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第四湯 夏帆の恩返し

店内の雰囲気に圧倒されて立ち止まる私を促すように、夏帆は「こちらへどうぞ」と言ってエスコートした。お客は私だけらしく、物静かな時間が流れていた。

カウンター横まで来るとマスターと思われる白髪の老紳士が一瞥をくれた。


「いらっしゃい」


その声は低くて落ち着きのある心地よい響きがした。鼻下と顎のコンチネンタルな髭がいかにも喫茶店のマスターという感じ。ガレージに停めてあるユーノスの持ち主だろうか。

軽く会釈をしながらカウンターを通り過ぎ、案内されたのはソファー席である。


「こちら足湯となっていますので、裸足になってからお座りください」


言われて気づいた。こちらの席もテーブル下にお湯が張られている。

指示に従って靴と靴下を脱いでから座る。くるぶし上ほどの高さに張られたお湯はぬるめで長湯をして居られるちょうどいい温度である。

夏帆は足を拭くためと思われるタオルをソファーに置いた。そして私にメニューブックを差し出しながら、


「いやー、もう会えないかと思ってたから本当によかったよ。この間のお礼をずっとしたいと思ってたんだ。ここはあたしの奢りということで、何でも注文して!」


夏帆は万馬券を当てた大学生のような表情で胸を張った。

お礼というのは、おそらく箱根での出来事を言っているのだろうけれど、


「別にそこまでのことをした覚えはないんだけど……」


「いいからいいから」


エプロンからオーダー票を取り出して注文を聞く姿勢になる夏帆。それ以上の遠慮は無用という意思表示らしい。

私は諦めてメニューを開いた。夕食は家で食べるから、ここでは軽めにしておこう。

メニュー内容を見て再び驚いてしまう。

……なんだこれ?


◆デザート

  箱根黒たまごパフェ

  伊豆高原アラモード

  那須ショートケーキ

  由布院ロールケーキ

  別府きなこ団子


◆ドリンク

  黒湯ブレンドコーヒー

  乳頭カフェラテ

  草津抹茶モカ

  道後ダージリン・ティー

  熱海クリームソーダ


──などなど。

メニューのすべてに温泉の名前が入っている。……なぜ? どんなデザート、ドリンクなのか、想像できるようなできないような。

箱根黒たまごパフェってどんな感じだろう? 黒たまごは大涌谷で作られるゆで卵。1つ食べると寿命が7年延びるとか。まさか、ゆで卵が殻つきで載ってくるのか? ……それは、おいしいのだろうか。

疑いの目を向けながらも、私はパフェという単語を凝視していた。仕事で疲れた脳が糖分を欲している。量はあるかもしれないけれど、がんばった自分へのご褒美と考えれば罰は受けないだろう。ごくり。


「じゃあ、これで」


私は箱根黒たまごパフェを指差した。

それを確認した夏帆は「いいね〜」とつぶやきながら注文をメモした。


「それおいしいよ〜。せっかくだし、夏帆スペシャルトッピングで作ってきます!」


夏帆は腕まくりをした後、背を向けて軽やかなスキップをするように歩き出した。


「いや、そこまでしなくていい」


──って、行ってしまった。

夏帆はカウンターに居るマスターの元へパタパタと駆け寄り、「自腹でやるんで良いですか?」と手のひらを合わせて許しを請うていた。

対するマスターは「お金のことは気にしなくていいよ。好きにやって」と手のひらを向けていた。


夏帆が厨房に消えていくと、フロアには私とマスターだけになった。

静謐な空間。マスターがクロスでグラスを拭う音とシーリングファンの回る音のみが優しく聞こえてくる。

半ドアの件で不安になっていた気持ちがだんだん落ち着いてきた。足湯によって自律神経のバランスが整ってきたおかげかもしれない。


再び店内を見渡してみる。木材の温かみと、白と青を基調にしたインテリアが心を落ち着かせる。

ソファー席横の壁に貼ってある写真を注視してみると、それぞれ左下に日付と温泉の名前が書かれていた。

ここにある写真、温泉地の風景だったのか。このなかに私のよく知る箱根の写真もあるかもしれない。

膝行って壁に近づく。どの写真も見入ってしまうものばかりだ。妖艶さを感じさせるライトアップされた紫色の夜桜、断崖に激しく白波を立てる波濤、山一面が燃えているような紅葉の帳、澄んだ青空が反射した月白色の雪山。

こんな絶景温泉が本当にあるのだろうか?

