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未来からロボットがやって来た話

作者: TEMP

ある日、男子中学生ぐらいの少年の元へタイムマシンに乗った同い年くらいの少年がやって来た。


みたいな感じで読み進めてください。

「初めまして。僕は22世紀の未来から来たあなたの孫の孫です」


「初めましてセワシ君。これからよろしく」


「いや、僕の名前はトモゾウというんですが」


「むしろ君の方がおじいちゃんじゃない?」


「実は未来で大変なことが起こってしまい、助けを請うべく、若かりしおじいさんのところにやってきたのです」


「誰がおじいさんだ。つまらん。お前の話はつまらん!」


「この話はおじいさん、あなたが発端となっていることです。あなたに解決していただきたくてやってきました」


「ばっかもーん! 自分たちの不幸を他人になすりつけるな! ワシはそんな風に育てた覚えはないぞ!」


「波平さんはタラちゃんから見たら祖父に当たりますが、サザエさんからしてみれば父親なので、おじいちゃんとするのは微妙なところですね」


「ワオまさかの正論。てかサザエさんは知ってるのかよ」


「放送続いてますよ? 一昨年150周年迎えました」


「なにそれすごい」


「波平さんの声優は今年交代してベンジャミンが声をあてています」


「昭和の頑固親父が横文字の中の人に!?」


「東芝は電気事業から撤退し、アニメ製作会社となりました」


「どんだけサザエさんに本気なんだよ」


「話を本題に戻してもいいですか?」


「どうぞ」



「あなたは社会人になると、会社を設立します」


「それで火事ですべてを失い、幼なじみのガキ大将の妹を嫁にとって尻に敷かれると」


「いいえ、その後事業は大成功し、世界的な大企業になります。奥さんは当時のトップモデルです」


「なにそれすごい」


「それ以降五代にわたり安定した発展を遂げ、世界長者番付はうちのグループ会社がトップ3を独占し続けています」


「なにそれ怖い」


「ここからが本題なんですが、そんな感じでわが一族が世界経済を独占している状況を快く思わない組織が少なからず存在します」


「そらそうだろうなぁ」


「彼らは事あるごとにわれわれを陥れようと仕掛けてきます。ありもしない不祥事のでっち上げ、社員を懐柔しての情報漏洩、三日に一度はなんらかの手段で暗殺も行われます」


「なにそれ怖い」


「繰り返される執拗な嫌がらせにも我々は屈することなく挑み続けています!」


「命に関わることも嫌がらせで済ませちゃうんだ」


「その度に我々一族は結束を固くし、内外の信頼も高まりました。今後も暫くはこの地位が揺らぐことはないでしょう」


「めでたしめでたし。って何も問題なんてないじゃん」


「大ありのアリノシンですよ!」


「なにそれアリノシン?」



「あぁ、まだ始まってないんでしたね。オオアリクイのアリノシン。子供たちに人気のあるVRアニメですよ」


「聞いたこと無いしVRアニメなんてのも初めて聞いたぞ」


「VRアニメは我が社が始めたインターネットサービスで、オオアリクイのアリノシンはそのスタートアップコンテンツですよ」


「こんなところにも我が社が」


「オオアリクイのアリノシンは麻布十番にある駄菓子屋の長男坊。今日も仲良しのラフレシアちゃんと一緒に、街の平和を守るためのパトロールだ!」


「なんか始まった」


「今日は街中が大混乱! 悪の秘密結社おひさまポカポカ団が新型ウイルスをばらまいて街のみんなをゾンビ―にしちゃった! 進めアリノシン! おひポカ団の団長トモゾウを懲らしめて街に平和を取り戻すんだ!」


「待ってツッコミが追いつかないんだけど。ひとまず全部置いておいて、悪の秘密結社の団長の名前って」


「トモゾウ」


「それで、君の名は。」


「入れ替わってるー!?」


「ちがうちがうそうじゃない」


「ククク、バレてしまっては仕方ない。そう街の人々をゾンビーにしたのはこの私、トモゾウである! なにか問題でも?」


「大ありのアリノシンですよ!」


「なんだ、決め台詞知ってるんじゃないですか」


「……はっ、つい乗せられて言ってしまった」


「そういうところが子どもたちの心を鷲掴みにして握りつぶしてるんですね」


「潰しちゃだめ! 殺しちゃだめ!」


「ちぇー、ちょっとくらい良いじゃんケチー」


「君、ほんとに悪の秘密結社に向いてるね」


「そう? お褒めに預かり光栄です」


「褒めてない」


「で、話を戻しても?」


「あっはいドウゾ」



「それでオオアリクイのアリノシンは」


「そっちじゃなくて本題の方を」


「あっはいスイマセン。――順調に繁栄を遂げている我が一族は、つい最近新たな技術を発明しました。完全自律式AIロボットと時間移動装置です」


「ファンタジーからSFへの落差が激しい」


「この2つの製品を発表したとき、世界から喝采を受けると同時に、悪用しようとする連中に目をつけられました」


「さもありなん」


「AIロボットは軍事転用したいと大国や紛争地域からのオファーが殺到し、時間移動装置によって経済を操作しようとする輩が現れました」


「それ作る前からわかってたよね? なんで作って発表しちゃったの」


「だってロボットかっこいいじゃん! 作ったらみんなに自慢したくなるじゃん!」


「あー、これは間違いなく僕の子孫だわー」


「あまりにも騒動が大きくなりすぎて収集がつかなくなったため、この技術は破棄することが決定しました。設計書はすべて処分し、時間移動装置については論文すら提出していないものであったため実物を破壊すればそれで終了です」


