第4話~戦兎の正体と実力提示と亡国の王女~
「まさかあんな形でするとはな、コミュ障のお前が、あんな大勢に宣戦布告するとは思わなかったぞ?」
教室に戻っていると一海が話しかけてきた。にやけ顔が腹立つが別いい、こういういじりはいつものことだしな。
「コミュ障は余計だ。ただ…母さんの激励に答えただけだ」
「戦兎君って…マザ「違うからな」すぐに言わなくていいじゃん」
夏美はすぐに否定すると、むくれた、感情豊かな奴だ
「ほう?下の名前で呼ぶ仲になったのか」
「あっ、はい!戦兎君ってすごいじゃないですか!」
ぱあっと明るく言ってきた。自分では何がすごいのかわからんのだが、一つ気になったことがある
「「なぜ敬語?」」
「あ、武田兄妹や宮川さん達って、私も皆さんと一緒の地区で中学は違うんですが結構有名なんですよ?実力は折り紙付きの超新星現るって、地区新聞で載ってましたし」
そういや、中学の魔道大会で俺を除いた6人が出場して、無双したと聞いたな。あの頃の俺はアメリカに行ってたから、ちょうど居なかった、なるほど夏美の敬語の意味は分かった。
「そうか、でもま、クラスメイトになるんだし、敬語はいいよ。」
「え!ありがとう!じゃあよろしくね!カズミン」
「お、おう」
マジでこいつのコミュ力すごいな、さっそくカズミンって、この見た目の一海に可愛いあだ名が付いたな
「カズミン…ですか」
「どっから湧いてきたマヤ」
「いえ兄さんにしては可愛らしいあだ名だと。今度からそう呼びましょうか?カズミン兄さん?
?」
「語呂悪いからやめろ!」
「ふふふ」
武田兄妹はいつもこんな感じだ。あと、夏美は無言で写真を撮っていた、2人の仲の良さを撮りたかったのかもしれない。律儀に許可をもらっていたしな。
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教室に到着したら俺は教卓に立っていいか姉さんに許可を得たら大丈夫だったので教卓に立った
「ではまず、さっきも言ったが俺のわがままについてきてくれてありがとう」
「戦兎泣いてたもんねぇ~?」
美空がこれでもかといじってきた、結構距離があったというのに見えていたのか、千里眼は侮れん。
「やかましい、それでだ。俺は。」
「ちょっといいかしら?」
俺が実力を提示する前に伊藤に止められた。
「どうしたんだ?」
「いえ、あなたが言う前に貴方の正体をはっきりさせとこうかと思いまして。」
「なにをだ?」
「私は貴方の正体を知っている。」
「……正体?」
正体つっても、あの姿も提示するつもりだったが、まぁこいつが言いたのならそれでいいか
「そう、あなたは勃発しかけた第三次魔法大戦を止めた立役者の一人、白銀のスーツを身に纏い、各国の要人に信頼を集めた。その名も神託の兎」
随分と知ってるようだった、そりゃそうかこいつは…
「お前だってそうだろ。俺と共に各国の説得を手伝ってくれた相棒。真紅の処女。」
「その名で呼ぶなぁぁ!!!」
伊藤…基ヴェルは顔を真っ赤にして俺に炎の鋼球を投げつけてきた、それを手で持って外に投げた。この異名は俺が考えたものじゃないというのに、いつもこれを呼ばれるたびに俺に投げてくる。
「あの兎が戦兎君だったの!?」
「まぁな、というわけで俺の実力は分かってもらったな」
「はい。」
「ん?すまないまだ名前と顔が合致していない。」
「田原恵です。兎って確か、大人の方だったと思いますが」
「あぁ、それは」
俺はパチンと指を鳴らして、姿を変えた、白髪の初老の男性で、白いスーツを着ている。
「「「「わぁ!!!」」」」
「変身魔法でこの姿に変えている。中坊だといろいろ舐められるからな、兎の時はこの姿になっている」
再び指を鳴らして俺は姿を戻した。
「変身魔法は取得に時間かかるのに…すごい、すごいよ!!!荒川君!!」
「お、おう」
「まぁ、あのコミュ障は偶に傷だけどね」
「美空、余計なことを言うな」
「ほんと、あのコミュ障は困ったわ。要人相手には何もなかったのに」
「同い年の子にはあんな感じだよ」
「あぁ、だからか~。私と喋る時もあんな感じだったし」
「そうな!あれには小さい頃から困ったもんよ。」
何であの二人急に仲良くなってるんだ。女子のコミュ力は本当にわからん。
「あっ!!私も言っておきたいことがあるんだけどいい?」
手を挙げたのはピンク髪の女子だった。……なぜかわからんが、見たことあるヴェルや一海達と違って夏美同様初対面のはずなのに。
「うちね。和名は四月沙彩なんだけど。亡国ヴェルカイヤ国の亡命した王女なの。本名はアスタルテ・フォン・フレベルク。」
「!!!」
ヴェルカイヤ国……だと!?
「久しぶりね。セント。」
「…俺はお前を知らないはずだ。」
「助けて!!」
「……!!お前、あの時の!?王女だったのか」
「やっぱり知らなかったんだ。」
「……必死だったからな。俺はお前たちを助けたくて助けたわけじゃない偶然だ。」
「それでも、私達は感謝しているわ。私達を助けてくれたあなたに。」
「……俺は人殺しだ」
「セント…」
俺がそう言うと、四月は顔を歪めた、つらい顔をするなよ、そうだな、昔話をしよう。戦火に巻き込まれ、滅ぼさてしまった国、俺が初めて失敗と殺人をしてしまった中一の苦い記憶、そして俺が神託の兎になるきっかけの話だ。
次回は主人公の過去回です。一体主人公の身に何が!?
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