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憑きづきし  作者: 金子よしふみ
第四章
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チコの幻術

 ところで、高校受験を終えた男子と女子が真夜中に自転車をこいでいられるのは、チコの幻術に寄るものである。

 帰省しているとはいえ、そんな時間に外出するとは両親が許可するはずはなかったのだが、そこであやかしたるチコの力の見せ所となった。チコの力。空間を制止させる、こちらの思うままの状況を作り出す、いわば情報の干渉と上書き、それらができるのであればということで、術の行使となったのだ。志喜の父母、祖父母を深く眠らせて、起きないようにしておいたのだ。

 茅野は志喜と待ち合わせをし、「ちょっと出てくる」とだけ家族に言って、バスの最終便に乗ってきたため、これまたチコが幻術によって自転車を現出させた。

「まったく使えない奴だな」

 とはあおゆきの茅野に対する言葉であり、

「タクシー使ったら、運転手に怪しまれるだろ」

 半ギレで返すのが精いっぱいだったうえに、

「バスの最終便て、貴様はどう理由を付けて戻るつもりだ?」

 あおゆきの指摘には沈黙で反応するしかなく、

「チコ、何とかならない?」

「分かったー」

 との志喜とチコの助け舟によって、茅野が滞在している家には茅野のコピー体と呼ぼうか、そっくりな者を一同が茅野本人であると認識しているという状況を設定した。

 茅野はまるで地蔵を崇めるかのようにして、しきりにチコに合掌をしていた。

「散々祓うとか言っていたのにな」

 あおゆきの嫌味を茅野はじっとこらえるしかなかった。


 そんなことがあってのサイクリングが四〇分ほど続いたところで目的地に到着した。


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