その47 鉄板の上のスパゲティについて思うこと
僕は今怒っています。とてつもなく怒っています。読んで字のごとく、僕は今憤慨しています。
何をそんなに怒っているのかと問われれば、題名を見てくださいとしか言い様がないでしょう。僕は今怒っています。怒りすぎて今回のエッセイの題名にまでしてしまいました。
『ハンバーグやステーキの鉄板に乗っているスパゲティさん』はどういつもりなんだと。
真浦塚真也の言っていることが分からないという人がいると困るので、一から説明させて頂きます。えっ、お前の持論なんてただのへりくつなんだからそんな詳細な説明はいらないですって?いやいや、なにをおっしゃいますやら。僕はただただ皆さんに共感して頂きたいだけ、皆さんにスパゲティさんの立ち位置について検討して頂きたいと思っているだけですよ。それでは説明させて頂きます。
ここに熱々の鉄板に乗ったハンバーグステーキセットがあるとします。えっ、そんなもの想像できないですって?いやいや、ここは頑張りましょう。脳細胞フル稼働で想像妄想イメージしてみましょう。ほら、聞こえてきませんか?ジュージューという心地よい鉄板サウンドが。そうですか聞こえてきましたか。それではそのままの状態で僕の話を聞いてください。黙読して目で、音読して耳で携帯画面をスクロールして指で、僕の話を聞いてください。
さて、その鉄板の上には何が乗っているでしょう。まずはメインのハンバーグステーキですよね。ナイフを入れたら、下に敷いたスライスオニオンが自分は根菜ではなくて肉なんじゃないかと勘違いするほどの肉汁が溢れだす、肉厚なジューシーなハンバーグが中央にどっしりと腰を降ろしているわけですよね。
それではそのハンバーグさんから目線を上げてみましょう。さぁ、何が見えるでしょうか?そうですね、ハンバーグステーキさんを彩る、付け合わせのみなさんですね。バターと砂糖でじっくり煮込まれたニンジンさんや、ホクホクなフライドポテトさんや、色鮮やかなブロッコリーさん、老若男女に手堅い人気のあるバターコーンさん、嫌いな人も多いけれどその癖のある風味が魅力的なグリンピースさん等々、そうそうたるメンバーがハンバーグステーキさんをバックアップしているのです。
ここまで想像できた皆さんであれば、そのバックメンバーの中に明らかな異彩を放っている存在に気付くはずです。
そうです、スパゲティさんです。いや、もう『さん』なんて付けるのは止めましょう。こんなやつスパゲティで充分です。僕は、こいつに言ってやりたい。是非とも言い聞かせてやりたい。お前はこんなところでくすぶっている奴じゃないと。
だってそうでしょう。皆さんよくよく考えてみてください。スパゲティは主食となるべき存在なのですよ。麺類なのですよ。
そんなポテンシャルを持っているのに、主食の座はライスやパンに早々と譲って自分は鉄板の上にちょこんと座っちゃって。そのくせに、スパゲティサラダのように明らかな副菜になる努力もせず、もちろんミートソースや卵と絡んで目立とうとすることもしないで、なんだかよく分からない味でちょこんと座り込んでいるわけですよ。
多分スパゲティは自分でも分かっているはずです、俺は本来ここにいちゃいけないんだと。だからあんなに窮屈そうに丸まっているんでしょうね。
あぁ、情けない。情けなさすぎるぞスパゲティ。いつからお前はそんな奴に成り下がってしまったんだ。お前には、幼い子どもの口のまわりをケチャップやミートソースで汚させて、母親がそれをあらあらと手拭いで拭くという微笑ましい光景を見せるという大事な仕事があるではないか。それなのに、なんという無気力。あぁ情けない。
皆さんも鉄板の上に乗ったスパゲティについて今一度考えてみてはいかがでしょうか。早く居場所を見つけてやらないと、スパゲティのクセに、パリパリの堅焼そばみたいになってしまいますよ。
長々とへりくつ失礼しました。
またお会いできたらお会いしましょう。
失礼します。
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