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Home And Bloody Days  作者: ソォラ
9/15

9th Day

「よいしょっと……こんなものかな」


砂浜にパラソルを突き立て、僕は一息ついた。

ちなみに今は、僕も、親友のシンヤも海パン一枚の状態。


「それにしても女性陣は遅いね。 まだ、着替えにかかってるのかな?」

「あぁ、そうかもしれないね。それとか、水着の見せ合いをしてるとか」


僕が立てたパラソルの根本にレジャーシートを敷いているシンヤがそう答える。


「でも、本当に予定合って、ここに来れてよかったね」

「うん、やっぱり夏といえば海だもんね」


そう、僕たちは今日…8月のある日、海水浴場にやってきたんだ。


(Ⅰ)


それから数十分後、女性陣がやってきた。


「あ、あの、シンくん、どう……かな……?」


顔を赤くして、もじもじとやってきたのはヨシノ先輩だ。

先輩の水着は……


うわお。

ブラもパンツも真っ赤なビキニだった。もう、色気ムンムンって感じ。

ヨシノ先輩って大人しめな人だから、こんな水着とは縁が遠いと思ってたけど。

きっと、シンヤと一緒に海水浴だから、勇気を出したのかも。

それを見たシンヤのほうは……


「う、うん……とてもきれい……だよ……」


こちらも顔を赤くして、答えていた。


さて、次にやってきたのは……


「兄さん、どうどう~?」


僕の前でくるりと体を回しているのは、愛すべき(あ、変な意味じゃないからね?)我が妹、クルミ。

彼女の水着はといえば、黄色のタンキニ……とかいう水着だった。

水着というよりは、タンクトップにパンツのスポーツウェアっぽい水着だけど、それが黄色の色と相まって、元気なクルミとよく合っている。


「う、うん、よく合ってるよ」

「やった~~♪」


そう言ってはしゃぐクルミ。うん、とっても元気でかわいい妹だ。それだからこそ、このタンキニによくあってるんだろうけど。

さて、次は……


「お待たせしました、いかがでしょうか……?」


おずおずとやってきたのは、青色のワンピースタイプの水着を着たアヤメだった。


「うん、と、とてもきれいだよ……」

「あ、ありがとうございます……」


うん。こちらはクルミと逆に大人しめの性格だから、色もワンピースも、アヤメと良く似合いまくってる。

でも、巫女さんが水着着るとしたら……


「シュンさん?」

「え、な、なに?」

「巫女さんだからといって、巫女服を着て泳ぐだなんて思ってませんよね?」

「そ、そんなことないよ」


どうやら、見抜かれていたっぽい。

アヤメの第六感、侮れじ、侮れじ。


そして。


「シュンくん、どうかな? 頑張ってみたんだけど……」

「おおっ」


その頑張ってみたらしいハルカの水着を見て、僕は思わず、歓声を上げてしまった。

他の女性陣からも歓声。

ハルカの水着は、ライトグリーンのビキニだった。その腰の部分に同じ色のバレオが巻かれている。

それがなんとも魅力的。

あと、僕や女性陣から歓声から歓声が上がったのは、水着のデザインだけではない。

見事なまでに整った体型に、豊かに実った胸。

プロのモデルに勝るとも劣らぬ美貌だ。

前回、ハイスクール二年……三年のときは受験があったので行けなかった……のときも海水浴に行ったけど、あのときよりもさらに成長したんだねハルカ……って僕は何を言ってるんだ。


「う、うん、す、すごく似合ってるよ。とてもきれい……」

「ありがと……とっても嬉しいよ……」


そう言葉を交わすと、ハルカは僕の左腕にぎゅっとしがみついてきた。

胸の感触がダイレクトに伝わってきて……いやいやいや。


「あたしも負けてられないなぁ……」


とクルミが言っていたのは聞かなかったことにしておく。


(Ⅱ)


「うわわ~」

「ははは。クルミ、がんばって~」


はるか後方に飛んで行ったビーチボールを追いかけるクルミに、ハルカがそう声をかける。

ちょっと遠くに飛んで行ったみたいだけど、そんな沖まで飛んでいったわけじゃなさそうだし、危険区域には規制線みたいのが張られてるから大丈夫。


「本当に来てよかったよね、シュンくん」

「うん、そうだね。とっても楽しいしね。それに……」

「それに?」

「みんなの水着姿見れて、とっても眼福だし」

「もう、シュンくんったら……」


そう言ってほほを染めるハルカ。そんな顔もすごくかわいい。


「シュンさん、本当に誘ってくれてありがとうございます」

「そ、そんなお礼を言われるようなことじゃないって」


僕がそう言うと、アヤメはぷるぷると首を振って……、って、アヤメ、少しほほを赤くしてる?


「だって、こんな素敵な空間に、シュンさんといれるのですから……」


すすす……

ぷにょ


え、ええと、これはですね……?


