06.異世界は摩訶不思議です。
この世界の道具は摩訶不思議である。
非常に不思議だ。懐中時計を見た愁さんは、カバンのサイズから想定外の大きさの荷物を出しあっという間にテントらしきドーム型のものを立てた。
「テントはオッケーとえーっとあとは…」カバンにびっくりしていると、愁さんはカバンに腕を突っ込んで、「これもっと」といい取り出したのが、キューきゅーとかわいくなく、小さな猫のような生き物だった。
「こいつは、キュガ。こいつが俺たちの寝てる間の安全を守ってくれんだよ。」
こんなに明るいとはいえ、危険はつきものってことか…
まあ、こんなに明るいと寝れるかどうか…
あれ「テントの中、暗くて快適ですね」というと、愁さんはイキイキとはなしてくれた。
そのテントは世紀の発明ともいわれる、暗闇テントだ。夜に関する文献から研究を重ねてきて真っ暗過ぎず明るすぎない快適な暗闇を目指した代物だ。これにはないが、星明りを再現したテントもあるそうだぞ。
星明りか…前の世界を含めて、長らく見てないな。
テントから出ると、愁さんは狩りに行ってくると言い。瞬きの速さで行ってしまった。
「行ってしまった…」キュガと取り残され遊ぶことにした。
きゅーきゅーとなく小さな生き物は、猫の耳を持ち太く長いしっぽが特徴的だ。
あとちょっとムチムチしてる。
手のにおいをかいで、すりすりしてくる生き物ににやけてしまう。
「かわいいなあ…よしよし…」
癒される…何年振りだろ動物と戯れるって…
ほんと、前の世界ではろくなことなかったからなあ…ってなんで、キュガが震えているんだ。
小さくうずくまって、私を見てプルプル震えていた。
そこに音速で愁が帰ってきた。
「ただいま。大猟だった…ってちょっと、どうしたんだ」
キュガは触れる人の記憶を見ることが出来る。それによって幼い間は、おびえてしまうことがあるらしい。って、キュガはまだ幼いのか…悪いことをしてしまった。
「キュガの種類は、触る時は頭の中は、いい思い出か、何も考えないことをおすすめする」
異世界の生物は面白いな…何も考えない…もふもふでかわいいな…
「君、もふもふでかわいいと思ってんだろ。契約している獣の感情は筒抜けなんだよ。」
キュガの顔がデレデレしていた。それもかわいい
本当に不思議な生き物だな。
契約…この世界にはそういう概念があるのか。私もいつか契約とかできるのかな…って私なんかに契約してくれる生き物なんていないか。
少し、寂しい気持ちになりつつも、愁さんの傍らにある魔物的な残骸を見つけ、これは…と声をかけた。
「これは今日の飯だ」
これが…見た目はイノシシのものと、大きな犬?狼?のようなものもあった。
「今日は肉を焼く!」
それって焼肉じゃん、たれとかあったら美味しいんだろうな…そんなことを思いながら、慣れた手つきで準備していく愁を眺めていた。
捌かれる姿を見るのは心苦しかったが、分厚い肉の塊を見ると食欲が勝ってしまう。
新鮮なつやつやの肉、焼いたらどんな味なのだろうか。キュガも早くくれと言わんばかりに、口から唾液が垂れている。
私も手伝うというと愁は大丈夫と言い、奇妙な箱型の道具をだす。
その箱に、肉を入れてスイッチを押すと3分後には、レアステーキが出来上がった。
これには、私は驚きを隠せず聞いた。
「こ、これは?」
「ああ、初めて見るか。これは、旅のお供に必須アイテム。携帯式のグリルだよ」
ランプ・カバン・テント・調理器具まで異世界のアイテムは本当に不思議すぎる。
私は、元ので界では見たことのないアイテムに興味深々になりながら、もらった肉を食べる
もちろんとても美味しい。しかし、やはり、塩たれが欲しい…そんな少しの不満を抱きながら晩御飯を終えた。
外は相変わらず真っ昼間のように明るいが、テントの中に入ると夜の様に暗く感覚がおかしくなりそうだと思いながら、しばらくして眠りについた。
それから、数日旅を続け初めての泉についた。




