4
一番の変人は誰か? 言うまでもないかもしれません。(笑)
私ソフィアは筋肉フェチな変態である。自覚もある。
ああ。今日も殿方の前腕二頭筋が映えわたっているわあ。ゴクリ。
「こちら冒険証のお返しです。」
「ああ。いつもありがとう。」
勤務5年目・・・。命をかけて魔物討伐に赴く冒険者は、私にとって最高の眼福である。
毎日が天国だわ。このドキドキ感がたまらな~い♡
「はい。いらっしゃいませ。」
「おのう。冒険者の登録がこちらでできるって聞いたのですが。」
「はい。1名様でいらっしゃいますか?」
「いえ。あそこでほっつき歩いているのと2人です。」
「では、パーティ登録もしておきましょうか?」
「パーティ? 私はそんなものには興味ないです。堅苦しいですしねえ。」
「もしかして、ご存知ないのでしょうか。2人組の事ですよ?」
本当に大丈夫だかなこの人。
「あ、そうなんですか? じゃあお願いします。」
そう言って手を水晶玉にかざして頂いたのだが。キレイに整えられた爪。引き締まった筋肉。まるで魅せる為に鍛えられたような。育ちが良いのかしら。
細くも引き締まった肉体美・・・。ゴクリ。
おっと。私ったらいけないわ。今は仕事中なのよ。
「武器は何を使っているのですか?」
「ええっと。この拳?」
「・・・!?」
聞き間違いに違いない・・・。
「すみません。聞き逃してしまったみたいでして。もう一度お願いします。」
「武器何もないんですよねえ。」
照れくさそうに笑う男・・・。
なんじゃそりゃ! なめとんのか我!
「あ、おれより多分彼女の方が強いですよ。」
「そうですよ! ざっと100万馬力!」
「あなた、冒険者じゃなく、別のお仕事紹介いたしますよ。」
「ええっと。でもせっかくここまできましたので。」
「遠方からいらしたんですねえ。」
「では、いつでも転職先紹介致しますから。」
「初心者おすすめダンジョンとかはありませんか。」
「でしたら、ギルドの裏に、ゴブリンが増産されているダンジョンがあります。というか、もはやいつでも退治できるように、ここにギルドがたったのです。」
「こんな町中にですか! いやあ。奇抜な発想ですね。」
「まあ。何事も効率重視ですから。」
「切っても切ってもゴブリンはダンジョン内で復活し続けます。本来ダンジョンから街へ出ていく前に冒険者が退治しているのですが。」
「本日は人で不足でしてね。出来るだけで良いので、退治してくれませんか。疲れましたらすぐ休憩して頂いて結構ですから。」
「では、挑戦させて頂きます。」
「この棒かりて良いですか?」
「武器ないんでしたよね。」
「はい。」
「たいして強くはないですけど。良いですよ。」
「ありがとう。」
というわけで彼らを見送った。あの2人は夫婦かな? リア充爆発しろ! ちょっと強めに念じてみた。
直ぐに諦めて帰って来るだろう。その時にはお隣の果物屋さんのアルバイトでも紹介することにした。
もうすぐ1時間経過だ。結構粘っているなあ。
一方ダンジョン内では、鬼畜の所業が行われていた。
まずはミナのゴリ押しゴリラパンチでの大量殺戮。
予測線を視認してからの棒で復活した直後からの殺生。
「これがホントの百本ノックなんじゃい!」
「あ、そーれ。ぜえぜえ。」
「次代わりますねえ。」
「おう。」
ゴブリンは復活するたびに一定時間のクールタイムがある。
それすら許さず、圧倒的スピードと破壊力で一番最初に全ての命を刈り取ったミナがまず規格外。
そもそもそんなに強い冒険者はこんなところに来ないのだ。
それからは、おれが攻略法を見つけをゴブリンをボコること、数時間・・・。
俺たちは神速でレベルアップをしていた。
「あらよっ。そーれ。」
まさに鬼畜。鬼畜の所業である。
夕方になる頃には、討伐数は1000体を超えており、称号を得るまでに至っていた。なによりパーティで経験値が均等に割り振られるのがでかい。それにミナにとっては赤子の手をひねるようなものなんだ。
おれが5分。ミナが55分疲労度合いは同じくらいなようだ。
「・・・。なんで、一日で“ゴブリンスレイヤー”を獲得しているんですか?」
「それは、報酬に関係あるのでしょうか?」
「な、ないですよ。でも・・・。」
「でも?」
「実績の一つとしてはカウントされます。」
「そうなんですか!? やったなあ! ミナ。」
「ふん。全て私のおかげといっても過言じゃないですねえ。所有者!」
「・・・!?」
「お二人は主従関係(奴隷)にあるのでしょうか?」
「いえいえ。まさか。」
「所有者は所有者ですよ!?」
「違いないw」
???
まるで説明になっていない。よし! 深く考えるのを止め、依頼達成のハンコをおす。
推薦でミナさんだけランクをFからCに飛び級で上げといた。ふふふ。これがギルド職員の職権乱用よ!