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世界のアンドロイドが好きな方へ捧げます。ラブコメちっくな作品に仕上げる予定です。

世界中の空に車が飛んでいる。昔の人々はこんな未来になっているとは想像もつかなかったのかもしれない。


とにもかくにも、人がだんだん減っている気がする。もうここ数100メートルで空き家ではなく人が居住しているのは、我が家だけに違いない。


昔の日本は関東・関西で人口が集中していたらしい。今はそんな事の影さえ感じられないのだが。


ご近所さんもこの間引越していったしなあ。


おれの所もそろそろ新品のアンドロイドに変えたいなあ。そう思いつつ、なかなか愛着がわき、買い替える事の出来ないおれ。


毎年のように以前は各メーカーから新商品のアンドロイドが発売されていたものだが、最近になってはロングセラーモデルが主流になりつつある。


用は壊れた所だけ交換し、末永くお付き合いしていく事が可能になったというわけだ。


そんな訳で、おれが新卒の時のボーナスで買った彼女No.37シリーズことミナを本日もメンテナンスしている。


「だから、私ミナは旧型シリーズですので、ダークマターLLをとっても体調に変化はないんですよ?」

「らしいけど。君にはいつもお世話になっているからな。」


「少しは自分の為にお金を使って下さい・・・。」

「そうかな。おれはミナに貢ぐのが生きがいであり、もはや趣味なんだが。」


「そ、それは。将来のお嫁さんに言う言葉です! ええこれ以上は聞きませんからね!」

「え、なんかごめんなさい。」


何気ない会話で勝手に傷つくおれ。


そんな何気ない日常におれたちの明日はあった。


あの日、エネルギー業務アルファ・ソックスに行かなければ、穏やかな未来があったのだ・・・。


{緊急警報、緊急警報、ご来館の皆様、ここアルファ地区エネルギー省で、システム暴走が起きています。爆発の危険があります。今すぐに離れて下さい、繰り返します。}


そんな事が聞こえた次の瞬間、空間に割れ目が生じ、周囲のものが吸い込まれて行く。


「逃げて下さい! 何でこっち来るんですか!」

「一緒ににげよう!」


「いや、無理ですから! 新しいアンドロイドを買って下さい!」

「君の事を放っておけない!」


あからさまに嫌そうな顔をされる。おれってもしかして痛いヤツ?


「ああもう、間に合わない! このバカ人間!」

「なんかすま~ん!」


「人間ってほんと・・・」


壁に張り付いていた手が風に絡み取られた。おれたちは仲良く吸い込まれて行った。



*****


気づけば、良く分からない空間におれたちは立っていた。


「こんにちは♪」女神と思しき人に話しかけられる。


「・・・。」

「ワタシハウチュウジンデアル。」


感覚が鈍い。というか無い。呼吸すらしていない。おれは死んだのか?


「ここは、あなたたちが先ほどまでいた世界とは別の世界なのです。」


そう、なのか? まあ、この人は紛れもなく女神様なのだろう。だってこんなにも神々しい。


「これから新しい世界に転移する為に、何でも好きなスキルもしくは武器をあげましょう!」


え、そんな古典文学みたいな事言われても・・・。昔、この国が日本と呼ばれていた頃・・・。


そういった小説の事をなろうと言っていたそうな。


「そうだな、おれが欲しいのは・・・。」

「イケ、むぐ。」


「顔はそのままの方が良いです。」


「そうだな、チートス、むぐ?」

「なんか、ハーレムとか作りそうなので、それもキャンセルです。」


何?このアンドロイド? 


「やっぱ何にもいらないです。(涙)」

「その通りです。」


「本当に良いのですか?」


「おれは良いです。(涙)変わりに、こいつの願い事を叶えてやって下さい。」


「で、でも原則は生きた生物にしか・・・。」

「そこをなんとか。お願いします。」


ほらほら。女神さまも困らせてしまっている。


「流石は、我が所有者! 分かってますね!」


うるせえよ。なんだよ。その笑顔。


ちょっと複雑な気持ちになってしまった。


「ちょっと向こうに行っといて下さい。盗み聞きはいけませんからね!」

「はいはい。分かりましたよ。」


地面はおれでさえも知っている、名画で覆い尽くされている。


慎重に、人物像の顔を踏まないようにしながら、距離を取る。


その間にどうやらミナは願い事を済ませたようだ。


「もしかして、おれのお嫁さんになりたいとか願ったのかな? かっわいい~!」

「フッ。」


おい。鼻で笑ってくれちゃうじゃないか。可愛いから何でも許されると思うな・・・よ。


可愛いは正義。その言葉にいつも屈してしまうおれだった。(涙)


「では、行ってらっしゃいませ! お次の人生では、幸あふれん事を!」


おれたちは見知らぬ大地へと降り立ったのだった。








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