忘れ物
怠惰の王は地上に来て早くも魔界に帰ろうとしていた。
何故なら今まで水中に居たのに突然地上に上がったような感覚が怠惰の王を襲ったのだ。
「いやマジ無理……重いなんてレベルじゃない……」
他の王達ならば地上でも問題なく行動出来る。というか他の悪魔達も相当弱くない限りは動ける。
怠惰の王は普段からふよふよ浮いているので、基本体力が身についてないのだ。
「うぅ…なんであの枕忘れちゃったんだろ…今から戻るのも変だし…」
枕とはふよふよ浮く為の魔道具である。アレ実は魔道具で浮いていたのだ。
「アケディア様。私が今から魔界に戻って枕を取ってきましょうか?」
そう問いかけてくるのは2人しか居ない怠惰の王の部下の内の1人、アルバである。
白髪のロングに凛とした騎士風の鎧を着けていて、誰も近づけさせないような雰囲気を纏っている。
「いや、いいよ。僕が戻って取ってくるよ。君は人間の様子、特に文化の成長について調べてきてくれ。」
「承知致しました。」
「アケディア様!お菓子持ってきましたよー!このスコーン?というやつですよね!」
元気にお菓子を持ってきたのはもう1人の部下、オルベである。
金髪のショートで半袖短パンと、実に健康的で少年の様な格好をしている。
お菓子は前々からグラトニーが話していた物であり、1番のお気に入りらしい。怠惰の王も興味が湧いたのだ。
会議の最後にグラトニーにおつかいとして持ってくるよう言われてたのでついでに持っていく。
「おーグッドタイミングだ。僕はこれから魔界に戻って忘れ物取ってくるからオルベはアルバの手伝いをしてくれ。」
「りょーかーい!よろしくねーアルバ!」
「よろしくお願いします。」
性格は真反対な2人だが、割と仲良しである。
こうして怠惰の王は魔界に戻ることになったのだ。