なんだかんだで
「うーん…あまりいい案は出なかったね。もっと実行に移しやすい楽な案は無いかな?アケディア。」
突然ラストがアケディアに話題を振ってくる。
「え、へ?ぼ、僕?」
「うん。楽、という点に関しては抜きん出てるからね。それにアケディアだけ案出て無いし。」
「じゃあ、あの、えっと、その。提案が、あるんだけど。」
「なんだい?」
「ぼ、僕が人間の様子見てこようかなーとか、なんて。あっ!む、無理だよね。ごめんね。変な事言っちゃって。」
もちろん人間の様子を見てくるなんてのは建前で、地上に行ってみたいというのが本音である。
「本当?お願いしてもいいかい?」
「へ?」
「いやー珍しいな。いつも面倒くさそうなお前が何かするなんてすげーな。頑張ってこいよー。」
「それなー。今回の議題に1番関係無いのに働いてくれるとかホント助かるわー。」
怠惰の王の部下の悪魔は2人だけである。しかし、主とは違い働き者であり、とてつもなく優秀である。
因みに他の王達の部下は少なくとも100人以上居る。
「しかし本当に良いのかアケディアよ。地上はここより魔素が少なく、動きずらい。他にも不便な事は多々ある。それでも行ってきてくれるか?」
イーラが心配そうにアケディアを見つめる。
「は、はい。大丈夫です。ホントに。」
「そうか…任せたぞ。」
今度はプライドが突然立ち上がり、アケディアの隣に来る。
「アケディア。」
「は、はい!」
「お前は見る限り不甲斐ないし、やる気もない。そんなお前にコレをくれてやる。有難く使え。」
プライドは白いビー玉の様な物を3つアケディアに渡す。
「こ、これは?」
「そんな事も知らないのか。それは魔素が少ない地上でも魔界レベルの魔法が使える代物だ。1度限りだからその足らん頭でよく考えて使うんだな。」
「そんな貴重な物を…ありがとうございます!」
「礼は要らん。精々頑張るんだな。」