03.精神力100万なんてありません!!絶対ありえません!!!
今日は、精神力をはかる日が来た。
建物内の特別なお庭にあるらしく、移動している。
お庭に出たら、やはり少し違和感の假る世界観だった。
庭の奥へ着くと大きな木々のふもとに池があり、その池の奥に小さな御社のような建物があった。
王様である楊様から、透明の石を渡された。
「これを持って池の中に入るんだ、そして御社の前に立って。この石を御社の前にある皿に置くんだ。君はそれだけでいいよ。あとはこちらで呪い(まじない)を唱えて終了。終了後に石はこちらの神官長に渡してくれ。この石をもとに君の精神力をはかる道具に通すんだ。」
楊様はにこやかな笑顔で言う。
この人、楽しんでるなと直感で感じ、この人とは合わねえと思った。
お后様の菫様、蘭さん、神官様的な立ち位置の方たちが緊張の面持ちで見ていた。
私は、意を決して池の中に入った。
日差しは私を差すように照らす、それとは対照的に池の水は程よく冷たく感じる。とても心地よくて思わずその感覚に浸った。少しずつ御社へ進み、御社の前にある皿に石を置いた。
石を置いた音がカランと響いた。
静寂が包み込む
世を創りしジネヒュ様、この者の内在する御力をはかり、水晶に写し給え。
私の体が光出して、御社に置いた石も光出し辺りが真っ白になった。
しばらくして、目を開けると…
目の前の石の色は、星空のような濃紺にきらきらしたきらめきが輝く石がお皿の上に転がっていた。
(こんなにきれいな石を見たのは初めて…夜空みたいでとても落ち着く。)
石を手に取った時に「おおおおっ!!なんだこの色は」と声がした
何事かと思って、後ろを振り返るとみんな池の方を見ていた。
私も池を見たら、先ほどまで無色透明で透き通っていた池の水が、不透明の黒に近い濃紺と水色のグラデーションで星のように輝いていた。
「わあ…(天の川みたい…)」
池に見とれながら、池から上がり石を神官長と呼ばれる人に渡した。
神官長は初めて見たと物珍しそうに、少し眺め小さな箱へ入れ
箱に手をかざし、しばらくすると…箱に数字が数字が浮かびあがった。
神官長人生こんな数字は初めてですと言って興奮気味に「灯様の精神力は100万です!!!」
神官長の言葉と数字を見て、みんな驚愕と興奮ですっかり盛り上がっている。
「ひ…ひひっひゃくまん????何かの間違いなのでは」
(絶対ありえねえ…ほんとに何かの間違いなのでは?、いや、まてここの世界のカースト最上位なのでは??生き残れるか…でもそうなったら、夜を訪れる魔法?てきなのを使わないといけない…使い方なんてしらん、え、むり、やっぱり生き残るの無理なのでは…)
楊様も興奮気味で私の方に手を置いて前後に体を揺さぶられた「私より高いではないか!!!どうやって養ったんだいこんな数値!!」
(知らねえよ、一国の王より高いってこっちが聞きたい…なんでこうなるのっ…こんな大役できないって。)
楊様は早速と言わんばかりに私に言った
「早速、性質の扱いについて訓練しなければいけないね。私が信頼している先生に頼んであるかね」
(もう頼んであるんかい)
きらきらした目で私を見てにこっと笑っていた。
「ちなみに御精神力の平均値って、どれくらいですか。」
菫様が少し困った顔をしながら答えた
「そうね、平民の平均は大体150~200。貴族になってくると500~2000、皇族になると5000以上ね。私は7000、楊は1万前後ね。灯さんの精神力はもはや人の域を超えているわ。」
「そ、そうなんですね」
(100倍じゃん…え……これ、よくあるステータスがチート的なやつか。にしてはやり過ぎだ。人選ミスGODめ。これからどうしようか、とりあえずこの世界のセオリーにのってみないことは常識が分からない
から、とりあえずはなるように任せるしかないのかな…胸が重たいな…はぁぁ。)
気持ちが不安で晴れることなく、その日は部屋へ戻った。
前の世界と違って快適な生活をさせてもらっているし、そしてなによりゴロゴロしている時間がすごく至福なのに気づいた。
窓から外を覗くと、海沿いの街並みに眩しい日差しがさしていた。
外はどんなところかなと、ほんの少しだけ気になっていた。
そのころ、白昼の間では先ほどの神官長がある報告をしていた。
「精神力100万は人の域を超えています。しかも水晶と池の色からして今は亡き陰の性質の持ち主のようです。あの者をこのままにするのは危険です。性質の暴走を起こりでもしたら、この建物…いや国が吹き飛びます。」
王の楊は、笑顔で答えた。
「大丈夫だ。そのためにも宮廷随一の教師をつけるんだし、それに彼女は神託を遂行する子だ。この昼しか訪れない我が国の希望なのだ。人々の荒れ方も環境の悪化もう手の尽くせる限りをしている。それにもう夜という時間帯の経験者はこの国にはいない。私は見てみたいのだ星空というものを。彼女はこの国を救ってくれる存在だと信じているのだよ。」
翌日、朝食を終えてしばらくしたら、身支度のお手伝いをすると蘭さんが部屋に入ってきた。
「今日から、お勉強しますから、動きやすい服装に着替えましょう。」
(お勉強って、昨日先生を頼んでたって言ってたもんなぁ)
「分かった、ありがとう。」
お庭らしきところに案内された。
今日も照り付ける日差し、とても眩しくて目がうまくあかない。
この世界はいちいち明るくて困る。
指定されたところで待っていると明らかにパリピと言わんばかりの感じのやつに声をかけられた。
「やぁ、君があの精神力100万の子だね。」
「何か…」
振り返ると、オリーブグリーン色のマンバンヘアのパリピがいた。
(先が…思いやられる…誰だこいつ)