなる。
だがこれは誤魔化せばいいという問題ではない。
「よし! こうすればバレない」
〔・・・・・・いやっ!! さっきから言ってるけどそういうことじゃ・・・〕
「あっ、きた!」
〔『きた!』じゃなくて!!〕
ふっとそう怒鳴りながら顔を前の方に向けてみると、確かに今未佳が言ったとおり、メンバー全員がこちらに戻ってこようとしているのが目に飛び込んできた。
手神と長谷川は、お手拭きやフォークなどが置いてある入り口付近から。
厘と栗野は、サラダコーナーの方からこちらに向かってくる。
それを見たリオは、即座に口を開くのを止め、逆に未佳の顔をジッと睨むかのように見つめた。
その視線に、未佳は口パクで『何よ!?』と堪らず聞き返す。
しかしリオはその問い掛けに何も答えず、視線を未佳から皆が戻ってこようとしている方へと向けてしまった。
メンバー全員が椅子に腰を下ろしたのは、それから約数秒後のことである。
「みかっぺ、一人やったね」
「べ、別に・・・。バイキングとかじゃ毎日じゃない」
「にしても僕のフォーク。一体何処に行ったんだろ・・・」
その長谷川の発言に、未佳とリオは一瞬ドキリとする。
特に隣に立っていたリオに至っては、この作戦では一切悪くないというのに、身体を一瞬ビクッと震わせ、硬くなるほどだ。
一方何の事情も知らない厘や栗野達はと言うと、その長谷川の発言に対し『またそれか』と言いたげな表情を浮かべていた。
あの様子からすると、どうもフォークを取りに行ってる間中ずっと呟いていたらしい。
「まだ言うてるし・・・」
「長谷川さん。フォークが勝手に歩くわけないでしょ?」
「そうそう。単に長谷川くんが取り忘れたんですよ」
「そうですか・・・。ねぇ~? 誰か間違えて使ってません?」
(・・・ッ!!)
「止めてよ、犯人探しなんて・・・。ただもう一回フォーク取りに行ったらええだけの話やん」
「そうそう。まったく・・・、この年からボケないでください」
「別に僕ボケてなんて・・・」
いくら言っても誰も信じてくれないこの状況に、長谷川は半分しょげ込みながらも、とりあえずはナポリタンを食べようとフォークを手にした。
まさにその時だ。
「ん・・・?」
「? どないしたん? さとっち・・・」
「・・・いや・・・、ちょっと・・・」
長谷川がそう答えながら見つめていたものは、先ほど自分でよそってきたあのナポリタン。
どうやらほんの少しだけ見た目が変わっているナポリタンに、少々違和感を感じたらしい。
明らかに『いや』と答える程度の反応ではなかった。
(まさか・・・!!)
〔長谷川さん、気が付いてるんじゃない?! 未佳さん!!〕
(でも・・・! ちゃんと混ぜたはずなのに!!)
「さとっち?」
「もしかして・・・、今度は自分の料理に何かあったとか?」
(〔ギクッ!!〕)
「そんなぁー、長谷川さん。料理なんてどんな風に盛りつけたかなんて、一々覚えてないでしょう?」
「それにみかっぺ。ウチらが席立ったあと、ず~っとここにいたんやし・・・。誰かが触ったんやったらきっと気ぃ付いてるよ」
(う゛っ・・・!!)
