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憑きづきし  作者: 金子よしふみ
第四章

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32/60

目を覚まして

 覚醒をした。志喜は辺りを見渡す。

 チコが顔を覗き込んでいた。あおゆきがほっとした表情を浮かべた。茅野が寒そうに缶コーヒーを飲んでいた。そしてもう一人

「君、いいか。さっきのことは忘れろ」

 小清水にそっぽを向きながら言われた。

 小学校のグランド。体育館の出入り口のアスファルトに寝かされていた。時はあれから二〇分ほど経っていた。負傷箇所への追撃により意識を失った志喜に対しての処置が迅速に行われ、即効が現れたのであった。

「寒!」

 と言って志喜は身体を起こした。

「あれ……肩」

 痛みがチクチクと残るものの先程までの激痛もなくなっていた。

「あおゆきがねー、手伝ってくれたんだよ」

 チコが頭を出しながらそう言った。それは頭を撫でて欲しい合図でもあった。志喜はそうする。

「ありがとう」

 の言葉とともに。

「あおゆきさんも、ありがとう」

「礼には及びません。都筑君を治すのも私の使命ですから」

 あおゆきもそっぽを向きながら早口でそう言った。

「なあ、話しがさ、見えんから、ちとゆっくり話せんか?」

 缶コーヒーを飲み終えて、茅野が滞った議事進行を任された新任議長のように割って入った。確かにその通りである。志喜にとってみれば、レザージャケットの君が女子だと判明しただけであり、何者かなどはまるっきりわからなかった。

「ボクは小清水暁。て、なんで関係ない君たちにまで話す必要になるとは……しかも……」

 小清水は頭を抱えている。ちなみにあおゆきによって損傷した小清水のレザージャケットはチコの術によってものの見事に再生されていた。

「ここはさすがに見つかると厄介だから、海岸にでも行こうよ」

 海岸であれば、仮に警察が巡回して来ても早朝に出かけてますと言い訳ができる。確かにカーフェリー乗り場の近くに早朝から開いている喫茶店はある。けれどもまだ開店前の時間だし、開いていたとしてもそんな時間に男子一人と女子三人、さらに幼児一人が来店したら、聞き耳を立てられることもあるかもしれない、少なくとも怪しまれるだろう。ファミレスや二十四時間営業のカフェスタンドでもあればいいのだが、そこはこの島の特性というか性質というか必要性という点において設けられていなかった。


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