決して箱根の温泉が見劣りするということではない。けれど、私は見たことのない景色に釘付けになっていた。

まだ私の知らない土地、知らない風景がこの日本全国にたくさんあるんだな。


「今週末はどこか遠出してみようかな」


窓に目を向けると、窓枠の下に木製のマガジンラックがあった。旅雑誌で有名な『ろろべ』が4冊ほど収納されている。その中の『ドライブ&温泉 伊豆特集!』という表紙が目に入った。

手にとってパラパラめくると、伊豆のドライブスポットが次々と現れる。緑豊かな丘に、川のように迂曲した道が一本、奥には空の青に消え入りそうな夏の富士山がそびえる。マリンブルーの海と茜色の吊橋が色鮮やかな風景。雑誌の後半は、伊豆の名産品である海鮮やスイーツの紹介ページが続いた。お腹が空いていることもあってヨダレが溢れてくる。

よし、今週は伊豆で決まりだな。

ドライブルートを思い浮かべていると、夏帆がトレイにパフェを載せてやってきた。


「おまたせしました! 箱根黒たまごパフェ ~夏帆スペシャルバージョン~ です!」


グラスから溢れだすような見た目とテーブルに置かれた時のドンッと効果音からボリューム感が伝わってきた。一番目を引くのは、なんと言っても黒たまごである。

本当にたまご!? と思って表面をよく見てみると、チョコレートでコーティングされたスイーツらしい。

名前に”箱根”と付いていることから、パフェの構成にも納得がいきそうだ。火山を表現するために下層から順に、ラズベリージュレ、グロゼイユ、チョコフレーク、カスタードクリーム、パイ生地。表面には三種のアイスクリーム、ブルーハワイを囲うようにチョコミントと抹茶が置かれている。その奥にプリンとホイップクリームが高々と盛られている。これらは芦ノ湖と取り囲む山々、加えて富士山だろう。麓には紫陽花のように色鮮やかな金平糖とミントが添えられている。その他にも大量のイチゴやパウンドケーキ――