「あーーーーーーーーーーーーーッッ!!」


ざばざばとハルカが、僕と、僕の右腕に抱きついてるアヤメのほうに接近してくる。

そして、左腕に抱きつく。


「あ、あのねっ、シュンくんはわたしのなんだからっ」

「そうですけど、未来のことは誰にもわかりませんし……」


か、海水浴が、修羅場に!?

なんとかこの場を収めようと思うんだけど、ハルカとアヤメの雰囲気に押されて、言葉の一つも言えない状況。

簡単に言うと、『すごく怖い』

僕にはさすがに、間に割り込んで仲裁しようとする勇気はありません。


どうしたものかと困っていると……


「きゃあ、た、助けて~!!」


聞き覚えのある悲鳴が耳に入っていく、その声のほうを向くと……


「あっぷあっぷ……びにゃ~」


なんとクルミが、規制線のぎりぎりのところでおぼれているではないか!

それを見て、論戦を一時中断し、息をのんでるハルカとアヤメ。

クルミは、なんとか顔を水面に出して、なんとか完全に溺れているのを踏みとどまっているが、このままでは……って、そう説明してる場合じゃない!


僕は大急ぎで彼女のほうに全速力で泳いでいった。


(Ⅲ)


「大丈夫? クルミ?」

「うん、なんとか……」


ふくらはぎの部分に軟膏を塗っているクルミが、僕にそう答える。

どうやら、くらげに刺されて、その痛みで溺れかけたらしい。

幸いにも、彼女が完全におぼれる前に助け出すことができたので、被害は未然に防ぐことができた。よかったよかった。


「でも、楽しい海水浴なのに、ちょっとショックだなぁ……」

「ま、まぁ、くらげに刺されるのは、だれでもありうることだし……」

「うん、でも……」


「せっかくの兄さんとの海水浴なのに……」


と、クルミは爆弾発言を投下なされました。


「え?」

「な、なんでもないよっ、兄さんっ」


聞き返すと、クルミは顔を赤くしてうつむいた。僕も顔を赤くしてうつむく。

き、気まずい……


「そ、そうだ、クルミ、のどかわいてない? 何か買ってくるよ」

「え? それじゃあたしが……」

「いや、クルミはくらげに刺されたばかりだし、ここは僕に任せて」

「う、うん、ありがと……」


そして僕はジュースを買いに、自販機へと歩いて行った。

そこには先客が一人立っていた。


ショートヘアで背の高い、年のころは僕たちと同じくらいだろうか?

そんな女性だった。


そんな彼女は、僕に気づくと、ただじーっと、僕のほうを見続けている。

見つめたり、にらみつけるというよりは、僕を見定めようとしているような感じ。


「な、なんですか?」

「……」


僕の問いにも、女性はただ僕を見続けているだけ。

そして。


「……油断できない」

「え?」


そういうと、彼女はすたすたと去って行った。

その後ろ姿を茫然と見送る僕。


油断できない、って何がだろう?

思い当たるものがいっぱいありそうで、でも思い当たらず、僕の頭の中は、疑問符がいっぱい飛びまくっていた。


いつのまにかやってきていたハルカに声をかけられるまで。


(Ⅳ)


そしてそのあと、僕は再び海で泳いでいた。

回復したクルミも、今は少し離れたところで、フロートにつかまってぷかぷかと浮かんでいる。


あー、本当に海はいいなぁ。

本当に、空は青いし、海は広いし、水は冷たいし、本当に快適快適。

それに、周りの女の子たちもとてもきれいだしね。


いつもは制服姿の彼女たちを見てきたから、こうして水着姿を見れるのは、新鮮というか、眼福というか。

僕がそんなことを思っていると……


「にゃーーーーーー!?」


ハルカの声がして、背中に重量がずしりとかかった。

背中にぷにぷにした感触を感じて、ハルカが背中に抱きついてるのがわかった。

……って、ぷにぷにした感触ぅ!?


「ち、ちょっと、ハルカ……?」

「ご、ごめん。でもお願い、こっち向かないで……っ」


僕が背中のほうを向こうとすると、ハルカはその視線から逃れるように、さらに強く抱きついた。


「ど、どうしたの……?」

「み……」

「み?」


その次の瞬間、ハルカは今日最大級の爆弾発言を投下した。


「水着……流されちゃった……」


「……」

「……」


水着、って……


「ええええええ!?」


思わずそう驚きの声をあげてしまう僕。

そこに。


「ちょっと兄さん、何やってるの!?」


僕とハルカが嬉し恥ずかしの状態になってるのを目撃したクルミが、僕にビーチボールを投げてきた。

そのボールは、まさに剛速球というべき速さが僕に突進し……


「ぐはっ……!」


僕の顔面に直撃した。


「きゃーーー、シュンくん、大丈夫!?」


ハルカの悲鳴をBGMに意識を失っていく僕。


な、なんで最後にこんなオチが……!?


これが、完全に気絶する直前、僕が思ったことだった……




To be New Day...


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