123.オフタイム
遅ればせながら・・・。
新年明けまして
おめでとうございます!!
今年の5月5日で、連載3周目を迎える『180回目の朝明けに・・・』ですが
今年も完結目指して頑張って書いていきますので、これからもよろしくお願いいたします・・・!!
翌日。
イベント当日でもあった昨日とは打って変わり、この日は皆が思い思いの時間帯に起床する形となった。
そのため未佳が起床したのは、普段目覚まし時計で設定している8時半。
厘はそれよりも3時間ほど早い5時半に起床し、つい先ほどまで、6時に起きていた栗野達と朝風呂に入っていたようだ。
また長谷川と手神の二人はというと、一応手神は8時に起床していたらしいのだが、長谷川の方は8時半を過ぎても一向に起きる気配を見せず。
結局、9時になる前に手神に叩き起こされたらしい。
そして今現在、そんなメンバー達と栗野達6人は、昨日モーニングを取ったあのカフェの一席にいる。
ちなみに朝食はというと、これまた昨日とは打って変わり、かなり軽めに済ませた。
「で・・・。このあとどないするんっすか?」
「それよねぇ~・・・。とりあえずいつでもチェックアウトできるように、皆さんに荷物をまとめてもらってー・・・」
「その荷物を車に詰めるんやったよね? 一時的に・・・」
「そのあとは~?」
「う゛~ん・・・」
一応昨晩に栗野から聞かされたミーティングの予定としては、本日の昼頃。
正確には12時頃にホテルをチェックアウトし、余計な荷物等は一時的に、車で関西へ戻るスタッフ達の車内にお預け。
後にその車は新幹線の時間に合わせて東京駅へと向かうので、そこで再びそれぞれの荷物を回収してもらい、新幹線に乗り込む見当になっている。
そうして荷物を預けてもらったそのあとは、帰りの新幹線まで集団自由行動。
ただし未佳達が乗る予定の新幹線がやってくるのは、本日の午後5時頃。
つまり東京駅に戻るまでの時間を単純計算してみても、軽く4時間ほどの空き時間があるのだ。
「あれ? ・・・そう言うたらみかっぺ、確か行きたいところがあるんやなかったっけ??」
「そうよ。・・・言ってたじゃない」
ふっと昨日のバス等での会話を思い出した栗野と厘が、同時に未佳の方を指差しながら尋ねる。
確かに、その内容に関しては言いはした。
言いはしたのだが、これは少しタイミングが悪い。
というのも未佳が『行きたい』と考えていた場所は、食事に関する場所なのだ。
「う~ん・・・・・・そうなんだけどー・・・」
「けど?」
「お昼・・・・・・に行きたいな。今食べたトコだし・・・」
「あっ。食事の場所やったんね?」
「そういえばそんな風なことチラチラ言ってたわね」
「う、うん・・・。ちょっとこっちまで来たら・・・『食べたいなぁ~』って思ってたのがあって・・・」
「なるほどな」
「じゃあお昼のことは任せるわね。未佳さん」
「あっ・・・。う、うん・・・」
内心よく分からぬまま任されてしまったが、とりあえずあれは昼食としては問題ないだろう。
それよりも今問題なのは、この余った空き時間の方だ。
「どうしよっか~・・・。このあと。せっかくの快晴なのに・・・」
「私『東京』って聞くと何でもあるイメージが染み付いちゃってて・・・。いつも観光時間が短いものだから、多めに時間取っちゃったのよねぇ~・・・・・・。失敗した」
ちなみに『豊洲には観光場所がないのか?』と尋ねられると、別にないというわけではない。
ただその観光場所が、こともあとうに昨日のあの『フェアリーホール』であったのだ。
もちろん昨日の今日なので、本日彼らがあの場所に足を踏み入れることはできない。
多かれ少なかれ、ファンがいる可能性がある以上は絶対不可だ。
「手神さん、なんかいい感じの場所とか知らないんっすか? 昔行ったことあるんでしょ??」
「ん? ・・・まああることはあるけど・・・。う゛ぅ~ん゛・・・・・・・・・。海ぐらいかなぁ~。あとは~、市場ですかねぇ? ほら、有名でしょ? 築地市場」
「それ~・・・、結構移動するん?」
「いや。まあ・・・。でも乗り換えはするね」
「でも今から魚市場行ってもなぁ~・・・。生魚なんて買えへんぞ~?!」
「・・・・・・酒の肴売ってる市場あらへんの?」
ズルッ・・・
「さ・・・探せばあるだろうけど・・・。干物とか和え物とか・・・」
内心『土産品としてその内容は如何なものか』と、メンバーは同時に顔を顰めて思った。
「・・・いっそのこと東京駅にそのまま行くか!」
(! えぇっ!?)