……正直ごちゃごちゃしている。


「どの辺りが夏帆スペシャルなの?」


「えーと、この柚子のパウンドケーキと載せられるだけ載せたイチゴ。ふんだんに振りかけたチョコパウダーあたりだね。映えるでしょ!」


たしかに見た目はインパクトあるし、不思議と色合いのバランスは取られているのだけれど、


「やっぱり、このガサツそうな部分が……」


「ぬぅ……。あたしに対する印象がだいぶ悪いってことは分かったよ……」


夏帆は眉を落として悲しみの表情になったが、すぐに自信に満ちた顔になって胸を張った。


「でも大丈夫!  味は保証するから、安心して!」


「……それじゃあ、いただきます」


ゆっくりと上層から順番に食べ進める。

イチゴの酸味とホイップクリームの甘味は最高のマッチング。これ以上の至福の味はこの世に存在しないだろう。

ただイチゴと抹茶の組み合わせはどうだろう。私は好きな味だけど人によりそうだ。

まぁ、全体的に言えば、


「うん、おいしい」


「えっへん!  そうでしょ。 こう見えても、あたし料理上手いんだから!」


夏帆は鼻を高くしてイキってるけれど……、


「それは、インスタントラーメン作って『料理できます』って言ってるようなもんなんじゃ……」


「ぬ? それってどういう――」


「茅野さん、バイトありがとうね。今日はもうあがりで大丈夫だよ」


落ち着いた声色でマスターがコーヒーを載せてやってきた。

壁に掛けられた時計は18時を回ったところだ。


「あっ、もうそんな時間か。じゃあ、あがらせてもらいます!」


そう宣言した夏帆は、手際よく靴を脱いで裸足になり、私の向かい側に座って嬉しそうな笑顔を向けてきた。

マスターは私たちの前にコーヒーを置いた。特に注文したつもりは無いけれど、


「いいんですか?」


「ああ、同じロードスター好きのよしみとしてね。サービスだよ」


窓の外に目を向けて、私のロードスターを見つめたマスターは優しく微笑んだ。

やっぱりガレージに停めてあるユーノスはマスターのものだったんだ。

ガレージのロードスターを見ていると、夏帆がテーブルを乗り出してきた。


「マスターはね、あそこのロードスターで日本各地の温泉に行ってるんだよ。ここに貼ってある温泉、ぜんぶっ!」


まるで自分の手柄のように得意げな表情で腕を広げた。

壁に貼られている写真、ざっと200枚くらいはあるのではないだろうか。


「すごいですね」


素直に感心してそう言うと、マスターは照れくさそうに苦笑いした。


「いやいや、ただの趣味だよ。君もロードスターでよく温泉に行くんだろう?」


なんでそんなことまで知ってるんだ。エスパーか? なるほど、これが年の功ってやつか。

私が驚いていると、マスターは夏帆の方を見やった。


「茅野さんが教えてくれたんだよ」


夏帆はえへへと申し訳なさそうに頭をかいた。


「ここで働く前なんだけど、店先に停まってたロードスターが可愛くて、ずっと写真撮ってたんだよね」


写真に夢中になっていたところ、店内からマスターがやってきたらしい。ロードスターのカッコいいポイントとか、温泉の良さとか、箱根での出来事を話していたら意気投合したようだ。そしてマスターからバイト募集の話を聞いて、オープニングスタッフとして採用してもらった、とのこと。

「ちょうどバイト探してたから良かったよ」と夏帆は締めくくった。

穏やかな表情で相槌を打ちながら話を聞いていたマスターは、私の方に向き直った。


「若い子が車や温泉に興味を持ってくれるのは嬉しいね。サヤさんは、どうしてロードスターに乗ることにしたんだい?」


「そうですね……」


私がロードスターを選んだ理由。

記憶の奥底からひとりの面影がぼんやりと浮かんでくる。

でも、その姿は形にならず消えていった。


「……やっぱり、かっこいいから、ですね。私が思い描く憧れのイメージ、強くてカッコいい女性の雰囲気をロードスターが持っていたんです」


「ほう、なるほどね」


髭を撫でながらマスターは微笑んでいた。若干眼が見開かれた気がする。


「スマートで足回りが良くて、かつ、車と一体になる感覚は、他ではなかなか味わえないからね。まさに人馬一体」


わかりみが深い。私はうんうんと頷いた。

『人馬一体』はマツダが掲げているこだわりだ。人と車が一体になることで運転の楽しさを追求できるというコンセプトである。

ロードスターは、路面や風、車の状態をダイレクトに伝えてくれるし、私たちの運転技術に対して素直に回答を返してくれる。車と会話している感覚を味わえるのはロードスターだけかもしれない。

