04.この世界の教師はどうなってるんだ
オリーブグリーン色の髪色に、髪型はマンバンヘアだっけか…
右肩には何かの紋章の刺青?のような物が入っていた。
「僕は、宮廷教師の愁、宜しくな!気軽に愁って呼んでくれ」
(この世界の教師ってどうなってんだ。髪型もだが肩の刺青はだめだろ…しかも宮廷教師って絶対お堅い職でだよね…王様の人選逆に怖いんだが)
「こ、古藤 灯です。よ、よ…宜しくお願いします」
今までに接したことのない人種過ぎて、おどおどしてしまった
「早速、なんだけど。異世界から来たんだよな。この世界の事は少しは楊様から聞いているんだろ?」
「あ、はい。精神力が高けれな高いほど至高だと、聞きました。」
「そうだ。精神力の強さで決まるのは、地位、職業、性質の強さの三つになる。今日はこの性質について僕から教えるように楊様から仰せつかっている。」
「その、性質って何ですか?」
愁さんはどこか得意げに、説明を続けた。
その姿は、なんだか楽しそうだった。
「人が元々持っている、精神は別名で精神エネルギーともいう。これには種類があって陽の性質と陰の性
質の2つだ。そして君は陰の性質。陰の性質は人の精神の中に介入することが得意とするんだ。それを利用して幻覚や精神操作ができる。ちなみに僕は、身体の能力の向上と術式が得意だ。まとめるとこんな感じだ」
精神力(精神エネルギー)=性質の強さ
精神エネルギーを使って技のような物を出せる
これを表化という。
性質は、陽と陰の2種類
技の種類は、闘・幻・式(術)
心の中の強い波長が外部へ表化することで発動できる。
心の波長(陰陽)が強すぎると言葉に出さずとも、外部へ何らかの影響が出せる
しかし、精神力が高いほど力の扱いが難しく、コントロールできるようになるには時間がかかる
(前の世界で言う、魔法みたいな感じかな。どことなく陰陽師じみてる。そんなの出来たらかっこいいよな…)
「で、君は精神力は化け物並みの100万だから、コントロールを完璧にするのはまず不可能に近い。楊様、菫さまでさえ、完璧には操れていない。ハードルは高いとは思うが、頑張っていこう。」
(まじか…今の話だけでも至難の業が過ぎる…んだが…)
「まずは、精神エネルギーを感じるところからだな。大丈夫!そんな絶望そうな顔すんなって、痛いことはしねえよ。まずは、あぐらで構わないから座ってくれ。」
(座禅みたいだな…)
「まずは、嬉しかった事を思い出してくれ。」
「は、はぁ…(嬉しかったことか…んー……あれ…思い出せない。しいて言うなら、宮廷ので食べたご飯があったかくておいしかったな…)」
「よし、次は苦しかったことを思い出してくれ」
(苦しかったことは…裏切り、悲しみ… もう嫌だ 絶望……)
ふと出た言葉
「生きるのがつらい…」
「え……」
愁さんの声が聞こえたとおもったらドカーンと爆発音がした。
私の目をつぶって、伏せ落ち着いたと思って目を開けたら
私の周り体感5~10メートルくらい焼け焦げていた。
「な、なにこれ…」私はおろおろと慌てていた。
大木の上に退避した愁は、この状況に困惑していた。
(あー、派手だねえ…この暴走爆発規模でで本人無傷かぁ…普通なら本人事吹き飛んでるし、暴走の発動が浅すぎるがあの精神力の強さでこの爆発範囲で済んだのは…。まあ、アサシン上がりの回避力なかったら俺も消し炭だった。さてどうしようか…)
慌てていた私の前にどこからともなく愁さんが現れた。
「あ、あの、ごめんなさい」
「大丈夫だよ。あとで、僕と庭師で直すから。それより、君さ…楽しい思い出少ないの?」
私の頭の中でも見えているのかと思った。
「え、なんでそれを……」
「精神エネルギーは、思い出からの干渉を受けやすいんだ。いい経験が多くても、悪い経験が多くても力の暴走は起こるからね、君は嫌な思い出を思い出した時に暴走したからね。君が自身の爆発音で驚いて我に返ってくれたおかげで、こんだけで済んだ。むしろこんだけで済んだ君は力のコントロールのセンスがある。自信もって一緒にやっていこうな。」
「はい。」
その日は、習慣的にできるコントロールの練習を教えてもらい終了した。
コントロールができてくると力の流れが分かってくるそうだ。
その日の夜、愁さんの事を考えていた。
「あの人、なんかつかみどころないなぁ、まあ人の事、言えないか。」
フレンドリーだけど、なんか距離を感じるな。何だろうこの違和感。
今日あったばかりで、気にし過ぎか。
それに、いい思い出と、悪い思い出のバランスか
バランスなんて考えたことなかった。
いい思い出か…あったはずなのに、なんで思い出せないんだろう。
こっちの世界に来たからなのか、嫌な思い出が強すぎるのか?
どっちにしろ、こっちに来てから少しだけ症状がマシになった気がする。
だけど、不安と重たい気持ちは纏わりつく
この日は、涙を流しながら眠りについた




