その52 ダイエットについて思うこと2
先日、またもや母親が、僕にこう言ってきました。
「お母さん、今度こそ本気だからね。」
そうです。性懲りもなく、またもやダイエット宣言です。バナナダイエットをやるといって、そのくせやり方もちゃんと理解しておらず、ただただ食後にデザートとして食べ、それすら1週間ともたず、結局バナナの分だけ余計なカローリを取っていただけのあの母親が、またしてもダイエット宣言です。
今回は、あの有名なダイエット方法を行うとのことです。母親曰く『息を吸って吐くだけなのだから、今度は大丈夫。』とのこと。全く何が大丈夫なのでしょうか。息を吸って吐くだけで痩せたら、それこそノーベル賞ものですよ。まぁ、そんないい加減でぐうたらでも僕にとっては大事な母親。健康で長生きしてもらいたいのには変わりはないので、彼女にはそのダイエットの正しい方法と、保険としてもうひとつの有名なダイエット方法を教えておきました。まぁ、後者のダイエットに関しては、諸事情でスタジオがなくなってしまうらしいので、DVD付きの本を渡すだけになってしまいましたが。
まぁ何はともあれ、今度のダイエットは三日坊主にならず、息の長い活動にしてほしいです。ロングなブレスだけに。まぁ、今更旬の過ぎたダイエット方法を選んでいる時点で、結果はたかが知れているでしょうけど。
それにしても、ダイエットって相変わらず凄い人気ですよね。何故世の中の女性の皆さんはそんなに痩せたがるのでしょうね。噂に聞けば、日本の女性は全体的に『痩せすぎ』なのだとか。まぁ、真浦塚真也としては、女性というものは居てくれるだけで、周りを癒してくれる美しい存在、いわば女神の様な者だと思っているのですがね。まぁ、そんな歯の浮く様な、思ってもいない気持ち悪いことを言っていても仕方がないので、ここは僕もこのダイエットブームに乗っかって、ひとつ一攫千金のダイエット法を考えてみました。今回はそのダイエット法を、テレビの教育番組風に紹介してみようと思います。それではどうぞ。
司会の伊藤さん(以下『伊』)
「こんばんは。『今日も為になる5分講座』、司会の伊藤です。どうぞよろしく。さて、今回の講座ですが、今回は『最新のダイエット法』について学んでいきたい思います。ご教授していただくのは、真裏塚真也先生です。真裏塚先生、よろしくお願い致します。」
真裏塚真也先生(以下『真』)
「はい、どうもこんばんは。」
伊「早速ですが、真浦塚先生。なんでも、先生は新たなダイエット方法を発明なされたとか。」
真「いやいや。発明などというものではないですよ。そこに存在していた事実がたまたま私の元に現れただけ。まぁ、言ってみれば『発明』ではなく『発見』ですかね。」
伊「なるほど。それでは先生、その新たなダイエット方法とはいったいどのようなものでしょうか。」
真「はい。それは『ストレスダイエット』です。」
伊「えっ、ストレスですか。」
真「はい、ストレスです。」
伊「なるほど。いやぁ、先生驚きました。まさかダイエットの話にストレスが出てくるとは。」
真「そうですね。初めて聞いた方はたいてい驚かれますね。でも、よくよく考えてみればたぶん皆さんも経験があるんじゃないですかね。」
伊「と、いいますと。」
真「そうですね…、例えば伊勢さん、こんな状況を考えてみてください。今日は大事な特番の生放送。ゲストは滅多にメディアに姿を現さないあの国民的大スターの○○。社内はまだ収録6時間前だというのにもうお祭り騒ぎ。いやそんな状況はすでに通り過ぎてピリピリとした状況も隠せないほどの静寂ムード。社運がかかっているといっても過言ではないこの放送。司会はもちろん…伊勢直樹!」
伊「いやー!やめてください真裏塚先生。もう考えただけで、心臓が口からどころか毛穴から飛び出しそうです。」
真「そうでしょう。こんな状況はできれば避けたいところですよね。どうでしょう、伊勢さん。この状態でなにか食べたいと感じますでしょうか。」
伊「いや、もう何も口にしたくないですね。口にできても自分の唾くらいでしょうね。」