もはや緊張し過ぎて指一本ですら動かせない。
手や頭から冷や汗と共に、自分の心臓の音が『バクッバクッ』と激しく聞こえてくる。
さらに未佳の方は、緊張し過ぎたあまり、思わず生唾を一気にゴクリッと飲み込み、完全に沈黙してしまうほどだった。
そしてそれから数十秒後。
ようやく疑いの眼差しを向けていたままだった長谷川が、ゆっくりと口を開いた。
「・・・ですね・・・。いや、なんでもないです」
その言葉で一気に解放されたかのように、二人は大きな安堵の溜息と共に、その場に『ズベ~』っと倒れ込む。
ちなみに何故、長谷川が自分のナポリタンに疑問を抱いたのかと言うと、不覚にもあの未佳の誤魔化しが原因だった。
「いやね。一瞬なんか量が増えたように見えたんで・・・」
「えっ? ・・・ナポリタンが? そう?」
「うん・・・。見えません?」
「う~ん・・・」
〔そっか!! 混ぜた時に持ち上げるみたいな混ぜ方したからだよ! それでパスタに余計に空気が入ったから・・・〕
「一々言われなくても分かってるわよ!!」
「「「「えっ?」」」」
「えっ・・・、あっ、そのぉ~・・・。なんでもない」
「「「「・・・そ、そう・・・」」」」
「な、なんか最近坂井さん・・・。独り言多くありません?」
「えっ?! そ・・・、そぉ? 気のせいじゃない?」
少々レストラン内での不可思議な出来事や独り言などは多々あったが、その後は特に何も起こらず、ランチタイムは午後3時過ぎ頃に終了。
そして店を出ようと、みんなが自分の荷物に手を掛け始めた時、手神はふっと自分達のテーブルに貼られていたメニュー表に、思わず目が釘付けとなった。
そこに貼られていたメニュー表は、主にビールやワインなどのお酒を中心に載せていたのだが、目が止まった理由はその値段。
「見てよ、長谷川くん・・・。ここのオニオンビール! ボトル一杯640円だよ!?」
「高ッ!! しかもこのメーカー・・・。めっちゃモノがいいってことじゃないですか!」
「どれどれ・・・。あっ、ホントだ! ジョッキなんて一杯860円もするじゃない!!」
「でさ・・・。あの壁のポスター見てくださいよ」
「「へっ?」」
そう言って手神が指差す方向に視線を向けた長谷川と未佳は、そこに書かれていた内容に思わず口をパカッと開いた。
壁に貼られていたポスターには、大きく『今だけ!! 大人気 オニオンビール!! ランチバイキング(12時00分~15時00分)の時のみ640円→430円』と書かれていた。
ちなみにジョッキの場合も、通常860円のものが、この時間帯の時のみ640円と、通常ボトルで飲むのと同じ値段になっている。
さらに注目すべきはその時間。
なんと帰ろうとしていたギリギリの時間まで、このオニオンビール割り引きは実施されていたのだ。
まったくつくづくツイていない。
「「「飲みたかったなぁ~」」」
「あっ・・・。でも私ライヴ前だから飲めないよ」
「あぁ、そういえば・・・」
「でもなんかツイてない・・・」
「まあまあ・・・。イベントから帰ってから。またここに来ればいいじゃない。一応3月の20日までやってるみたいだし・・・」
「何が?」
ふっと未佳達が何の会話をしているのか気になった厘も、男性二人の間から顔を覗かせた。
「実はね。ここの高いビールが、お昼の時だけ割り引きになってたの。だから今度来た時に飲もう~って話してて・・・」
「ウチ・・・。ビールよりワインがいい」
「「「え・・・?」」」
その発言に、3人は一瞬だけ固まった。
というのも、このレストランがイチ押しで勧めているお酒は、実はオニオンビールではなくワインの方なのだ。
ついでにその金額も馬鹿にならない。
「坂井さん、長谷川くん・・・。ワインの金額は?」
「「え~・・・っと・・・・・・!!」」
ちなみにその金額だが、赤ワインはボトルで2500円。
一方の白ワインの方は、それに500円プラスの3000円という値段。
明らかにその辺のレストランなどで扱っているレベルのワインではない。
「「高ッ!!」」
「しかも白の方が高いって・・・。普通赤の方でしょ?!」
「イタリアンだと白の方がお似合いって感じじゃないんじゃない?」
「赤はフランス料理とかってこと?」
「まあ・・・、たぶん。小歩路さん、ワインはお給料貰った日にみんなで飲も。ねっ?」
だが大のワイン好きでもある厘は、少々納得がいかない様子だ。
そしてしばらく経った後、厘はとんでもない爆弾発言を口にした。
「・・・・・・これ・・・、別売りしてへんのかなぁ~」
「!! まさか今日買う気なの?! コレ一本で3000円近いのよ!?」
「うん。買う」
「あ゛がぁー・・・」
「あの・・・。『買う』って・・・、どっちを?」
「う~ん・・・。迷うの嫌やから・・・・・・。両方♪」
ドテッ!!
