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君の気持ち  作者: 新山桜
1/16

1.幸せなはずなのに

『ため息の向こう側』封印しました……(消してはいません)

大きくお話を変える予定はないですが、不完全燃焼で完結してしまった作品だったので、読みやすく、短い連載と短編で整理しようかと思ってます。興味があったら是非またよんでみてください!


初めての方、『ため息』最近改稿したので、そちらをお読みいただいてからだと分かりやすいです!


「実花、最近翔太君とどうなの??」

 肘でツンツンと私をつつきながらニヤニヤするのは、立花優菜たちばなゆうな

 私の同級生で大親友。


 私は静内実花しずないみか、高校2年生。

 そして、私の彼、狭山翔太さやましょうたとは幼馴染。

 小学校5年生の時に、彼のお父さんの仕事の都合で遠い所へ引っ越してしまい、離れ離れになってしまった。


 でも高校生になって突然の再会。

 ……したものの、なかなかお互い声を掛けられず……

 気持ちが通じ合うまでとても辛い毎日だった。


 今、翔太が私の彼でいてくれることが、なんだか今だに夢なんじゃないかって、疑っちゃうくらい。


 身長は180cm、でサッカー部。小麦色の肌に超イケメン!!

 しかもピアノが弾けて、それがまたプロ並みの腕前。

 そんな翔太がモテないわけもなく、私と翔太がみんなに恋人同士だって認めてもらうのは、簡単なことじゃない。

 彼のファンからの嫌がらせや、校内一美人だといわれているサッカー部のマネージャーの嫉妬が私と翔太の前に立ちはだかった。


 でも、去年の文化祭の舞台上で、翔太はみんなの前で私を紹介してくれて……

 今はとっても幸せな公認のカップル!!


 ……のはずなんだけど……




「最近、翔太忙しいみたい。毎日電話はくれるんだけどね……」

 せっかく高校2年生になったっていうのに、デートどころか、一緒に登下校した日すら一日もない。

 春休みも、私はバイトや、お父さんの具合があまり良くなくて、病院通いが忙しかったからな……


「アイツ、今部活忙しいんだよ。二年になってからキャプテンやっててさ、部活休みの日も顧問とミーティングしたり、他校との練習試合の交渉する為に外回りもしてるらしいぜ?」

 そう横から口をはさんできたのは、優菜の彼氏で、翔太と同じサッカー部の幕内祐介まくうちゆうすけだ。


「あ、やべ……部活俺今日休んでるから、さっさとここ立ち去らなきゃ……!!」

 祐介はもう練習が始まっているサッカー部を横目に、カバンで顔を隠しながらそそくさとその場を立ち去ろうとする。

 どうしても外せない用事があるらしい。


「……にしたって、実花の事ほったらかしにしすぎでしょ? 付き合ってるのに終業式以来まともに顔見てないってどういう事よ??」

 祐介の都合はいっさいスルーして、納得いかなそうに優菜は腕を組んだ。


「いいのいいの! 翔太が今部活を大事にしてること、電話でもよく伝わるし……そんなキラキラした翔太が私は好きなんだからさ!」

 電話の向こうで弾けんばかりの笑顔で話してくれてる姿ぐらい、ちゃんと伝わってるから……


 私はネットの向こうでボールを追いかけている翔太を遠目で見つめる。


「実花、ウチらの前では強がんなくてもいいんだからね! 祐介も翔太君にもっと実花の事構ってやってよって言っときなさいよ!」

 バンと祐介の背中を叩く。


「ありがとう、優菜。でも私は大丈夫。私だって、今色々忙しいし……お互い信じる気持ちがあれば、逢えなくったって我慢できるから」



 そうは言ってみたものの……

 逢いたいに決まってるじゃない!!

 ちゃんと翔太の顔見て話がしたいよ……


 ……とはいえ、優菜に心配をかけたくないし、翔太の邪魔もしたくない。

 暫くは、やっぱり我慢との戦いかな……?


 はぁ……



 美しく咲いていた桜は春風とともに空に舞う。

 毎年その絶景に感動していたはずなのに、今年はなぜか心が締め付けられた……


 通い合ったはずの心は、散りゆく花びらのように拠り所なく宙に舞う。


 いったいどこまで飛ばされていくんだろうと、理由のない不安に襲われる……



 花びらの向こうにふと目を遣った。

 白いセーラー服に身を包み、もし天使がいるなら彼女の事ではないのか……?

 そんなふうに思わせるような空気を纏った可愛らしい女生徒が、ネット越しに見えるサッカー部の練習を懐かしそうに見ていた……




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