小さなつづら
あなたはおちゅんを探しに出掛けていった。
わたしの虚しさに目を向けず、傷ついたおちゅんばかりを考えて行ってしまった。
もう、待つしかないではないか。
飯を炊いても一緒に食べる人がいなくては、
障子を張っても喜んでくれる人がいなくては、
意味がないの。
しばらくして、おじいさんがつづらを背負って帰ってきた。
おちゅんがくれたというつづらには金銀財宝がどっさりと入っていた。
おちゅん、おまえは、飯に困った憐れな雀ではなかったの。
あなたが分けた飯など霞むような財宝のある暮らしをしていたの。
そう思うと、虚しさは一層強くなった。
「大きなつづらと小さなつづらがあってな。わしは小さい方を選んだのだよ。大きいのは運ぶのが大変だからね」
朗らかに笑うあなたに私は腹が立った。
貴重な飯のお返しが小さなつづらなんて、余りにあなたが不憫ではないか、と。
「なんで大きいつづらをもらってこなかった!」
「財宝がたくさん入っていたかもしれないのに!」
「そんなに欲張るものではないよ」
そうじゃない。
貧しい暮らしの飯と豊かな暮らしの小さなつづら。
価値を考えたら、貴重なものを与えたのはあなたでしょう?