「あっさりしてるなーせっかく作ったのに勿体ない」


「でしょ!? そう思うでしょ!?」


「すごい食いついてきた」


「我々一族も『勿体ないから壊さないで欲しい、悪いことしないようにちゃんとしつけるから』と、国連会議の場で抗議を行いました」


「世界中のトップの前で捨て犬を飼いたいみたいな抗議をしたの!?」


「しかし我々の要請は受け入れられませんでした。泣く泣く会議場の砂を集めて持ち帰りました」


「国連会議って甲子園でやってるの? 暑い日差しの中で机を並べてるの?」


「技術がこれ以上広まるのを抑制するのは仕方ないとして、既に作ってしまったものを破棄することに反対姿勢である我々は、こっそりとどこかに隠しておけないかと話し合いました」


「ようやく話が見えてきたぞ」


「『一族の創始者に押し付けとけばいいだろ』という結論で全員が一致しました」


「言い方! 僕って未来でそういう扱い!?」


「もちろんちゃんとした理由もあります。最も信頼できるのは血の繋がった一族であること。新たな時間移動装置を発明しない限り追ってこれない過去に送るべきだということ。出来る限り遠い過去に送るべきということ。できれば今抱えている問題を解決してくれる人に託せること。それらを考慮した結果、創始者であるあなたが一番的役だろうという結論に達しました」


「それを先に言ってほしかった」


「と、これで一通りの説明はおしまいです。長々とした話になってしまいましたが大体把握できましたか?」


「途中話が逸れなければもう少し短く出来たよね? オオアリクイのアリノシンの話とかいらなかったよね?」


「では改めて、劇場版オオアリクイのアリノシン ~アリの行列はデザートに~、の話でもしましょうか」


「しなくていい! しなくていいから!! なにそのサブタイトル!!」


「あれ、やっぱり気になるんですか? しょうがないですねぇ」


「いやいや! ほんともういい! そろそろ話をまとめないとこれ以上文章打つのも面倒だから!!」


「何言ってるんですか?」


「いや何か勝手に言葉が出たからよく分かんないけど」


「仕方ないですね。わかりました。では、ロボットと時間移動装置を置いて僕はさっさと帰ります」


「よかった。ようやく話が落ち着きそうだ」


「まず、僕たちの目の前にあるこの黒い球体が時間移動装置です」


「最初現れたときはなんたら星人をやっつけろと言われるかと思ってヒヤヒヤしました」


「その割にはセワシくんよろしくとか冷静に受け答えしてましたね」


「そんな褒めないでよ。照れる」


「これの起動には莫大なエネルギーが必要となるので、僕が帰った後はしばらく使えないでしょう。エネルギーを補充するための設備もありませんし。そこら辺の設計書はすべてロボットの方にインプットしてあります」


「使いたかったら自分で作れってことね。それってどのレベルで? 小麦から作ってくださいとか?」


「この時代の技術レベルであればエネルギー炉を作ることは可能でしょう。何十億とかかると思いますが」


「あーなるほど、コレは僕の未来も見えてきたぞ」


「頑張って動かせるようにして、素晴らしい時間旅行を楽しんでください。――次に、この中にあるロボットについてです」


「お、よく見れば中に人間そっくりのロボットが……って3体もいるの!?」


「まぁプロトタイプとはいえ複数パターン作りますよ。一応実用化に向けて開発してたんですから」


「で、これは動くの? 趣味の悪い置物として家の中に飾っておくのは嫌なんだけど」


「こちらは動きますよ。今は電源を落としているだけです。エネルギー源は有機物なので、人と同じものを摂取すれば大丈夫です」


「そこはドラちゃんと同じか」


「ちなみにエネルギー変換の原理も同じです」


「えっそれって核融合炉……」


「せいぜい政府に見つからないようにしてくださいね」


「持ちたくない! 作れないことで問題なかったのに! 持ち込まれてしまった!!」


「この子達は現在ほとんど何も知らない状態です。生きるのに最低限の行動だけ出来るように学習してあります。歩く、立つ、座る、横になる等の基本動作。睡眠と睡眠時の自立修復機能。着席して食事をする。三ツ星レストランでも称賛される程のテーブルマナー」


「最後のはちょっと盛り過ぎじゃない? 最低限じゃないよね?」


「新たな動作を覚えさせるのは普通の人間と同じです。あなたがお手本を見せてあげることで、この子達は模倣して覚えていきます。最初は思うように動かないとは思いますが、反復してやらせることでその動作を覚えていきます」


「なる」


「いろいろと覚えていくにつれて出来ることも増えていきます。次第に覚えたことを自ら応用することもあるでしょう。――先に述べたように、軍事転用できる性能も持っていますので、くれぐれも誤った知識を与えすぎないようにしてください」


「物騒だなぁ。やっぱりクーリングオフとか」


「適用されますが僕は未来に帰ってしまうので期間内に返却は出来ません」


「悪徳業者め」


「さて、説明は全て終わりです。その他の詳しい話については、この子達が目が覚めたら問い合わせてみてください。過去から未来にかけての世界中の全ての知識はすべて入れてありますので」


「やべぇチートだ。アカシックレコードがここにある」


「この子達の電源は入れておきます。動けるようになるまでは数日かかると思います。そうしたら手取り足取り何でも教えてやってください」


「ん? いま何でもって……」


「もちろん良識の範囲内で教えてくれることを期待しています」


「釘を刺されてしまった」


「それでは僕はこれで。我らが誇る創始者にお会いできて光栄でした」


「言葉の割に軽口叩かれた気がする。ここまで気持ちが籠もっていない敬意は初めてだ」


「また未来で会えるといいですね」


「あぁ。いつか会いに行く。その時はよろしく」


おわり

ロボットたちとイチャラブする展開書きたかったのにそこまで行かなかった。全てはトモゾウが悪い。


短編にしたので多分続かない。

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