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憑きづきし  作者: 金子よしふみ
第三章

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祭事へ

 明けて日曜日。

 朝食時、志喜は祖父母から一つの勧誘を受けた。

「志喜や、今日じいちゃんとばあちゃんは出かけるんだが、一緒に行かんか?」

「どこ?」

「お社様んとこだ。祭りがある日でな」

 志喜には覚えがあった。幼い時にも行ったことのある、小さな神社で祈祷などを行う春の祭事のことだった。漁師町ではいまだに豊漁の祈念に、不漁時のお祓いに利用しているところもある。ここの女性神主は霊験あらたかで呪詛払いや口寄せ、呪詛をかけた人物や場所を特定することもできるという。だから、小さいとはいえ、人の往来は少なくなかった。

「体調悪いんだろ、まあまじないと思って、ちっと行かんか」

「うーん」

 志喜はチコたちのことが気にかかった。祈祷をするということは、その場でいわゆる厄払い的なことになるわけだ。だとしたら、チコが離れて行ってしまうのではないか、そういう懸念が浮かんできたのだった。

「かまわない。私はひ……チコちゃんと出かけるから、君はゆっくりしてくるといい」

 志喜の心中を察したように、セーラー服姿のあおゆきが言うと、

「何なら、旅の者も行かんか?」

 彼女も志喜の祖母から同行を誘われた。あおゆきはチコと視線を交える。

「うん、私も行くー」

 チコの元気さが返答になった。

「ねえ、大丈夫なの?」

 志喜は不安を抱え、あおゆきに小声で尋ねた。

「私たちが祓われるようなことではないと思う。なんなら理由を作って場所から離れるようにする。ここで意地を張って拒否をした方が変に思われかねません」

「そう、ならいいけど」

 二人のひそひそ話に

「なんだ、志喜。その子が本命か?」

 などと朝から父が茶々を入れるものだから、慌てて強く否定した。が、それはいささか動揺を顕わにしており、

「若ぇなぁ」

 などと茶を啜りながら、父が志喜の言葉などまるで無視しているようであった。

 朝食後祖父母の一台と、志喜・チコ・あおゆき・そして志喜の父母の一台の分乗となり、チコはドライブに大いに歓喜していた。


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