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怠惰の王は努力する  作者: りとかく
1/10

魔界会議

ここは魔界。悪魔共が住む世界。

500年に1回、そこで最も目立つ悪趣味な城で魔界を統べる王達の会議が行われる。


会議の内容は魔界の統制の見直しであったり、新たな魔法の案の出し合いであったりと様々である。


城の会議室まで伸びる廊下に、ふよふよと浮く人影が1つ。


「あー面倒くさ。なんで僕はこんなしょうもない会議に参加しているんだろう。」


気の抜けた声が廊下に響く。


声の主は王の中の1人。怠惰の権能を司る王。


その容姿は一方で恐怖、一方で魅了されてしまうような異様さを持った美貌である。服装は白を基調としたドレスを身にまとっている。


「初めはまだマシだったのに最近はマンネリ化してきちゃってさー。ここもつまんなくなってきたなー。」


再び静かな廊下に声が響く。話し相手はおらず、独り言を言っているだけである。


なぜ独り言を言っているのか?ぼっちの寂しさを紛らわす為である。


他の王達は仲睦まじいのだが、怠惰の王は喋るのが面倒、親しくするのが面倒、そもそも会議に出るのが面倒、と1人だけ王の中で浮いてしまったのである。


会議に出るのが面倒臭いのになぜ出席しているのか?


親しくするのが面倒と言ったが、面倒なだけで本当は他の王達と仲良くしたいのだ。


だが、毎回喋れずにいる。それは面倒だからではなく、単純にコミュ障だからである。


「もうこんな所捨てて、地上に現界しよっかなー。」


地上とは人間や魔物が住む世界である。

悪魔はたまに人間の願いを叶える為に召喚されて魔界から地上へ現界することがある。


現界は通常の悪魔ならば問題は無いが、王が出るなら話は別。地上は阿鼻叫喚の地獄絵図と化すだろう。


「うーん。我ながら名案。この会議が終わったら地上に行こーっと。」


因みに王レベルになると召喚されなくても現界はできる。


怠惰の王はやっと会議室に入る。他の王達はもう会議を始めている。


「やっと来たかアケディア。毎度の事ながら遅いぞ。」


最初に口を開いたのは憤怒の王、イーラ。


「今回の会議は悪魔達の知能の増加についてだよ。何か気になる点、案とかはある?」


そう聞くのは色欲の王、ラスト。


「いえ……何も……」


「そうかい。何か思いついたら遠慮なく発言してくれ。」


言い終えたなり怠惰の王はそそくさと自分の席に座る。それを見てイーラは宣言する。


「ではこれより正式に第167回、魔界会議を始める。」


今回もまた怠惰の王は他の王達と微妙な空気の中、会議をすることになる。

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