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電車に揺られて ここどこですか? 無人駅で愛を叫ぶ

作者: グミさん

『電車に揺られて』


早朝から酒を喰らい記憶が曖昧。

確か最寄りの駅までは夕方には着いている計算だ。

ここはどこだろう? 見たことのない駅だ。

所謂無人駅って奴だ。

二十一世紀だと言うのに無人駅があるとはこれは随分田舎に来たようだ。

今は令和だぜ。本当にあり得るのか?


俺はどうしちまったんだろう?

記憶を辿るがちっとも思い出せない。

ここは駅のフォーム。ならば俺は勝手に降りたことになる。

自分の行動力が嫌になる。

無意識のうちに車掌にも駅員にも地元の人にも愛想よくしてたんだろうな。

ちょっとだけ覚えてる気もするが夢と混ざって何が何だか。

こう言うことはよくあること。

お酒でのやらかしはこんな物じゃないがまさか見たことも無い駅に来るとはな。


真っ暗で字が読めない。

ここが何駅で私鉄なのかJRなのかさえ分からない。

うーん光さえあればすべて解決するんだが。

カバンはもちろん財布も携帯もない。

もうひと眠りするか。

朝になれば電車だって……

しかしこの寒さだ。風邪をひく。

最悪低体温症になっちまう。


どうする? ここが無人駅でも電話ボックスぐらいあるよな。

十円。十円。

ラッキー! ポケットに二十円ほど入っていた。

うんやっぱり電話があったぞ。

十円を入れる。

うん? 俺はどこに掛ければいい?

自宅は覚えてないし。職場には知られたくないし。よし実家にしよう。

「どちら様ですか? 」

「俺だ! 俺だよ! 今大変なんだ! 」

どうにか現状を伝えようとするが。

「騙されないよ! 」

「ちょっと待ってくれ…… 」

切られてしまった。なぜだ? 俺はただ迎えに来てもらいたかっただけなのに。

薄情だよ。俺には誰も味方してくれないのか。


嘆いても仕方がない。ここは切り替えて。

彼女のは覚えてるんだよね。

「もしもしどうしたの? 」

「えっと俺…… 結婚しよう! 」

つい心細くなって告白してしまう。

今が一番タイミングが良かった。

「うれしい…… 」

何とOKをもらう。

「本当に良いのか? 」

「あのね私…… 」

電話が切れる。

やはり十円では足りなかったか。


あれ…… 俺は何やってるんだ? 告白してる場合かよ。

せっかく助けてもらうチャンスだったのに。

もうお金がない。これは大ピンチ。

どうする俺? 打つ手が無くなったぞ。

もう朝まで寝てるしかないのか?

いやまだ一つだけ望みがある。


「…… 火事ですか? 事故ですか? 」

「あのここはどこでしょう? 」

「悪ふざけは止めてください。いたずらなら切りますよ」

「うわあ! ちょっと…… 」


この後俺がどうなったのか酔ってたのでよく覚えてない。


               <完>

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