真「そうなんです。人間はストレスによって食事をする気が失せるものなのです。それを利用したダイエットこそが、この『ストレスダイエット』なんです。」
伊「なるほど。これは画期的なダイエットですね。」
真「そうですね。なにせ、道具も要らなければお金もかかりませんからね。必要なのは過度のストレスだけですから。」
伊「なるほど。では先生、具体的に我々は何を行えばいいのでしょうか。」
真「そうですね、まずは過度なストレスを頂ける環境に身をおくことが大切ですね。」
伊「と、いいますと。」
真「そうですね。例えば、折の合わない姑と同居するとか、理由もないのに消費者金融に多額の借金をするとか。あっ、最近ではブラック企業に就職するというのも『ストレスダイエット』の主流になりつつあるみたいですね。」
伊「へぇ、意外と方法はたくさんあるんですね。」
真「そうですね。今のご時勢ストレスの元を見つけるのなんて、藪から蛇を探すことよりも容易い事なので、それこそ自分に適したストレスを探してみるのはどうでしょうか。」
伊「なるほど。それでは注意点などはありますでしょうか。」
真「そうですね。とにかくストレスを発散すること、これは絶対に避けてください。そのため、カラオケや居酒屋、遊園地等人がたくさんいて楽しげなところに出かけるのはご法度です。それにマッサージや音楽を聴いて癒されるのも禁止ですね。マッサージは受けるのではなく、施術するほう、相手は愚痴と嫌味しか言わない姑。音楽は、聴いても何も勇気付けられない手垢だらけのJPOP。これに限ります。もしどうしても出掛けたいとしたら、ギャンブルにしてください。そして大いに外してください。そうすればよりよい効果が生まれるはずです。」
伊「なるほど。他には何かございますか。」
真「そうですね。後重要なのは、交友関係ですかね。今の自分の苦しみを話せる人がいると効果が激減してしまいますから。協力的な配偶者、気遣ってくれる上司・同僚、何でも話せる親友。そんなものはこのダイエットに必要ありません。」
伊「なるほど。もしそういった方々が誰一人いなければ…。」
真「そりゃもう、効果覿面です。」
伊「なるほど。これは素晴らしい。」
真「まぁ、人によっては過度のストレスにより髪の毛が抜けたり、肌が荒れたり、情緒が不安定になったりすると言った事例も挙がってきてはいますが。」
伊「まぁ、現に体重は減っているのですから。もうそれはちょっとした副作用ってことでいいんじゃないですか。二頭を追うものは一頭も得ずと言いますし。」
真「まぁ、そうですね。あっ、それとひとつ大事なことを言い忘れたのですが、実はストレスはまったく逆の効果を表すということが最近判明しまして…。」
伊「あっ!先生申し訳ございません。非常に残念ですがどうやらお時間が来てしまったようです。先生この度は貴重なお話有難うございました。」
真「えっ。あっ、はい。」
伊「それでは『今日も為になる5分講座』、今回はこの辺で。来週もまた同じ時間にお会いしましょう。それでは皆さん、さようならー。」
いかがだったでしょうか。皆さんもダイエットについてもう一度考えてみてはいかがでしょうか。
まぁ、何事も適量・適度が一番だと思いますけどね。
長々とへりくつ失礼しました。
またお会いできたらお会いしましょう。
失礼します。
そうそう。来週の『今日も為になる5分講座』のテーマ、『ストレスによるウエイト調整術、やけ食いで体重増加を目指そう』ですって。どうやら講師はあの真裏塚ってやつみたいですよ。
いやぁ、僕、前々から胡散臭いやつだと思ってたんですよ。後で泣きべそかいて会見なんか開いたらお尻ぺんぺんしてやる。
えっ?あの先生はお前じゃないかですって。いやいや、あいつは『真裏塚』。僕は『真浦塚』。一文字だけであんなに人間性が違うなんて。日本語って難しいですね。
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