「え゛ッ!? ・・・まさかの手神さん、そう来ます?!」
それは非常に困る。
というのも未佳が食べたいと考えていたものは、この辺りのとある場所に店を構えている。
だからこそ数日前からずっと目を付けていたのだ。
にも関わらず東京駅の方にまで行ってしまったら、方向が違うばかりか大きく離れていってしまう。
仮に遊ぶ時間だけ東京駅の方に行ったとしても、そこから再びこちらの方に戻って食事をし、再び東京駅に戻るとなると、慌ただしくてしょうがない。
おまけに一度東京駅にまで行ってしまうと、面倒臭がりかつ人混み嫌いな厘や長谷川が『戻りたくない』と言い出してしまう可能性もある。
それだけはどうしても避けたい。
「ヤダ! ・・・ヤダヤダヤダッ!! 絶対ヤ~ダァ~!」
「ん・・・?」
「手神さん、それアカ~ン!! やらんといてー! 絶対やらんといて~ッ!!」
「な、なんか急に関西弁来たなぁ・・・。みかっぺ・・・」
「・・・ってか、急にどないしたん?」
「あっ・・・、なんか坂井さん、お昼に寄りたいお店があるみたいなの。たぶん東京駅まで行っちゃうとー・・・。離れちゃうんじゃない?」
「あっ。なるほど、それで・・・」
「お願-い゛ッ!!」
「あぁ、だ・・・、大丈夫。大丈夫。さっきの無し! 取り消し! 取り消しますから! ねっ?」
しかしこれで結局、話の内容は振り出しへと戻るのだ。
さらに現在の時刻も、余裕がないと言えば余裕がない。
「あ~あ・・・。ただ今の時刻、11時20分前」
「マズイですね。そろそろ荷物まとめ上げないと・・・」
「起きた時間もみんな遅かったもんねぇ~」
「・・・・・・・・・じゃあさ! ・・・・・・もう単純に海見に行かない? どうせすぐそこだし」
無論、その未佳の提案に対しての異論は、上がらなかった。
それから皆が荷物をまとめ終え、ホテルの外へと出てきたのは、それから30分ほど経った頃である。
時刻的にはチェックアウトまで10分少々残っていたが、ホテルの土産等はその前に買ってしまっていたし。
それ以外にこの空き時間ですることもやることもなかったので、そのまま外へと出てきてしまった。
「じゃ~ぁ~・・・。行きますか」
「あれ? ・・・・・・あぁっ、皆さ~ん!」
「「「「「「ん・・・?」」」」」」
「あっ、指揮さ~ん!」
ふっと飛ばれた方に振り返ってみると、そこには昨日と同じ車掌の正装に身を包んだ指揮が、こちらに向かって手を振っていた。
その片手には、またしてもホットの微糖であろうか。
缶コーヒーが握られていた。
なんだかんだでそこそこ親しい間柄になっていた未佳は、即座に手を振り返しながら指揮の元へと駆け寄る。
「よかった~♪ 帰る前に会えて~・・・」
「指揮さん。この度は2日間、本当にありがとうございました」
「私の方からも、ありがとうございました」
「いえいえ、私は何も・・・。もう、行かれるんですね」
「新幹線はまだなんですけど・・・。チェックアウトが12時だったので」
「これから近くの海でも見ようかなと・・・」
「ほぉ~・・・。海ですか」
「あっ、その表情・・・。何かオススメとかありますか? 指揮さん♪」
何となく物言いたげな表情を浮かべたのに気付き、未佳は期待の眼差しを指揮に向ける。
案の定、指揮は未佳達の期待を裏切らなかった。
「そうですねぇ~。この辺りは埋め立て地なので、皆さんが『海』と聞いて連想されるような砂浜はないんですが・・・・・・。景色のよい場所なら~」
「景色?」
「えぇ。ちょっと港に近いような場所なんですがね? 海と段差になってるようなところがありまして。上は芝生の公園で、下は海。それで芝生の上から海を眺めると、それはそれはキレイな場所があるんですよ。今日は波も穏やかなので・・・。港から出ている遊覧船も見れますし」