「えっ? なんでみんな倒れるの?」
「いや・・・」
「だって・・・」
「小歩路さん、大胆過ぎ・・・」
「みなさーん! 会計終わりましたよー? ・・・皆さん・・・、どうしました・・・?」
そう問い掛けながら、先に会計を済ませた栗野が戻ってきた。
栗野のこの時の顔は、完全に『何があったの?』と言いたげな表情を浮かべている。
そんな栗野に、未佳はゆっくり起き上がりながら伝えた。
「栗野さん・・・。小歩路さんと一緒にまたレジ行ってきて・・・」
それから約5時間半後の午後8時36分。
春に近付く夜空を見つめることもなく、未佳に自宅に帰宅した早々、ベッドに倒れ込んだ。
「はぁ~・・・。疲れた・・・」
〔まあ・・・。昼食後に即歌の練習だったしね〕
「本番までに体力持つかなぁ~・・・」
〔・・・えっ?〕
「冗談よ、リオ」
そう言って笑みを浮かべる未佳に、リオは少々ムッとした表情を未佳に向ける。
「そんな怒った顔しないでよ」
〔それより・・・。あの長谷川さんのアレはなかったんじゃないの? 未佳さん・・・〕
未だにムッとした表情のままのリオにそう言われ、未佳は何も言い返せぬまま、静かにベッドから上半身だけ持ち上げた。
確かに未佳のあのやり方は度を越えていたが、普段はあそこまでやることはない。
そもそも未佳は、あまり自宅以外でナポリタンを食べることがないのだ。
元々人見知りが激しく、あまり自宅から出ないこともあるのだが、一番の大きな理由としては、自宅でピーマン無しのナポリタンを作って食べることの方が多いからである。
それに外食のものとなると、やはり何処にも必ずピーマンは入っているものがほとんど。
にもかかわらず、今回そんな外食のナポリタンに手を伸ばした理由は『久しぶりに見て、とてもおいしそうに見えたから』という、何とも単純な理由からだった。
(それに・・・、今度はいつ食べられるか分からないし・・・。人生最後の期間中に、せめて一回は食べておきたかったのよねぇ・・・・)
〔未佳さん? 聞いてる?〕
「ん? 何?」
〔だからなんで食べたの?〕
「だって・・・。ピーマンは嫌いだけど、ケチャップ料理は大好きなんだもん・・・・・・。ケチャラーだし・・・」
〔(そういう理由か・・・)〕
「別に今回くらいは許してよ、リオ・・・」
未佳は赤い丸型のクッションを抱き締めながらそう言うと、そのままそのクッションに顔を埋めた。
そんな未佳に、リオはやや溜息を吐く。
「はぁ~・・・。このままじゃ時間が流れちゃうだけだし、早めにお風呂入って寝よ・・・」
未佳はそう呟くと、そそくさとベッドから起き上がり、下着を箪笥から取り出そうとした。
その時だ。
ウイィィン・・・
ウイィィン・・・・・・
「・・・えっ? 携帯?」
〔でもバイブ2回だけだよ?〕
「じゃあメールだ・・・。でも誰?」
未佳はやや小首を傾げつつ、とりあえずカバンの中から携帯電話を取り出し、画面を開いた。
そこにはハッキリと『長谷川智志』という名前が書かれたメールが一件。
「あっ・・・。さとっちからだ」
〔タイミング悪・・・〕
「うるさい・・・。それで用件はぁ~?」
早速届いたばかりのメールを開いてみると、このような文章が書き込まれていた。
Time 2010/3/5 20:37
From 長谷川智志
Subject 明日の予定
明日の練習ですが、手神さ
んとの話し合いにより、事
務所集合を午前9時40分
に変更(^O^)
録音したドラム音含めて、
練習やります♪~
また明後日は、実際にイベ
ント会場にての練習です。
(栗野さんから聞いてます
よね?(゜゜))
そっちは事務所集合が午前
8時50分なんで、お間違
い&お遅刻しませんように
・・・。
(僕あんまり人のこと言え
ませんけど(汗))
以上連絡でした!
P.S.
