死者が去った後の病床を這う蛆
死者が去った後の
病床を這う蛆を見て想う。
華やいでいた栄光の時・・
争いに参加するという名誉・・
奇妙な邂逅と諧謔・・
その全てが過去のものになり、
「お前の闘いは終わった」
と宣言される。
アヴェイロの海岸に
打ち上げられた海藻、
ああ、見向きもしなかった
その哀れな残骸に
我らはなる。
人は自分の残滓を
葬り去らなければ
ならないのだから。
(一人孤独に!!
最後までやり遂げるのだ!!)
なるほど。
眩く見えた他人の栄光など、
そこでは何の意味も成さない。
それは海中で聴こえる
ウニが岩礁を齧る音の様に、
食堂で誰かが立てた
スプーンの音の様に、
何処から聴こえて来るのかもわからない
遠くの他人の夢なのだ。
死者が去った後の
病床を這う蛆・・
それを救済と
言う者もいる。
それを呪いと
言う者もいる。
笑いが込み上げてくる・・!!
本質は同じものではないか!!
[打ち捨てられ、孤独に死ぬ]
という予言の通り。
華やいでいた栄光の時・・
争いに参加するという名誉・・
そして、願わくば一瞬の
奇妙な邂逅と諧謔・・
ああ、
それでも、
その小舟は
南へ向かう・・
だが、やがて
残酷な病床に伏すとしても、
陽気な旅が
意味を無くす訳でもない。
ただ、やり遂げるべき事をやり遂げ、
孤独に誰もがそれをやり、
人は何も言わずに、
何も告げずに、
ある日、立ち上がり、部屋を出ていく。
そして二度と戻ってはこない・・