「遊覧船? それってー・・・観光用の?」
「えぇ。お魚さん達を見るためのものです。もっとも小魚やクラゲ程度のものでしたら、その段差下の海からも見られます。それにその船の見た目も、これまた色合いがキレイですよ~? 水色・白・黄色の3色ですから・・・。今日は天気もいいですし、一緒に海鳥や青空まで見られたら、もう文句なし!」
「へぇ~・・・。いいね~♪ ソコ~♪♪」
指揮からのその情報を聞き、未佳は一気に目を輝かせる。
だが何よりも皆の目を輝かせたのは、そのあとの指揮の発言であった。
「あとそこへ向かうまでの道中とぉ~、公園なんですが・・・。運がいいと一輪や二輪ほど・・・早咲きのぉ~、桜が見られるかもしれないですねぇ~」
「えっ!? 桜!?」
「もう咲いてんっすか?! ・・・関西なんて全然まだっすよ!?」
「それがたまに咲くんですねぇ~。えぇ~・・・。潮風の影響だがなんだか分かりませんが」
「「! アッハハハ」」
何故か『潮風』の下りで早口になった指揮に、未佳と長谷川は同時に大声で笑いだす。
どうやら、指揮なりにウケを狙ったようだ。
「そこへはどう行ったら・・・」
「あっ・・・。えぇ~っとですね。ここを出て右に真っ直ぐ歩いた先になります。徒歩となると少し距離はありますが、右手は桜並木。左手には海が望めますので、歩くだけでもそれなりに楽しめます~。遊覧船の港で、道は行き止まりになりますので」
「あっ、・・・じゃあ行けば分かる??」
「そんな感じですね。は~い」
ふっと指揮が右手で指し示した方角を見てみると、既にその海沿いには桜並木らしき光景が広がっていた。
ただし目に見えて咲いている桜は見当たらず、大半は枝のみ。
だが何となく膨らんで見える蕾の上ら辺には、少しばかり桃色に見える箇所がチラついていた。
「なんか探せば本当に咲いてそうだね」
「ちょうど時間も持て余してた感じやったし・・・。いいんじゃないっすか~?」
「気温も今日は暖かいし・・・。春風と潮風感じながら歩くのもね」
「たまには楽しいわよね」
「散歩♪ 散歩♪」
「それにさとっちの運動にもなるし」
「おい、コラ・・・」
「指揮さん、情報ありがとう♪♪ それと改めて・・・・・・お世話になりました」
「「「お世話になりました」」」
未佳に続き3人が、同時に指揮に対して頭を下げる。
もちろん、未佳以外の3人は感謝の意のみであるが、未佳だけは内面の事情が違う。
いつ、本当の『お別れ』になってもいいように・・・。
そう言った意での礼であった。
「いえいえ。またいつでもいらしてくださいな。・・・関西に戻っても、皆さんお元気で♪」
「・・・はい!」
「ほな指揮さん、さいなら~」
「「色々お世話様でしたー」」
「ありがとうございました~」
「また機会見つけて来まーす!」
「さよぅ~なら~!!」
6人はそれぞれ思い思いの言葉を指揮に掛けながら、ホテル『Jelly・Fish』をあとにした。
指揮から紹介された場所までの距離は、長谷川のスマホマップによると、ざっと1キロ。
けれど6人にとっては、昼食までの運動と散歩、さらに時間潰しにはちょうどよい距離であった。
「うぅ~んっ・・・♪ 荷物がないだけ楽ね~♪」
「正直コロコロやったまんま歩きたくない・・・」
「「「「「ハハハハ」」」」
「でも桜・・・。蕾こんな膨らんでるんに、咲いてへんね・・・」
「そうだね~・・・。上の方の花びら見えてきてるのに・・・」
「案外、今日咲いたりして・・・」
「かもね。昨日よりも気温暖かいから」
