no.4
男は右手に何かの機械をもって、僕たちの腕にあるマイクロチップにかざした。
ピピッという電子音が響き、部屋の中央辺りにあるモニターにデータが映し出される。
「グリーデルダ、45367G番を治療施設に」
「45215A、こいつは、カンデライ地区Rの8757Wだ。」
男は次々とぼくらの行く先を決めていく。
――殺されるのでは、ないのか?
ついにぼくの番になった。
ぼくの左腕を無造作に掴むと、マイクロチップをスキャンして、男はモニターに目をやった。
「――おや――? 」
首を傾げて、もう一度ぼくのマイクロチップをスキャンする。
「おかしいな」
そう言うと彼は面倒くさそうに呟く。
「グリーデルダ。間違ってこいつを呼んだだろ」
「そ、そんなこト、ありませんヨ。
このリストに載ってルやつらヲつれてきたんですかラ……」
グリーデルダは少し慌てて、胸のポケットから小さめの機械を取り出した。
「――ほラ。ご主人さマ。
54832Tって書いてありますシ」
グリーデルダはそう言って、またひげをヒクヒクと動かす。
「おかしいな。――まぁいい。
54832Tは、元の場所に送り返しておけ」
男はそう言うと、ぼくらの顔を一瞥して言う。
「おい、グリーデルダ。
こいつらは絶滅危惧種なんだからな。丁寧に扱えよ」
「わ、わかってますっテ。食ったりしませんかラ……」
グリーデルダはそう言うと、ちらりとぼくを見た。
――その目は牙を抜かれた肉食獣のようで、ボクは背筋が凍った。
……ぼくを食べるつもりだったのか?