「一々人に送るんじゃなくて、一斉送信しなさいよ」
〔ねぇ。下に『P.S.』が・・・〕
「へっ?」
〔ほら〕
確かにリオの指差すところには、全角英語で『P.S.』と書かれている。
さらに携帯の一番下の表示を見てみると、どうやらまだ下に続きがあるようだ。
「なんだろ?」
未佳はそう呟きながら、携帯の真ん中にある大きなボタンの下の方を長押ししてみる。
するとそこから一気に、全3行の追伸コメントが表示された。
そしてそこに書かれていた追伸文章を見て、未佳は思わず見開く。
追伸にはこんな内容が書かれていた。
P.S.
今度はピーマン、僕の皿に
混ぜないでくださいよ!?
(分かっていましたけど、
あえて黙っていました
(本音))
by 怒りっち(・へ・)
「あっちゃー・・・!!」
〔あーぁ・・・。やっぱりバレちゃってたんだ〕
「うそ~・・・」
メールの内容を読んだ早々、未佳はまたしても、ボスッとクッションに顔を埋め、沈黙してしまった。
というのも未佳の予想では、料理を弄ったことはバレたとしても、ピーマンを中に混ぜたことは決してバレないと思っていたからである。
一体何処にそんな自信があったのかはよく分からないが、とりあえず未佳の予想が外れたのは確かだ。
〔一斉送信しなかったのはこれが理由だったんだね〕
「でもなんで? 私ちゃんと誤魔化したはずなのに・・・」
〔未佳さんっ!!〕
「はい、ごめんなさい・・・」
本当に反省しているのかどうかは分からないが、未佳はとりあえず、一回だけ携帯とリオに頭を下げた。
しかしそれが終わると、即『もういいでしょ』と言わんばかりに、未佳は再び下着類を手に取って、風呂場の方へと向かっていこうとする。
『なんだかかなりサバサバしてる人だなぁ~』と、リオが呆れ返りながら思っていると、ふっと未佳が一瞬だけ笑っているように見えた。
本当にほんの一瞬だけ、微かに『クスリッ』と笑ったのだ。
そんな未佳の表情が気になり、リオは思わず未佳に尋ねた。
〔未佳さん・・・。何笑ってるの?〕
「えっ?」
〔なんか嬉しそうじゃない?〕
「! ・・・そぉ? 別に何ともないけど・・・」
〔・・・・・・ふ~ん・・・〕
今のはこちらの見間違えだったのだろうか。
多少気にはなりつつも、リオはそう考えることにした。
「じゃあこれからお風呂入ってくるから、今からこっちに来ないでね♪」
〔あ、はいはい・・・〕
「何よ、リオ! その返事っ!!」
〔ッ・・・! じゃあどうして欲しいわけ!?〕
「もっと違う形の返事返してよ!」
〔知らないよっ!!〕
その後も未佳とリオとの言い争いは、約3分間も続いた。
予約死亡期限切れまで あと 171日
『・・・度あることは・・・度ある』
(2005年 3月)
※朝 さとっち宅。
さとっち
「う~ん・・・(眠) ・・・・・・うわっ!」
バンッ!!(打)
さとっち
「痛で・・・っ!!」
※ベッドから落ちて、顔面を強打しました。
さとっち
「よっしゃ。行ってき・・・」
ゴンッ!!(追突)
さとっち
「痛っ!!」
※自宅のドアで、額をぶつけました。
さとっち
「あぁーっ!! バス閉まる! ちょっ・・・、待っ」
ベシッ!!(激突)
さとっち
「ぐはっ!!」
※閉まるバスのドアに激突しました。
さとっち
「こんなことをラジオで話していいのか疑問ですけどね・・・」
手神
「ま、まあでも・・・。『二度あることは三度ある』だから、もうないと僕は思うけどね(苦笑)」
みかっぺ
「どうかなぁ~。最近類義語で『三度あることは四度ある』って言うし・・・」
さとっち
「フラグ立てんといてください!!」
厘
「じゃあ次のラジオ投書は・・・、えっ・・・。『今年交通事故に二回遭いました』だって。大変・・・」
さとっち
「あなたも気ぃ付けてください。“二度あることはなんとやら”って言うんでね」
厘
「なんでそないこと言うの!!」
バシッ!!(叩)
みかっぺ・手神
「「あっ・・・」」
※投書の束の角←(危なっ!)で、頭頂部を叩かれました・・・。
なんかノリでもう一回くらいありそうだな(笑)