確かに長谷川が言うように、今日咲きそうになっている蕾が開花するという可能性は十分に考えられる。
だがもしそうだとすると、作のは一番日差しが暖かくなる今ぐらいの時間帯だろうか。
「どします? 案外後ろの方から咲き始めてたりしてたら」
「え゛っ? ・・・それ切ない!!」
「大丈夫。大丈夫。これだけ咲きそうな蕾が多いんだから・・・。公園の方の桜だったら、きっといくつか咲いてるの見られるよ」
「ホンマカメラ持ってきて正解やったねぇ~。みかっぺ」
「うん♪ まだメモリーもSDも残ってるし・・・。会報に載せられそうなの、いっぱい撮ってこっ♪」
「「「「「ハハハハ」」」」」
そんな和気藹々とする空気の中、ふっと海の方に視線を移したリオが『あっ・・・』と小さな声を上げる。
その声に釣られるよう、未佳も同じく海の方へと視線を向けてみると、ちょうど海の水平線の辺り。
やや薄くぼやけて見える線の上に、何やら白く大きなものが浮かんでいるのが見て取れた。
それもこの距離から見える大きさから考えると、かなりの巨体である。
「あっ、ねぇねぇ! あれ、指揮さんが言ってた船じゃない?!」
「ん? あぁー、遊覧船?」
「みたいですね。あの形からすると・・・」
「デッカイなぁ~。あんな沖まで行くんや~」
遊覧船が走っている方角をマジマジと見つめながら、長谷川がその周辺を見つめる。
どうやらあの遊覧船は、ちょうどここから望める水平線の辺りから、未佳達が歩いてきた方向とは逆方向に向かって進んでいくようだ。
「でもー・・・。ここからだと白一色しか見えないわねぇ~・・・。ボケてるし」
「カメラのズームも全然足りへん・・・」
「やっぱり・・・。一回港まで行かないと、いい感じの船は撮れそうにないね」
「せやね~・・・。行こか」
「うん」
結局最初に見つけた船の撮影は断念し、6人は再び、海沿いの桜並木道を港を目指して歩き始めた。
『嫌い』
(2002年 1月)
※名古屋のイベント会場 楽屋。
みかっぺ
「嫌」
栗野
「食べなさい!」
みかっぺ
「嫌!」
栗野
「食・べ・な・さ・い!!」
みかっぺ
「嫌ぃ~やっ!!」
さとっち
「・・・新年早々さっきから何言い合ってんっすか? 二人とも・・・(ジト)」
栗野
「未佳さんが昼食のピーマンを食べないんです(苛)」
さとっち
「・・・あぁ~! さっきの楽屋弁当の中華炒めっすね? えっ、こっち旨かったっすけど?」
栗野
「ほら! 長谷川さんもそう言ってるんですから~・・・。好き嫌いはしちゃダメでしょ~う??」
みかっぺ
「でもコレはヤダ!!(拒否) 絶ぇ~対にヤダ!!(頑)」
栗野
「も~う・・・(困) ちょっとカットが大きいだけでー・・・」
さとっち
「・・・んじゃ代わりにもらうわ(食)」
みかっぺ
「あっ・・・!」
※みかっぺの代わりにピーマンを食べるさとっち。
栗野
「また長谷川さんが代わりに・・・(落胆)」
さとっち
「(味) ・・・うん。別に旨いっすけど?」
みかっぺ
「(゛°△°)・・・(引)」
さとっち
「ちょっと? ピーマン食べたくらいで引いた感じに見ないでくださいよ( ̄ ̄;)」
みかっぺ
「・・・だってソレさっき、ハエが止まってたのよ?!」
さとっち
「!! う゛っ・・・! ゲホッ! ゴホッ!! ガホッ!!(咳)」
栗野
「『ハエ』って・・・、最初から楽屋に飛んでたあのハエ?!」
みかっぺ
「うん! 栗野さんがお弁当回収しに来た時に潰したやつ」
さとっち
「最初に言えやぁー!!(怒)」
ちなみに日本のハエの場合、飛行していたものが食べ物に止まる程度のものであれば、人体に影響はありません。
(ただしハエと共に調理された料理等につきましては、衛星等での注意が必要です)