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貴重な飯
ねえ。おじいさん。
あの雀はあなたが拾ってきた雀だった。
小さくて、痩せた雀はあなたによく懐いていた。
「おちゅん、さあお食べ」
あなたは自分の白飯を雀のおちゅんに分けてやっている。
その飯は嫁にいった娘が旦那と共に汗水流して作った米だった。
お互い貧しい生活の中だったが、親孝行な娘と優しい旦那は貴重な米を分けてくれたのだ。
おちゅんのようなはぐれものの雀にやっていいものではなかった。
「おじいさん。雀にやるのはよしなさい」
「なに。わしの飯が減るだけのこと。ばあさんもおちゅんにやったらどうだい?」
「わたしはやりませんよ」
かわいい娘と優しい旦那が「両親」にくれたものだから。
おちゅんに飯をやって笑うあなた。
私は娘とその旦那に申し訳ないと思った。