第6話~過去の記憶、決意の記憶~
「はぁ…はぁ…」
俺はさっきの所から離れていた、殺人を犯してしまったという罪悪感と自分に対する嫌悪感で苛まれていた。それに吐きすぎて無尽蔵にあった体力はなくなっていた、俺はとぼとぼと途方もなく歩いていた、辺りは戦時中だってのにあの時は全く攻撃が当たってなかった。
「ねぇ、君日本じ…荒川戦兎!?」
声が聞こえ俺は振り返った、どうやら俺の姿はいつの間にか戻っていたようだった。もう体力もない俺には目が霞んでとうとう倒れこんだ。そこから俺の意識はなくなった。ただこの時覚えていたのは声をかけたのはーーーー日本人の女だったってことだ。
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俺は夢を見ていた、そこにいたのはさっきいた、俺が殺してしまった魔兵達だ。
『なぜ私達も殺した。』
『ロシア人だけでよかったものを』
「許してくれ……!!」
俺は恐怖にで怖くなり逃げた、逃げている途中でもヴェルカイヤ人の呪詛が延々と続いていく。
「うわっっと!?」
俺は、何かに躓いた。
『お前も今日から、人殺しだなぁ?』
「うわぁぁああああああああああああ」
ロシア魔兵の顔が腐ってどす黒い笑顔で俺にそう言った。
「ーーーきて!」
「な、んだよ?」
「起きなさいよ!!」
「うわぁ!?だ、誰?」
目の前には見たことのない少女がいた。言うまでもなく、後の真紅の処女である昌だ。今より少し幼い、中一だ。それもそうか
「あっ、私伊藤昌!大丈夫?戦兎君」
「どうして俺の名を?君は何者なんだ?」
「私は日本軍の魔兵だよ。ちょっと今から言うのは衝撃的だから心して聞いて」
それから昌に聞いた話だと、俺は三日三晩眠り続けていたらしい。それは自分の身体を見ればわかっていた。ここからがさらに胸糞悪い話だ。ヴェルカイヤ国は五か国の攻撃により滅亡してしまい、女王や王女が行方をくらました事、旧ヴェルカイヤ国は5か国に五等分に分けられてしまった事等々聞かされた。それを聞いた俺は……
「俺…何のために…」
「せ、戦兎君?」
「何のために…来たんだよ…人殺ししただけじゃねぇか!!!」
絶望した、女王に調子のいい事を言っておきながら、ヴェルカイヤ人を何人も殺してしまった、体力をなくして、三日も意識を失っていた。結果として何もできずヴェルカイヤ国を滅亡させてしまった
「戦兎」
「と、うさん」
親父がいた、昌の隣に、その顔は申し訳なさに満たれていた。そして腕がなくなっていた。包帯に巻かれて、血が滲んでいた
「その、腕……」
「これはトチっちまったんだ、気にするな。それに、すまない。俺のせいでつらい思いをさせた」
「お、れは」
俺が何かを言う前に親父は俺を抱きしめた、俺は親父の温かさを感じ取りながら、俺の意識は再び消えたのだった
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「おっはよー戦兎君」
「…おはよ」
「テンション低いねぇ」
「そ、そんなことない、そう、俺は低血圧なんだ」
「はいはい、あっこれお土産ね」
あの戦いから一週間が経った、俺は経過観察のために二週間は入院を余儀なくされた、そんな俺を心配してか、昌はほぼ毎日見舞いに来てくれていた。朝からこいつはテンションが高かった、性格がほぼ美空と同じなので馴染みやすかったと思う、現に美空と昌は会った途端に意気投合していたしな。
「よく飽きないな。人殺しの見舞いなんて」
「まだそんなこと言ってる、確かに人殺しは犯罪だけど、戦争だったのよ。」
「でも俺は!!」
「はいはい、その話はもうついたでしょ。いつまでもうじうじしない。リンゴ食べる?」
「いらない。」
「不貞腐れちゃって。」
「うるさい」
戦争後の俺はやさぐれていた。簡単に割り切れる訳がないんだ。その点では昌ケロッとしていた、軍人だし、そういう修羅場は潜り抜けてきたらしい、同い年の女の子がだ。
「一つ聞いていいか?」
「あれ?心開いてくれたの?」
「…何で中学生なのに軍人なんだよ」
「あぁ、それ?私は名前こそ日本人のそれだけど、元は日系シリア人なのよ。数年前のシリアの戦争で日本軍に拾われて、そのまま軍で育てられたんだ」
「戦争孤児ってわけね」
まるで、あの航海士みたいだと俺がこの当時思っていた。確かに戦争孤児なんて、初めて見るわけだからな、外国や漫画だけと思っていた俺は、急に現実味を帯びてきて、少し戸惑っていたのかもしれない
「そ、ふつうは、その国の施設なんだけど、拾った軍人が『私が育てる!!』って反対を押し切って、育てたってわけ、名前がナミなら、あの航海士といっしょなんだけどね~」
「そんな重い話をよくもまぁ、元気に言えんな」
「だって、育ててくれたんだよ!なに?落ち込んどけって言いたいの」
「そうじゃないけど」
「ま、それが私が軍にいる理由ね。ってやば、もうこんな時間軍に顔出さなきゃ!!じゃあね戦兎君、また明日も来るから!!」
そう言って、昌は走って行った、途中ナースさんに怒られていたのはご愛敬だ。騒がしかった病室が、一気に静かになった
「……戦争は、悲しみだけじゃないってことか。」
昌の話を聞いて、俺はある決意をした。この決意こそ後に呼ばれる、世界大戦を寸前で止めた、神託の兎の誕生前の兆しだった。
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