私とマスターがロードスター愛を分かち合っていると、夏帆は首を傾け逆方向に目をやった。


「でも旅行とか行くには不便そうですよね。2席しかないし、荷物もあんま載らなさそうだし」


それな。だが、それについては意見を申し上げたい。


「運転の楽しさとか、オープンの気持ち良さを味わったら、そんな些細なこと気にならなくなるんだよ」


「そうそう」とマスターは首を縦に振った。

コーヒーで唇を濡らして私は続ける。


「それに、荷物はトランクの方に十分載せられるから問題ないよ」


「へぇ、そうなんだ。それだったら旅行とかも安心だね」


まあ正直なところ、私は遠出したことがないから荷物の心配をしたことがない。

ただマスターが撮った写真を見る限り、一人で旅行に行く分には問題なさそうに思える。


「私は戻るけど、ごゆっくりどうぞ」


マスターは右手を身体に添えてお辞儀し、カウンターへ帰っていった。

もしかしてマスターってどこかの執事さんなのではないだろうか。

そう思えるほど所作が洗練されていた。


コーヒーを口にしながら再び写真を見渡す。綺麗な景色を見ながら、しかも足湯に浸かりながらのコーヒー。なかなか乙なものだ。

目に止まったのは、砂浜に人が埋められている写真だ。生き埋めとか物騒なものではなく、いわゆる砂風呂というやつだ。写真には黒ペンで”指宿温泉”と書かれている。

指宿って……たしか鹿児島だよね?


「マスターすごいね。私、ロードスターで鹿児島まで行こうなんて考えたこともないよ」


「サヤちゃんは、箱根以外にはあんま行かないんだっけ?」


「うん。どこに行くのが良いのかよく分からないんだよね」


「たしかに。……いっぱいありすぎるのも困りもんだね」


夏帆は壁に貼られた写真を見渡して苦笑した。それから何かを思い出したように「そうだ!」と声を上げてスマホを取り出した。


「実は、あれから温泉のこと色々調べたんだよ。温泉って一口に言っても種類がたくさんあるんだね。温泉によっては入浴方法にもこだわりがあったりして奥が深いなぁって思った」


スマホをタップする手が止まり、


「それで、この温泉が気になってるの」


見せられた写真には、田の字に区切られた湯船があり、白く濁ったお湯が張られている。夏帆からスマホを受け取って説明文を読むと、その温泉の泉質は硫黄泉らしい。


「ここは入浴前に200回もお湯をかぶるんだって!」


「それは嘘でしょ」


思わず鼻で笑ってしまった。

おそらく「身体をしっかり流してから入浴しろ」という暗喩的な表現だろうな。

スマホを返すと夏帆は楽しげな表情で説明を続けた。


「それにね、温度の違う湯船がたくさん用意されていて、お湯に浸かる時間も決まってるらしいよ」


「へぇー」


私は半分右から左に聞き流していた。

もしそれが本当なら、なんか面倒くさそう。せっかく温泉に行ってるのにゆっくりできなさそうだし。

その後も夏帆はとても楽しそうに、いつもより少し早口でその温泉の良さを語っていた。話し終えると、ふぅっと息を吐いてコーヒーを一口含んだ。


「それでさ、今度の土日に一緒に行けないかな~と思って」


夏帆はこちらの顔を伺うようにそっと目を向けてきた。


「今週末か……」


特別な用があるわけでもないけど。雑誌に載ってた伊豆ドライブもしてみたいし。気になった温泉もあるし。あと食べたいグルメもあるし……。

夏帆を伊豆に連れて行けば良いのでは?

