その55 あがり症について思うこと
先日、近所にお笑いの劇場ができたということで生のライブを観てきました。いやぁ、ライブっていいですね、本よりお笑いっていいですね。何もないところから作り出ししかもそれで人々を笑わせる、いやぁお笑い芸人さんは本当に格好良いと思いますし尊敬します。これからも頑張って頂きたいですし、僕も機会があればまた是非ともライブを観に行きたいと思っています。
さて、そんな大変楽しかったお笑いライブですが、ひとつ気になることがあったので今回はその事についてお話していこうと思います。その気になる事というのは、すでにタイトルでも挙げてあるのですが『あがり症』についてです。というのも、そのお笑いライブに1人の芸人さん、まぁ名前を挙げる訳にもいきませんので仮の名前として『戦う人面機関車』とでもしておきましょう、その『戦う人面機関車』さんが出演していたのですが、彼がものの見事に緊張していたのです。どれくらいの緊張かと言えば、観ているこっちが『頑張れ、緊張に負けるな』と応援したくなる程でした。それくらい緊張していたのです。まぁ、そこまででしたらよくある話なのかもしれません。お笑い芸人さんと言えど人の子、経験が少なければそれも仕方がないことが無い事なのかもしれないと。ですが、エンディングトークで思わぬ事実が発覚しました。なんとその『戦う人面機関車』さん、芸暦が10年過ぎていたのです。
その事実を知ったとき、僕は呆然としました。『あぁ、10年もお笑い芸人という特殊な仕事をしていてもあがり症は克服できないのか』と、涙がこぼれる思いでした。まぁ、『思い』だけで涙はこれっぽっちも出はしなかったのですが。ですが思いはそれくらいです。想像と妄想が得意な僕ですから、心の中は悲しみの涙でそれこそ胸一杯でした。
ところで、何故僕がここまで落ち込むかといえば、兎に角言っている僕自身が何を隠そう極度のあがり症なのです。保育園児の頃は身内しか観に来ていない完全ホームゲームであるはずのお遊戯会で緊張してお漏らしをし、小学生の頃は新入生を学校まで連れて行く役目をかって出たくせに緊張し5年間か通いつめたはず通学路を間違え、中学生の頃は部活動の壮行会で『何か面白いことを言え』と仲間に言われ『今大会の目標は』という質問に『お弁当を美味しく食べることです』と答え体育館内をスベり倒し、高校生時代はとにかく目立たないように行動し、大学生の就職活動時の面接では『志望動機は』の質問に『特にありません』と答えなぜか合格する、といったように年がら年中の緊張しいなのです。今でも人前で話す際は緊張し、赤面し手足が振え、情緒が不安定になりますからね。
その為、人前で笑いを掻っ攫うお笑い芸人さんにはある種の憧れに近い尊敬の念を持っていたのです。それなのにその芸人さんが人前であがるなんて。一般愚民である僕は一体どうすれば良いのでしょうか。
そもそも、この『あがり症』というものに対しての立ち向かい方がまだあまり確立されていませんよね。2014年間もあったのに一体何をしていたのでしょうか人類は。『バナナの皮がよくすべることの検証』よりもあがり症を治す方法を探すことの方が先でしょう。
巷でまことしやかに囁かれている立ち向かい方も、なんともピンとこないんですよね。例えば、よく言われる『人の顔を野菜と思いなさい』と言う方法。これは一体どういうことでしょうか。野菜が目の前にいれば緊張しないということでしょうか。でもよく考えてみてください。目の前に野菜の顔をした人型が座っているのですよ。某有名なお笑いコンビさんのネタの設定を使えば『野菜人』ですよ。胸元を開いて野菜と人のちょうど境目なんかを見させられて御覧なさい。幼稚園の頃の僕のように失禁しますよ。それに野菜って、そもそも人間に似ていませんか。ジャガイモみたいな顔の形をした方はよく見かけますし、ニンジンは『人間』と1文字しか違わないし、タマネギのような頭をした方はお昼によく見かけるし、タマネギみたいな顔の形をした方は日曜の夕方に同級生に確信めいたことをつぶやいて動揺させているし、カボチャに至ってはこの時期くりぬいて目と口を作ってあろうことか人間に寄せてきていますからね。これで人間を意識するなと言うのは酷な事ですよ。
『手のひらに人を3回書いて飲み込む』という方法もそうです。今から人前に立つから緊張しないようにと言っているにも関わらず、ご丁寧に人を3回も手のひらに書かせて『さぁ、お前は今からその手のひらに書いた以上の数の人間の前に出て行くのだぞ』と再認識させて、それを飲み込ませることによってあたかも3人分の人間の人生を背負っているように認識させるわけですからね。なんと恐ろしいことを行うのでしょう。某人気お笑いコンビのネタのフレーズのような所業ですよね。『緊張してるの。手のひらに3回人と書いて飲み込めば良いのだよ。』と笑みを浮かべながら近づいてきた奴の、下衆な人間性が際立っていますよね。
と、このようにまだまだあがり症についての解決法が明確に打ち出されていないのです。これは由々しき問題ですよ。皆さんもあがり症の解決法についてもう一度考えてみてはいかがでしょうか。もしかしたら今あなたが行っている対処法は、逆効果なのかもしれませんよ。ちなみに僕はあがり症の対処として『今後一生人前に出ない』という解決法を導き出したのですが、これは僕の人間性をより一層歪ませると判断したので実行は致しません。皆さんもくれぐれも実行なされませんように。
長々とへりくつ失礼しました。
またお会いできたらお会いしましょう。
失礼します。
[投稿後記]
一応あとがきとして書かせていただきますが、僕は『戦う人面機関車』さんのこと嫌いじゃないですからね。同じあがり症ということで親近感は沸いていますし、一発ギャグは面白かったですし。今後も『戦う人面機関車』さんのことは応援させていただきます。
まぁ、それにもしかしたらあの緊張気味の感じもキャラクターとしての演技かもしれませんしね。
御覧頂き有難うございます。
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