しかし、私のやりたいことを一日で叶えようとすると緻密なスケジュールになりそうだ。私の勝手な予定に夏帆を巻き込むのは気が引ける。


「今週は予定あるから、無理かな」


「そっか……」


夏帆は残念そうに俯いてしまった。よっぽど楽しみにしていたのだろうか。

なんだか可哀想に思えたので、急いで言葉を取りつなぐ。


「まぁ、そのうち、そのうち行こう」


うーん……これだと行く行く詐欺みたいだけど。仕事の関係で1週間以上先の予定は分からないし……。

取り繕うとすると言いたいことが、どんどん遠ざかっていく感覚を覚えた。

しかし夏帆は気分を害したわけでもなく、


「やった! 都合よくなったら行こうね」


とても嬉しそうな表情で顔を上げた。

そして何かを思い出したようで、上半身を勢いよく乗り出してきた。


「あっ!  連絡先おしえて!」


LINEを起動してQRコードを読み込む。画面が切り替わって「かやの☆かほ」と書かれた連絡先が追加された。……「つのだ☆ひろ」みたい。

夏帆の方にも私の連絡先が追加されたようで、「やっと連絡先手に入れた~」と満足そうにスマホをいじっていた。

窓の外を見ると空が暗くなっていた。

だいぶここに居たみたいだ。早く帰って夕飯作ろう。……パフェは別腹。前哨戦である。


「そろそろ帰ろうかな」


それを聞いた夏帆は、自分が店員だったことを思い出したように立ち上がって身なりを整えた。


「じゃあ、お見送りしますね」


レジ前で「お金払うよ」と財布を取り出そうとしたけれど、「いいのいいの」と夏帆に背中を押された。

外を出るとジメジメとした熱気が身体にまとわり付いてきた。セミが一日のノルマを達成するように最後のひと絞りを出し切るように鳴いている。

薄暮の中のロードスターを見て思い出した。

あぁ……半ドア問題をなんとかしなくちゃいけないんだよね。

溜め息をついていると、後ろから付いてきた夏帆が両手でスマホを掲げてソワソワしていた。


「サヤちゃん、ロードスターの写真撮ってもいい?」


少し考える間を得たけれど、別に減るものでもないわけで、断る理由はなかった。


「うん、いいよ」


「ありがと! じゃあ、何枚か撮らせてもらうね」


夏帆はスマホを高く持ち上げたり、しゃがんだりして、目線の高さを変えながらパシャリパシャリと写真を撮りはじめた。ロードスターのまわりを移動しながらベストポジションを探しているらしい。

そうしてロードスターと私が画角に入るところまで回った時、ニヤリとしながら訊いてきた。


「サヤちゃんも一緒に写るのはどう?」


「それはいやだ」


「だよねー」と苦笑いし、夏帆は諦めてスマホの画面とにらめっこしていた。

それから少しして、満足いくショットが撮れたようで私のもとに駆けてきた。


「いい写真撮れたよ! 送っておくね」


ピコンッとLINEに写真が送られてきた。


「ほう」


送られてきたのは、ローアングルからロードスターを見上げる構図の写真である。藍色の空を背景に、ロードスターが夕陽を反射させていて綺麗だ。

なるほど、これが映えというやつか。

写真の中のロードスターに惚れ惚れとしていると、夏帆がおずおずと訊いてきた。


「この写真、インスタに上げてもいい? 最近ロードスターの写真あげたらバズっちゃってさ。……良かったらでいいんだけど」


「うん? 別に構わないよ」


今度は特に考えもせずに答えていた。

そんなことよりも、うちのロードスターがカッコよすぎる。


「やった! これでフォロワー1万人突破間違いなしだよ」


1万人ってどれくらいだろう。100人が100組か。インスタやってないからよく分からないけど、すごいことなんだろう。


「だから写真撮るの上手いんだね」


「えへへ〜。もっと褒めていいんだよ〜。あたし褒められて伸びるタイプなんで!」


「見て見てー」と夏帆はアルバムの写真を1つ1つ紹介し始めた。

子供を見守る母親のような温かい表情で相槌を打ちながら、私はしばらく説明を聞いていた。

こいつは褒めたら調子乗るタイプなので気を付けよう。



◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇ 



自慢の写真たちを紹介し終えた頃には、夕陽は沈んですっかり暗くなっていた。

サヤちゃんは仕事疲れなのか、クタクタになって帰っていった。

そのロードスターの後ろ姿に手を振りながら思い出した。


「あ、サヤちゃんに伝えたいことあったんだけどな……」


まぁ、また今度でいっか。連絡先は聞いたわけだし。それに大事なことは直接会って話したい。

サヤちゃんと話したいことがたくさんある。今度はいつ会えるかなぁ。

上空で微かに輝く星を眺めていたら、別のことを思い出した。


「そういえば、トランクのところ少し浮いてたけど大丈夫かな?」


ロードスターの後ろに回り込んで写真を撮った時に気づいたんだけど言いそびれた。

あとでLINE送っておこう。



◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  

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